どう書けば良いのか。
どの言葉で表せば良いのか。
コンサートの記憶と記録を残しておきたい。
だからブログ書きたい。
レポと呼べるものにはならなくても、何かを自分の言葉で残しておきたい。
コンサートへ行ってからずっと考え続けていました。
それ程に大きな感動をいただいて。
どの言葉も嘘になりそうで。
そもそも音楽を言葉で伝えるのは無理だし、ましてや私が伝えられない…
という気持ちにもなりながら。
言葉を探し続けていました。
でも、見つかりません。
見つかっていないけど、見つかった!とカッコ付ける事なく、わからないことも、そのまま素直に書こうと思います。
いつものブログもふざけている訳では無いことは大前提としていただきたいのですが…。
今回の特別なレポ?感想は、いつものテイストとテンションと全く違うものになってしまいそうです。
それだけ最初に断っておきます。
(いつもも、ふざけていないし、SALTさんへのリスペクトや気持ちは全く同じです。それだけは信じてほしいです。)
各曲のレポをする前に全体の感想。
SALTさんがよく仰る「音楽で嘘をつかない」「大切にすることはリアリティ」
それを体現されたコンサートだったと感じました。
譜面に起こした音たちも、あの日あの場で紡がれた音たちも。その一音一音全てに嘘がありませんでした。そのどれもがSALTさんの音楽でした。
音楽で嘘をつかない事って本当に難しいと思うんです。
嘘をつこうと思ってついている訳でも無かったりするし、自分が嘘をついている自覚も無かったりします。
無意識に音楽のためではなく、自分のために(自分がカッコ良く見えるようにだったり、上手く聴こえるようにだったり。)音楽をしてしまう事、あると思うんです。
でも、それが無かったんです。
SALTさんの中にある、SALTさんが"良い"と思う音楽を、そのまま伝えて下さいました。
こんなに素敵な音楽がここにあるよ〜、とシェアして下さるように。
そこにそんな音楽を作る、弾く自分凄いでしょー!という思惑が全然見えなかったんです。
これって本当に凄い事だと、まずはそこに感動しました。
あー、だから私はSALTさんのピアノが大好きで、SALTさんの音楽を聴くと心が震えて、SALTさんのことを尊敬しているんだ、と改めて気付きました。
このコンサートに行けて本当に良かった。
冒頭から暑苦しくて長くてすみませんが、まずこの事を伝えたいと思いました。
ではそれぞれの曲について、書けるだけ書いていこうと思います。
なお、使用楽器や音や理論、、、まぁ要は全部なんですけど、興奮しながら聴いているので、間違いだらけだと思います。そこは目をつぶってお許し下さい🙇♀️🙇♀️🙇♀️
1.凪
私、以前この曲をコンサートで聴いた事があります。
SALTさんのファンになり間もなくて、このファンブログを開設する前のことです。
↑でチラッと感想を書いていますが、内容が無い…
感動し過ぎたんでしょうね笑
今回も似たようなものですが、、、
この曲、本当に壮大ですよね。
金管楽器の重低音から幕開けです。まるで嵐の前の静けさの凪いでいる海のよう。
そこに寄せては返す波のようなストリングス。
そして、波の上を反射する光のようなピアノ。
弾かれるスケールがただのスケールでなく、意味を、意志を持っていて、それだけで鳥肌が立ちました。(ホールトーンスケール…でしたか???)
音楽は一転して激しくなります。変拍子のメロディをピアノと木琴がユニゾンがカッコ良かったです。
SALTさんの音楽だ、、、ピアノだ、、、と思ったら涙腺崩壊。1曲目から大号泣でした。
2. Earth Beat
凪から間髪入れずに演奏が始まりました。まるでメドレーのようなスムーズな繋ぎ…!
