「涅槃」というこちらの作品。
読む前から度肝を抜かれました。

こちらの作品ですが、見た目がものすごく分厚い。
まるで大学受験時に使う赤本かというぐらいの分厚さ。

こんな感じの分厚さに驚いたのは、数年前に出会った「独習大全」という作品以来となります。
そして「独習大全」は分厚さに負けて最後まで読むことができなかった作品です。

と、少しだけ分厚さにかこつけて「独習大全」について書かせていただきましたが、こちらはしっかりと楽しく読ませていただきましたので、まだ記憶が残っているうちに感想を書いておきたいと思います。

こちらの作品ですが、時は戦国、場所は備前(現在の岡山県)を描いた作品として物語が開始されます。
主な物語の視点は、備前福岡で商いを行っている人物です。

この備前福岡という場所、恥ずかしながら私は知らなかったのですが、「備前刀」や「備前焼」でとても有名な地域とのこと。

私でも知っている備前長船という地名はこちらの小説では隣り合わせの地域として描かれておりますが、備前長船という地名を含む場所を備前福岡と呼んで、それはそれは栄えた商都といってもいい場所だったようです。

なにやらこの時代のずっと後、九州を治めることになった黒田家がここから福岡の地名を持ってきて、九州の地域を治めたことから、九州の福岡という地名があるとかないとかまで言われている地域。

このあたりのことを調べだすと、私が知らなかったことがどんどん出てくるのでとても面白い。それこそ物語そっちのけで面白い。

さらにいうと、こちらの作者さんも司馬先生みたいな感じで、余談を入れてくれるのでとても面白い。

・備前ではなぜ名刀と呼ばれる刀を産出できたか
・小西行長はどのようにして世に出てきたか
・あの黒田官兵衛を生んだ黒田家の成り立ちだとか
・その黒田家が名付けた福岡県福岡市の「福岡」とか
・鞆の津(現在の広島県)がなぜ栄えた港であったのかとか

などといった「余談」が盛りだくさん。

また、余談としてではなく、本題としての、

・その地域を治めるというものの考え方
・商いというものの考え方
・地域の寺社仏閣との関係性
・戦場でのものの考え方、そして槍さばき
・人体の神秘...

こちらもこちらで盛りだくさん。

しかもまだ上下巻のうちの上巻。
すべての登場人物に感謝を伝えたいですが、上巻で絶対に忘れたくないこの気持ちを書かせていただき下巻に行きたいと思います。

阿部殿、紗代殿、そして柿谷殿、

本当にありがとうございました。



以上です。