「宇宙する」ってそんな言葉あるのかと思い手にしてみたのですが、思いがけずといったらとても失礼になってしまいますが、読んでびっくりするほどの楽しい内容となっておりました。

物理学者である作者さんが書かれた「宇宙する」なる、わけのわからない言葉を使う方が宇宙のことを教えてくれるのかな。
ぐらいの気持ちでページをめくってみたら、1ページ目からいきなり面白い。
我々が知らない物理学業界のことから宇宙のことについて、とても面白おかしく教えてくれました。
こういう方のことをユーモアのある素敵な方というのだろうなと、うっすらと感じました。

といった感じのこちらの作品、せっかくですので目次毎に感想を残しておきたいと思います


【目次】
序 今ここにある宇宙とぼくの起源について:
→そもそも今の我々の存在は偶然なのか、そうではないのかみたいな槍年から語られる秀逸な導入部。考え出すと止められない止まらない状態となる素敵な世界へ私を導いてくれた最高の導入部。


[第1部]物理学者、この不思議な生き物:
→物理学者というよりは、作者さんの娘さんとのやり取りは最高でした。

曰く、父のことを歳をとった大学生だと思っており、卒業後のことを心配している。
曰く、ガリレオ先生(福山さん)の横顔が父に似ていると発言し、母や姉の猛反対ににあり、発言を取り消される。

この面白さをうまく伝えられないことがもどかしい。


[第2部]正解のない宇宙の謎を考える:
→マルチバースの考え方はとてもしっくりとなじみます。
マルチバースをここまでわかりやすく説明してくれたものに初めて会いました。
現時点では確かめようがないですが、私はこの考え方を支持します。

そしてこの考え方、人類にとって宇宙は大きすぎる。
現時点では光が届く範囲のみのことが観測可能(この範囲のことをすべてわかっているわけでは決してない)。
そしてこの範囲のことを単に「宇宙」と読んでいる学者さんもいるとのこと。

これだけでも知っている価値はあると思います。
ここを読んで夜空を見上げると、夜空が暗いということの不自然(?)さを多いに感じることができるでしょう。


[第3部]物理学者は世界をどう眺めているのか?:
→ここの章は今までよりも格段に難しく感じました。
ただそんな私を救ってくれたのは、作者さんと娘さんの希望の「望」で使われている「月」の傾きに関するやり取りでした。

 

またここで語られていた「モンティ・ホール問題」。

私は垣根さんの小説「光秀の定理」でこの問題を知ったのですが、そこでは知った気になっただけだということが、今回よく分かりました。 

 

そしてやはり一番気になる「青木まり子現象」これも是非皆さんに読んでいただきたい。

 


[第4部]常識を超える真面目な宇宙論:
→この「真面目」というタイトル。
あまりに常識を超えてしまっているので、編集者が注記の意味も含めてのタイトルとなっているようです。
非常識ではなく、超常識です。

 

特に「ボルツマン脳」なんてすごいすぎでコメントといいますか感想が残せません。

 


先日読んだ「死は存在しない」にも勝るとも劣らない内容となっていたこちらの作品。
私は読むことができて良かったです。
 

 

 

以上です。