伊岡さんの新作です。
昨年末に伊岡さんの「清算」という、とても年末に読むようなものでないものを読んで以来の作品。

私が思う伊岡さんの作品はいつもとんでもない設定のものが多いので、その設定自体の情報も楽しみたく、伊岡さんの新作だという以外の情報を全く入れずに読み始めてみたところ、今回はこの作品は失敗だったようです。

こちらの作品の前段となる作品があったようです。
ようは続き物の何作目かの作品だったようです。

ただ、このまま前段の作品を読まずに行かせていただきました。
流れとかを知っていた方が、より楽しめたという場面はいくつかあったように思いますが、そのあたりをもったいなくも思いつつも、割り切って読み切ってしまいました。
ただそんな状態で読んでも、とても面白かった作品でした。

そんな作品ですが、主人公がこの時期に多くの方を悩ませる、花粉症というとても愛着のあるお方。
しかもスギやヒノキといった春の時期ではなく、ブタクサという若干時期がずれている花粉症。

これ、同じ花粉症でも若干扱いがぞんざいに扱われてしまっているアレルギー症状。
タイミングも丁度スギやヒノキが落ち着いた後だったりして、少し前まであなた方も大変だっただろうという方々までもが、へー「まだ」花粉症なんだ?
みたいな扱いをされてしまうブタクサ、おそらく同じ時期のイネ科の皆さん。

「まだ」ってあなたの症状を中心に物事を思うなかれと思っていた皆さんであれば、この作品は同志を見守るかのような読み方ができたのではないでしょうか。

そんな主人公さんを中心に、まさに「水脈」に関わる物語となっているのですが、これがまたいい感じなんですね。
好きな人にはとてもはまる内容だと思います。
下水道であるとか暗渠がでてきます。

下水道はともかくも、「暗渠」なんて現時点でどんなにおしゃれに取り繕っても、もともとはね、って場所ですからその「明」と「暗」がいい感じで混ざり合って、私は暗渠を散歩するのは大好きですね。

 

「臭い物に蓋をする」をすることで、この世の中は成り立っている、みたいな現代の縮図のような感じを私は感じてしまいます。

そしてこの作品で改めて教わった「マンホール」という存在。
これが「manのhole」つまり「人間の穴」という意味だったとは、全く持って思いもしませんでした。

この情報は私にとってとてもインパクトある情報でした。
そして、ということは「消火栓」や「防火水槽」はもしかしてマンホールとは言わないんじゃないか?

と思い、しばらく本書を置いて「マンホール」について調べてしまったぐらいです。
そうしたら面白情報がさらに沢山ありました。

そしてその情報のひとつに、あのとても有名な「真実の口」はもしかしたら、「マンホール」の蓋だったのではないかと言われている。
とまでの情報もありました。

といった感じでもとても楽しめたこちらの作品。
私はこちらをいきなり読んでしまいましたが、それでも読むことができて良かったです。



以上です。