繋がりの美しさに息を呑みました。天才が組むプログラム。。。
曲同士がキレイに繋がった時、SALTさんも満足そうなお顔されていたなぁ。いや、そりゃ満足だと思います。あんなに美しい調べ。
この曲はソルトストリングスで生で聴いた事はありますが、オーケストラ版を生で聴くのは初めて。
オーケストラ版を聴くのが楽しみだった1曲です。
SALTさんのオーケストレーションはカラフルで上品。その良さを存分に活かされていたと思います。
ストリングスの上で演奏されていたピアノの繰り返しフレーズが煌めきまくりでした。粒が揃っていて美しくて…ピアノの良さ全開。
そしてジャズのフィールを感じさせるピアノソロ。
クライマックスのコーダはもう圧巻。
3. Life With You
このプログラム、この曲をここではヤバいって!!
誰ですか、この天才的な構成を考えたのは。。。
冒頭2曲の壮大さ、SALTさんの音楽の大きさに感動している所へのLife With You。
泣きますよね。
美しく歌うメロディが印象的なこの曲。オーケストラ版だとさらに優雅さや柔らかさ、温かさがてんこ盛りになっていました。
SALTさんの音楽の根底には”優しさ”が流れていると思っているんですけど、この曲はそれがよくわかると個人的には感じます。
4. Rapsody in Blue(ガーシュイン)
また聴けた…。それだけで幸せで。
前回の演奏も、それはそれは素晴らしくって感動しまくりだったのですが。
さらに進化されてました。余計な力がストンと抜けていて、遊び心マシマシなガーシュインでした。
一番感銘を受けたのは。何度も演奏されているこの曲を、新鮮な驚きと感動を持って取り組まれていた事です。美しいハーモニーを味わい、面白い音遣いには驚き。まるでこの曲を初めて弾かれるかのように。まるでこの曲が今まさに作られているかのように。
まっさらな気持ちで、この曲に向き合われている事がよくわかる演奏でした。
ダイナミクスの付け方、特にpで弾く所の表情付けと言いますか(伝わりますか?)にSALTさんの個性をとても感じました。
ここで前半終わりです。圧倒され過ぎて”凄い”と”めっちゃ好き”くらいしか既に感想が出てこなくなっていましたね。。。
そして怒涛の後半へ。。。
5. Wishing Well
どことなく可愛らしく、上品で、明るくて。
SALTさんらしさをギュッとしたようで大好きなのがこのWishing Well。
変な連想かもしれませんが、この曲を聴くとディズニーのプリンセスが思い浮かぶんですよ。
柔らかい動きに、チャーミングな表情。そして圧倒的な美。
お姫様が優雅に踊っているみたい(小学生の感想)、とウットリ聞いていたら。
舞踏会から突然、きらびやかなショーの世界へ…!
グルーヴがスイングに変わって、オーケストラがまるでビッグバンドのように!
驚いて、そして感動しました。音楽って自由だ…。
SALTさんの発想力に感嘆するしかありませんでした。
#11th(でしたか…?)の響きが印象的な最後も素敵でした。
6. Pray
一転して静謐な深い世界観の曲。どことなくノスタルジーも感じます。古き良き映画のエンディングテーマみたいな。。。絶望の淵からも一縷の望みを信じ祈る。そんな"Pray"のように感じました。
音楽、美し過ぎていませんでしたか??
