スッポンモドキは人によく懐くしウミガメをイメージするシルエットや水槽を優雅に泳ぎ回る姿が魅力的ですね。
しかし、スッポンモドキは非常に大型に成長するカメで、飼育するにはかなりの大型水槽が必要になります。一般的家庭では飼育が難しいカメだと思った方が良いですね。
近年輸出の規制が厳しく入荷量も減っており、販売価格も高価になっています。
今回はスッポンモドキの生態と特徴、大きさ、飼育に必要な水槽設備や費用を紹介します。筆者もスッポンモドキを飼育していましたが、幼体なら数千円の設備投資で済みますが、成体になると15〜30万円以上の費用が必要となり、更に長生きするため金銭的にかなりの投資が必要になる事を覚悟して下さいね。
スッポンモドキの飼い方
分布:インドネシア、オーストラリア
全長:最大80cm
寿命:20〜25年
水槽:最低120×60×45cm
水温:24〜30℃
水質:PH6.0〜7.5
性格:噛み癖あり
混泳: 不可能ではないが適さない(噛み癖のある個体は特に難しい)
価格:15000〜
スッポンモドキとは?
スッポンモドキとは、スッポンモドキ科スッポンモドキ属に分類される水生カメの仲間で、オーストラリアやインドネシアの沼地や河川に生息しています。
スッポンとは付きますが日本でお馴染みのスッポンとは違い、スッポンモドキは甲羅が硬く鼻先が平らですし陸地を歩くのが苦手です。スッポンモドキが陸に上がるのはメスが産卵する時だけと言われています。
ブタバナガメとも呼ばれるように豚の鼻に似た先端が平らな鼻のおかげで水底にある餌も食べやすい。時には鼻で砂を掘り返して餌を探す姿も見られます。
カメといえば甲羅干しをする姿が印象的ですが、スッポンモドキは水中で生活するため前足と後ろ足がヒレのような平たいオール状になって、ウミガメよりもより自在に水中を泳ぎ回れるようになっています。
肺呼吸をするので定期的に水面に鼻先を出して呼吸し、成体では1回息継ぎすると1時間以上潜水する事ができる。
スッポンモドキは飼育人気が高まったせいで乱獲されてしまい数が激減してしまったため、現在スッポンモドキはサイテス2の対象となっており捕獲と輸出に制限が掛けられています。
このおかげで野生のスッポンモドキは数が回復していますが、販売価格は非常に高価になりました。現在は5〜10cmの幼体で15000円くらいから購入できるようです。
しかし、スッポンモドキを購入すると嫌でも数十万円の飼育設備が必要になるので、それなりの投資が出来ない人を最初からふるい落とすには価格が高いほうが良いのでしょうね。
スッポンモドキの大きさは全長50〜70cmで最大80cm程度まで成長します。カメは生きている限り成長し続けるので、長生きすればする程大きなスッポンモドキになりますよ。
とは言え、やはり成長期となる40cmくらいまでにどれだけ餌を与えて広い飼育環境を用意出来るかが重要です。
スッポンモドキの寿命は20〜25年ですが、飼育下ではストレスが多いため、20年生きれば長生きしたと思って良いでしょう。
狭く水質も悪い環境だと甲羅の質感も悪くなり15年以上の長生は期待できません。飼育が下手な人は飼育者は数年で死なせてしまいます。
スッポンモドキはストレスに弱く意外とデリケートなカメで、ストレスが溜まると前足を齧って傷つける自傷行為を行う事があります。
可哀想なスッポンモドキを生まないために、下記で紹介する飼育設備をよく見て、本当に終生飼育が出来るのか考えて下さいね。
アニメ「けいおん」に登場
人気アニメの「けいおん」にトンちゃんなる小型のスッポンモドキが登場する。アニメだけ見ると可愛らしくて飼育しやすそうに思われたのか、アニメの放送後にスッポンモドキが沢山の売れたようだが、予想以上に大きくなり過ぎて持て余す人が続出したとか。
