あのラングドン教授シリーズの「オリジン」という作品を読んで以降、ガウディだったら「カサ・ミラ」いいよねと突然言い始めたにわか者です。

 

実際には写真でしか見たこともないですし、ちょっと冷静に見ているとデザイン的な良さなんて全然わからなかったりするのですがと。(何だかナウシカっぽいなという気持ちと、ポケモンの「レジギガス」みたいだなと)

そして今回の作品のメインどころであるサグラダ・ファミリア(私はこの作品を読むまで「サクラダ」だと思ってましたが)。
いまだ造り続けられているガウディの遺作といわれている建造物。

題名に「遺言」とありますし、表紙にもバッチリ描かれてますのでこの事だろうと。
というわけで実際にここに関わる方が事件に巻き込まれてといった感じでこちらの物語は始まります。

そしてこちらの作品はガウディやサグラダ・ファミリアは当然ながらスペインのことが主に歴史や文化や暮らしぶりが詳しく書かれており、そこだけ読んでも面白い気がします。

サグラダ・ファミリアの困難だらけの建設の歴史として、とてもコンパクトに分かりやすくまとめていただいておりました。

のっけから作り方でもめて、その後ガウディに任されて、資金がなくて続けられなくて、第一次大戦は勃発して、内乱まで起こり、独裁政権下ではおっかなくて手を出せず、挙句に暴徒に散々にされ火をつけられると
それでもそれらを乗り越えて今を迎えていると。
(今と言っても作中は私の勘違いでなければ90年代のようです)

そしてスペインについても色々な事を教えていただきましたが、なんといっても私はこのエピソードがこの作品の主題を脇に追いやるほどのインパクトを受けました。

 

というのもサグラダ・ファミリアを眺めているご老人に親切に話しかけた主人公、そのあといはなんと老人がいきなりカスティーリャ語を使うなと怒鳴って来ました。

 

その老人はカタルーニャ人だったらしく、カスティーリャ語(スペイン語)にとても嫌悪感をもっているだとかなんだとか書かれてましたが、このような振る舞いを許していていいのでしょうか。

 

ここではまるでこの方の振る舞いはここでは普通だよ、みたいな感じで流れていきましたがいや普通にダメだろうと。

更に言うとこの後このご老人、のうのうとサグラダ・ファミリアにいくつもの視点で楽しむことができるといったような事を嬉しそうに語ってました。

 

でももうだめだよね、そんなこと言っても第一声でそんなこと言われた人の話なんて入ってこないよねといった感じで、実際私はこの人の行っている宗教的な大事な事も聞き流してしまいました。

せめて間に入った彼が「だめだよいきなりそんな事を言ったら」ぐらい行ってくれればまだ救われるのですが、その後楽しそうに談笑しているとかしつこいようですがありえんなと。

日本にも多少あるお爺ちゃんやお婆ちゃんだから本当はだめなんだけどまいいかみたいなノリなのか、いやスペインのこの地域はこういうもだからなのかわかりませんが、戦争や内戦ってなくすの難しいよねそりゃと感じた場面でした。

読んでいると色々あっての今であり、そういう地域そういうものだみたいな事のようですが、まあ色々と考えさせられますし勉強になります。
ただややこしいことに、これ今じゃなくて作中は90年代なのが今一微妙ではあります。
バルセロナオリンピックがこれからという表現もありましたので90年の初めだと思います。

とても懐かしい思い出となるバルセロナオリンピック。
柔道では直前のけがを乗り越えての古賀選手が金メダル、そしてその怪我したときの練習相手である吉田選手も金メダルとあれは感動しました。

そして水泳の岩崎恭子選手やマイケルジョーダン率いるバスケドリームチーム。
私も高校2年生の熱い夏でした。

なんだか本当にラングドン教授がいないラングドンシリーズみたいですし、この人怪しいと思う人全て怪しいですし、何だかんだと皆さん秘密事を良くしゃべるし、そして舞台は30年前のスペインですしで読み応えバッチリ。

 

最後の最後まで何がどうなったらこの物語が終わるのかさっぱりわからない展開でしたが、なんだかとても面白かったです。

どこからフィクションなのか、いやすべてフィクションと捉えていた方が良いのかとったような作品でしたが読むことができて良かったです。




以上です。