モティーフのメロディはどの楽器が演奏しても美しかった…。メロディが良いからですよね。
7. Elegy for Piano and Orchestra
まず前置きというか、言い訳を書いておきたいのですが
今回、私開演前にプログラムを見なかったんです。
次に何を演奏されるかも含めて、情報ゼロで音楽そのものだけを味わいたい、と思いまして。
なのでこの新作についても、プログラムに入っていたセルフライナーノーツを拝見せずに聴きました。(ライナーノーツが入っていることにも後で気付きました…)
そんな訳でご本人の解説と異なる感想も混じっていますが、嘘をつかず、当日感じたことを書きます。
そして、どの楽章だったかを思い出せないので先に一つ。
凄い対位法があった…!事は、とても印象に残っています。(8/17追記)
◇第1楽章 Darkness, Sadness, and Unreasonableness…
石畳のヨーロッパの街並みが見えました。
曇天の空からは、静かに雨が降り続いています。
そこに教会からは鐘の音。これは葬列を送る鐘。
私たちが未知の感染症の怖さを実感した光景に思えました。
SALTさんがパンデミック以降に感じたこと、見えた世界を音楽を通して語ってくれるんだ。
そう感じて。それならば余すところなく受け取りたい、と勝手に身の引き締まる思いでした。
ピアノで力強く演奏されていた和音の列。
このぶつかる音、どこかで聴いたことある。。。あ!小曽根さんとの2台ピアノで弾かれた曲に似ている!
と思いましたが、似ているのではなく、あの曲でした。
行き場のない感情をぶつけるかのようなピアノに胸が締め付けられそうでした。
◇第2楽章 Deep in Thought A Ray of Hope
戸惑いや不安を抱えながら、扉を開けて恐る恐る外へ出てくる人々が見えました。そして束の間の平穏。
太陽の下、市場のような所で伸びやかに買い物したり笑い合ったり。そんな風景が見えました。
次の脅威がまた迫っている事も感じさせつつ、この楽章は終わります。
◇第3楽章 Rondo for A Dream
夢の中に現れるような移動遊園地やピエロが浮かんで来ました。
この特徴的なメロディ。そしてこの唐突に挿し込まれる和音。
ソルトストリングスで聴いた”Rondo”に似ている!とこれまた思いましたが、似ているのではなく。。。
”Rondo”をオケ版にした曲でした。
とっても不思議なメロディなんですが、一度聴いたら耳と脳に残るんですよね。
決してとても歌いやすいメロディではないんですが、歌ってしまうんですよね。
こういう絶妙なメロディを書けるSALTさんの頭の中をやっぱり見たい、、、と思いました。
A→Bパートへの切り替わりの唐突さ。
唐突だけど破綻はしていない、というこれもまた絶妙な塩梅を突いていらっしゃって。
理論から構築していってもできないでしょうし、理論を全く知らずに作曲してもできないでしょうし。
知性と感性が本当にバランス良く共存されているなぁ、と感じました。
つまりは天才。。。
Cパート、美し過ぎましたね。ピアノメインでしたが、ストリングスとの絡みも美しかった。
収束するかと思いきや突然に拡大し。
そんな混沌とした世界のような、まるで現実を受け止め切れずに夢を見るような、そんな楽章でした。
◇第4楽章 Finale for Future
夢見るのも終わり!とばかりに一気に厳しい現実を見せられるかのような荒々しい音楽で始まります。
終楽章にふさわしく、今までの楽章で使われたモティーフが顔を覗かせ、この物語がエンディングへと向かって行きます。
その後、第1楽章が再現されますが印象は違います。
絶望に覆われていた第1楽章に比べて希望が顔を覗かせているように感じました。
オーケストレーションの違いで表現されているんだと思いますが、細かい所を覚えていられなかったので、もう一度聴きたい。
ラストに音楽が向かう中、私は一人ドキドキしていました。
音楽を聴いてこの種類のドキドキを味わうのが初めてで自分でも驚きましたが。
物語を読んでいる時のように、結末がどうなるのかが気になって、この結末がハッピーエンドなのかバッドエンドなのかが気になって。
SALTさんはこの物語にどんな結末を用意しているのか。
本当にドキドキしました。
聴いた感想は「結論は出なかった」でした。
ハッピーエンドでもバッドエンドでもない。ただそこに希望の光は射し込んで来ている。
ご本人解説を後で読んでみたら、印象はちょっと違いましたが、私が感じたことはこうでした。
第1楽章で見えたヨーロッパの街並みはまた見えましたが、雨は止んでいました。
空は晴れてはいなかったけど、厚い雲の隙間から薄日は射していました。
何度も繰り返し聴きたい。音源欲しいです。お金なら出します、お願いします
8. Spanish Waltz
わー!カッコいい!!