スッポンモドキの子供
スッポンモドキの幼体は甲羅の縁と真ん中がギザギザしていて、甲羅の表面には肋骨のような凹凸が見られます。それ以外は大人とあまり変わりませんね。
ちょこまかと泳ぎ回る姿は大人にはない可愛らしさがあります。
アニメに登場したのもこれくらいのサイズだったと思うが、1年で15〜20cm、3年で20〜30cmくらいに成長するので直ぐに大きな水槽が必要になるよ。
水質
スッポンモドキに適した水質は水温20〜28度、P H(ペーパー)6.0〜7.5の酸性から弱アルカリ性です。水質変化への対応能力は魚より高く丈夫と言えますが、あまりに水質変化が激しいと肌荒れを起こすので注意しましょう。
水を汚すスッポンモドキの飼育では水換えしていてもPH(ペーパー)が下がりやすい傾向にあるため、PHが6.0を下回らないように注意して管理しよう。
ろ材にサンゴ砂を入れておくと安心ですが、この場合PHで硝酸塩の蓄積度合いが判断できないため、硝酸塩は別途試験紙で測って下さい。
硝酸塩は魚より圧倒的に耐性があり1ℓ/60ppmは余裕。ですが硝酸塩があまり増えるとPHがどんどん下がるのでPHを目安にして定期的な水換えを行いましょう。
基本的は毎週半分の水換えしていれば、よほどフィルターの能力が低い場合以外は異常は起きません。
スッポンモドキの飼育に必要な飼育設備
スッポンモドキの飼育に必要な飼育設備は、水槽、水槽のフタ、水槽台、フィルター、ヒーター、ヒーターカバー、水温計、塩素中和剤が最低限必要な飼育機材となります。
スッポンモドキの幼体なら45〜60cm水槽から飼育が出来るので、1万円未満の設備投資で飼育を始める事が出来ますぬ。
【サイズごとに必要な飼育設備と費用は】
20cm未満なら60cm水槽以下で1万円程度。
20〜30cmなら90cm水槽で5万円程度。
30〜40cmなら120×45×45cm水槽で10万円程度。
40〜50cmなら120×60×45cm水槽で15〜20万円程度。
50〜60cmなら150×75×45cm水槽で30〜50万円程度。(品質やメーカーによって価格の差が大きい)
あまり設備投資をしたくないなら60cm水槽で限界の25cmくはいまで育てて120cm水槽に移行しても良いでしょう。大型のアクリル水槽は高価なので中古で探すのも良いですね。
水槽
スッポンモドキの飼育には最低でも横幅120×奥行き60×高さ45cmの水槽が必要で、健康に長生きさせたいなら横幅150×奥行き75×高さ45cm以上の水槽が必要になりますよ。理想は180×90×45cmの大型水槽です。
どの水槽サイズめRC(鉄筋コンクリート)造の建物以外では床の補強が必要になるので、設備費用の他に床の補強費用や無理のない設置スペースの確保なども考える必要がありますね。
120×60×45cm水槽で設備の総重量が300kgを超えるので、一般的な木造住宅やアパートでは床の補強が必要です。
水槽はスッポンモドキが衝突しても割れ難いアクリル製を選びましょう。60〜90cm水槽までならガラス水槽で構いません。
蓋
スッポンモドキは力が強いのでフタはオモリを乗せるなどして下さい。120cm以上の水槽ならフタの素材は塩ビかポリカーボネートがおすすめ。
水位を低くして脱走やイタズラ対策をするのも有効ですよ。
ヒーター
ヒーターはスッポンモドキが本体やコードに噛み付いて破損させる可能性があるので、必要なワット数値になるように2本(2系統)設置するようにします。
ヒーター本体も割られないようにヒーターカバーを必ず付けるようにして下さいね。
