初めから読んできてこちらで9巻目。
今度の舞台は江戸を遠く離れて大阪となっておりました。

今ですら秀吉公のお膝元とも呼ばれて何ら違和感を感じない場所である大阪。
また江戸と比べて商人の街とも呼ばれた、熱く活気のある場所としての大阪。

そもそもなぜ江戸ではなく、ここ大阪の地が舞台となったのか?
といったことからして、この物語はすでに面白い。

そんな舞台が定まるところから面白い今回の主人公は、新庄藩火消組の頭脳といってもいいあの方。

大阪の地で新たに出てくる登場人物たちも、これまた素晴らしく良い。
特に個人的には、これと同じタイミングで読んでいた垣根さんの「涅槃」という作品にも出てきた「紗代」さん。

出てきたと言っても、同じ名前であるというだけなのですが、こんな偶然ってあるか~と。
個人的にはとても盛り上がりました。
どちらの「紗代」さんも、物語上欠かすことのできない素晴らしいお方でありました。

それと出てきたといえば、「渋川春海」さんのことも出てきたりして、なんだかとても懐かしい気持ちになりました。
あの名作「天地明察」での主人公、冲方さん、またあのような作品を書いてくれないかなと。

歴史ものというか時代物で、圧倒的に「武」や「政治」に秀でた主人公が取り扱われることが多い中、たまにであるこのような「知」や「芸術」や「商い」といったことに秀でた方々の作品というのはすごく心に刺さる作品が多い。

この「天地明察」なんかももう20年ぐらい前の作品だと思うのですが、いまだ心に強く残っている作品。
他にも長谷川等伯を扱った「等伯」、俵屋宗達を扱った「風神雷神」、穴太衆を扱った「天下城」、安土城築城を扱った「火天の城」、そして空海を扱った「空海の風景」。
特に「火天の城」を書かれた山本さんが描かれるあの世界観は素晴らしかった。
他にも「利休にたずねよ」や「命もいらず名もいらず」といった名作だらけ。

このあたりは特に強く心に残ってますし、これらの作品に出会えたおかげでその後の人生が変わったと言っても過言ではありません。
「等伯」を読んで国立博物館に通うようになりましたし、「風神雷神」を読んで西洋美術館に通うようになりましたし、「天下城」を読んであの石垣は、なんて目で石垣を見るようになりましたし、井戸を見てはこれ空海さんが掘ったのかな?
なんて思うようになりました。

気づけばこんな感じの感想になってしまいましたが、最初から最後まで目が離せない展開が続くこちらの作品。
舞台が江戸から遠く離れた大阪である作品だけに、とても映画向きな作品だと感じました。

読むことができて良かったです。

 


以上です。