オーケストレーションがさらに洗練されていて、各パートがくっきり浮かび上がっていました!!!
鋭さがマシマシで、新しいSALTさんのオーケストレーションを体感できた気がします。
もうカッコいいしか出てこなかった笑
SALTさんの音楽の幅広さに驚愕しっぱなしで語彙力もなくなります(開き直り)
E.C.1 Morning Bliss
サウンドチェックにいつも弾く曲が何曲かあります。サウンドチェックの曲を弾きます、というとおかしいですが笑
というSALTさんらしい曲紹介に続いて演奏された大好きな曲。このコンサートで唯一のピアノソロ。
♪ソーソーソ♪ 同じ音を弾いているだけのはずなのに、それがこんなにも素晴らしい音楽になるなんて。
この曲を聴く度に思うことですが、また実感。そして号泣。
何を弾くかも大事だけど、どう弾くかはもっと大事なんじゃないか、と。
SALTさんだから弾けるピアノ。ピアノのポテンシャルを最大限に引き出せるSALTさんだから弾けるピアノ。
そして豊かな音楽がSALTさんの中にあるから弾けるピアノ。
朝日って、力強くて、新しくて、爽やかな感動があると感じるのですが、
この曲は曲名の通り、そんな感動を味わわせてもらえます。つまりは大好き、です。
E.C.2 Life With You
何と!クラリネットのリチャード・ストルツマンさんが飛び入りでご参加でした!!
開演前、自席に向かう際。目の前を横切った男性がいまして、、、ふと顔を見たら"お兄"こと小曽根真さんでした。(余談ですが、駆け付けてくれたミュージシャンを紹介する際、小曽根さんももちろん紹介されたんですが、小曽根さんの事、大好きなんだなぁとよくわかってほっこりでした。投げキッスされてましたよね🤭)
と、小曽根さんの隣に目をやると、ミカ・ストルツマンさん、そしてリチャードさんもいらして。わ〜!と思っていたそのリチャードさんがステージに。
嬉しかったし驚きました。
リチャードさんとSALTさんのデュオ。
お互いへの愛とリスペクトを持って、音楽で会話をしている様子を拝見できて、幸せでした。
リチャードさんのクラリネットは伸びやかで、透き通る音色で、そして柔らかく。自由に伸び伸びと歌うクラリネットに、自然と寄り添うSALTさんのピアノ。素敵でした。
E.C.3 Preciousness
美しかった…。あとは何を書けるだろうか?とずっと探していたんですが、これしか見つかりませんでした。
どんなに言葉を尽くしても伝えられない。
音楽も美しい。SALTさんのピアノも美しい。
ストリングスも美しい。
そして、SALTさんの音楽に向き合う姿勢や心が美しい。
本当に素晴らしいコンサートでした。
SALTさんのピアノとオーケストラ。
SALTさんはもちろんソリストで、ソリストたる堂々とした演奏なんですけども。
"オーケストラを従えて"でも"オーケストラに埋もれて"でもなく。
"オーケストラと調和して"いる感じが、とても好きなんです。
ピアノがもちろん際立つパートはありますが、それはピアノがソリストだからではなく、音楽がそう求めているからそうなっていて。
オーケストラと融合されているんですが、でも、ソリストとしての華やオーラも持ち合わせていらっしゃって。
出しゃばろうとする訳ではないのに、耳がいく。惹きつけられる。本当に魅力的なピアノです。
SALTさんのピアノと音楽を堪能できて本当に幸せでした。
寿命が延びました。
SALTさんもあと30年、頑張って下さるそうなので、私も頑張ろうと思います
SALTさん、改めてデビュー30周年おめでとうございます。
そして、コンサート大成功!!!
おめでとうございました!!!
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