こちらも「ラブカは静かに弓を持つ」と同様に昨年の本屋大賞ノミネートで知った作品。
今年も本屋大賞のノミネート作品が発表されました。

まずもって驚いたのは瀬尾さんの「私たちの世代は」がノミネートされていないのかということ。

 

毎年大賞作品で書店員さんと私の感覚のずれの有り無しを楽しんでいたのですが、昨年読んだ作品で私の中では「私たちの世代は」がぶっちぎりにすごいと感じた作品だっただけに、すでにこの時点でずれを先取りしてしまいました。

 

あとは小野寺さんの「みつばの泉ちゃん」、これもノミネートは間違いないだろうと思っていたのですが全くでしたね。

ですので今年は予選敗退したチームを応援していた関係者みたいな感じで、本選(大賞発表)をフラットな気持ちで楽しみたいと思います。

といったことを書かせていただきましたが、ここからはこちらの作品感想を少しだけ書いておこうと思います。

物語の舞台は大阪。
その大阪にあるカフェでの店長が主人公となるお話。

ふと気づいたのですが、物語の舞台が大阪という作品を私は今までほとんど読んだことがないなと。

ほとんど何かぱっと思い出せる作品がないなと。
歴史ものであれは圧倒的に大阪ものが、いや大坂ものが多いのに歴史もの以外で大阪ってもしかして今回が初めてかもしれないなと思ったところで思い出しました「プリンセストヨトミ」を。

 

万城目先生、直木賞おめでとうございます。

といった万城目さんの作品で読みましたね。
万城目さんといえば今回の直木賞受賞作であるとおり京都ものが多かったので油断してましたが、大阪ありましたね。

これぐらいかと思い情けないことに「大阪が舞台の物語」で検索をかけてしまいましたが、それをみてもパッと思いつくのは「白夜行」ぐらい。
そもそも読んだことは覚えてますが、あの男女の物語の舞台が大阪という記憶は全くない。

ただ、「白夜行」を読んでいた時に東武野田線というとても哀愁漂う電車にゆられて、千葉にある物流倉庫システムをいじりに行っていたなと。
めちゃくちゃ寒い場所で、めちゃくちゃ怒られたなという記憶と、あの作品のどん暗さといった記憶がよみがえってまいりました。

といった大阪で脱線してしまいましたが、カフェの店長ともう一人の主人公視点で語られるこちらの物語。

自分が相手を、相手が自分をともにそれぞれそのように見てるのか、見えているのか。
自分は相手を、相手は自分を、そもそも自分が自分をどれほど知っているのか。
自分の長所が、立場が変われば短所にもなりえるのか。

などなど読み終えた後で視野を広げるきっかけをたくさんもらえた作品であったなと。

あとは「どんな時でも食事をおろそかにしない。」というとても憧れてしまう人のあるべき姿や、ハイタッチはボウリングの時以来など思わずうなる内容もありました。

ラブカに続き素晴らしい作品を読むことができました。


以上です。