フィルター
スッポンモドキは水を汚すのでフィルターは濾過能力が高い上部式フィルターやオーバーフロー式濾過がおすすめ。
オーバーフロー式濾過は濾過能力が非常に高いかわりに設備費用が2倍以上になる事もあります。とは言え120×60×45cm以上の水槽だと上部式フィルターでは濾過能力に限界があるので、もし混泳させるならオーバーフローも検討して下さい。
単独飼育なら180cm水槽でも上部式フィルターで問題無いでしょう。補助として外部式フィルターや投げ込み式フィルターを投入するのも水質の安定に高価あり。
ろ材は目詰まりし難いリング状ろ材がおすすめ。フィルターのウールマットはゴミが詰まりやすいので小まめに交換したり水洗いしよう。
外部式フィルターは詰まりやすいのでマットは不用。1〜2ヶ月に1回は掃除をしましょう。
スッポンモドキは肺呼吸なのでエアレーションは必要ありませんが、エアレーションを施すとバクテリアが活性化するのでより水質が安定しますよ。
紫外線ライト
川や池でカメが甲羅干しする姿を見かける事があるかと思いますが、スッポンモドキも健全な甲羅の形成に紫外線が必要。部屋での飼育では紫外線が不足してしまい、甲羅の変形や肌荒れを起こす原因になってしまいます。
なので水槽の半分を照らせるように紫外線のスポットライトを設置して下さい。甲羅が変形してからでは手遅れですからね。
水槽を窓際に置くなら必要とは言えないかしれませんね。体温は主に水温に左右されるのでバスキングライト(加温球)は不用です。
エサ
水生カメ用の餌や大型魚用のタブレット(錠剤)形の餌をメインに、植物質を多く含んだプレコ用のタブレットも与えよう。スッポンモドキは雑食性が強く、餌をあまり選り好みせずに食べてくれますよ。
金魚やワカサギなど川魚も生死を問わず食べますが、生き餌を捕まえるのは苦手。与えるなら冷凍のワカサギが無難かな。
生餌は水を汚すので人工飼料だけでも構いません。生餌は時々オヤツ程度に与える程度で良いでしょう。
混泳
スッポンモドキ同士の混泳も噛みつきあって喧嘩する可能性が高いので避けよう。
混泳に適した魚はパロットファイアーやカイヤンなど遊泳性のある20〜30cmくらいの魚が良いでしょう。意外とネオンテトラなど小さい魚も混泳できるが、食べられて徐々に減る可能性はあるが...
不向きな魚はあまり動かないポリプテルスやナマズ、淡水エイです。
水槽内をよく泳ぎ回るので余裕のある広いスペースが用意できないなら混泳は避けた方が無難ですね。
レイアウト
スッポンモドキは良く泳ぎ回れるため水槽レイアウトはとにかくシンプルにしたい。砂を敷く場合も水槽の底面が隠れる程度に浅く敷くようにしましょう。
病気
甲羅の形成には適度な紫外線が必要で、LEDだけで飼育していると甲羅の形成不全が起き形が変形してしまう可能性があります。
水槽を窓の近くに置いたり水槽の掃除をする際にタライに入れて日の当たる場所に置いておくのも有効です。
甲羅の表面にゴミが溜まって肌荒れを起こすこともあるのでゴミ対策と運動も兼ねて強い水流が当たる場所を作るようにしたい。
あまりゴミが溜まってしまうと水カビ病を発症してしまいます。皮膚にワタ状の物が付着していたら水カビ病の可能性があるので、半分以上の水替えをして清潔な環境を整えましょう。
餌のカスなどゴミが減らないならエアーポンプで動くフィッシュレットを使ってゴミを集めるのも有効ですよ。
注意点
【まとめ】
スッポンモドキは10年以上の長い付き合いになる生き物なので、それだけの長期間付き合えるのか?維持費が負担にならないのか?良く検討して飼育に挑戦して下さいね。
ミドリガメや小型のリクガメとは必要なコストも段違いですから。