これから夏の甲子園の予選が始まろうという、とてもいい時期に読むことができました。

このように書いて思い出しました。
今の大学4年生の世代は、あのコロナで春と夏の甲子園大会が中止となった世代ということに。

あの当時高校3年生だった世代が、気づけばもう大学4年生です。
その当時のことをつづった「あの夏の正解」を書かれた早見さんが、このタイミングでこちらの作品を出されたことも偶然ではないと思います。

私はこの次の年に行われた甲子園の埼玉県予選で、とても思い出深い出来事を今でも覚えております。
それは応援をしている現役チアさんたちの周りで、同じぐらいの人数の私服の方々が一緒になって踊っていたことです。。

確かめたわけでもなく、あくまでも私の勝手な想像なんですが、あれは去年のチアさんたちだと私は思いました。
昨年これができずに卒業してしまった先輩方だと。

一度そう思ってしまったら、試合どころではなくなってしまいました。
その感動的な姿は今もこうしてしっかりと目に浮かびますが、その一方で試合自体はどこの高校の試合だったか全く記憶に残っておりません。

ということを、こちらの作品の感想にかこつけて書かせていただきました。

そしてこちらの作品です。

とても緊張を強いられる場面から始まるこちらの作品。

作品名に「アルプス席(今回改めて調べてみたら、甲子園球場のとある場所のことを指すようです。そして甲子園大会ではその場所で両チーム応援がおこなわれているのです)」と「母」とあるので、野球を応援している子供を応援している「母」が主役となる作品なんだろうな。

そんな感じでページをめくりだしましたが、まさにそんな感じの始まりでした。

私は「父」として子供たちの部活動に関わった経験がありますが、この作品のように「母」として、しかも甲子園に出場を目指すような学校の子供たちの親としての視点は、味わったことがないとても情報ばかりで、なんだかとても貴重な体験をさせていただきました。

これはおそらくなんですが、中の人(つまりこのような経験をされた方々)からすると、とてもあるあるな状況ばかりなんだと思います。

私も全然レベルが異なる環境ではありましたが、このあたりのことはなんとなくわかります。

・子供の実力で保護者の優越がなんとなく決まってしまう。
→幸い私の子供の環境ではこのようなことはなかったですが、他のチームやトレセンと呼ばれる選抜チームなどですけど、これはすごかったです。
その子供の顔は覚えてませんが、凄かった人の顔っていまでも覚えてます。

・子供の学年で保護者同士も上下関係が出来上がる。
→この作品でも書かれておりましたが、上の学年の保護者の方々がまるで下の学年の保護者を自分の後輩だと思ってしまっている。
という状況は本当にどこにでもあると思います。

子供の学年で保護者がやけにグループ化される。
→子供たちよりもやけに学年で結束力が高まります。
もちろん良い面もあると思いますが、子供たちですら学年関係なくチームを強くしていこうというなか、親が勝手にやらかすというのは強い弱い関係なくどこにでもある気がします。

「やばい親」が多い。
→これご自身も強豪高校で野球をされた経験も持ち、その後も野球関係の作品をだされている早見さんがこういうのですから、いるのでしょうね「ヤバイ親」。
そういえば数年前に、学校のグラウンドを人工芝にしたら、野球の邪魔になると勝手に重機いれて芝生をなくしてしまった親御さんがいたような報道があった気がします。

といった感じの感想を書いてみました。

そして実際読んでいただければわかると思いますが、ところどころどころか全編的に本当に泣ける。
そしてもうどうしようもなく感動してしまう。

入寮する息子とその母親
同級生の子の親との絆
息子が同級生を家に連れてくるあの雰囲気
職場の皆さん、そして偶然であう野球好きの少年
そして監督。。。

もうなにもかもたまりませんでした。

野球好き嫌い、母であるなし関係なく、多くの人に届いて欲しいと思えるこちらの作品ですが、少なくとも野球に少しでも興味のある方だけには是非とも届いて欲しいこちらの作品。

私は読むことができて良かったです。



以上です。