今回は熱帯魚飼育で使用されているフィルターの種類や特徴、性能、濾過能力、各種熱帯魚フィルターのメリット・デメリットも紹介します。
《熱帯魚フィルターの選び方》
まずはどんなフィルターがどんな熱帯魚水槽に向いているのか確認しておきましょう。
濾過能力が高いからと言って上部式フィルターを水草を植える水槽に使うのは無理ですし、水槽の周りがスッキリするからと水中フィルターを大型魚の飼育で使うのも無理があります。
各種熱帯魚フィルターには適材適所があるので、以下の使用用途を参考に選んでみて下さい。
●小型水槽
外掛け式フィルター、投げ込み式フィルター、スポンジフィルター、底面フィルター、小型の外部式フィルター
●水草水槽
外部式フィルター、外掛け式フィルター、モーター駆動の水中フィルター全般と底面フィルター
●中・大型熱帯魚水槽
上部式フィルター、外部式フィルター
【水槽サイズに合った製品を購入しよう】
用途に合ったフィルターがきまったら、水槽サイズに合った容量の製品を購入して下さい。
大抵のフィルターは箱に「◯◯cm水槽用」などと適合する水槽のサイズが記載されています。
飼育する熱帯魚の数が多いならフィルターの容量は余裕を持った製品を選ぶのが一番です。
〈フィルターの駆動方式〉
●電動ポンプ式
電動ポンプでパワフルに水を循環できるのが特徴です。
ポンプ式は濾過効率に優れており、多少フィルターが詰まってきても能力が低下しにくいため、安定した濾過性能を得られます。
●エアーリフト式
エアーポンプから送られるエアーの力で作動するフィルターで、金魚の飼育でよく見かける通称「ブクブク」が有名です。
パワーのあるエアーポンプなら1台からホースを分岐すれば、2〜5本以上の水槽でも1つの電源から全てのフィルターが動かせるため、沢山の小型水槽を設置する人に利用されています。
沢山の水槽をエアーリフト式で運用すると部屋の湿度が高くなるので注意しましょう。
《熱帯魚フィルターの種類と特徴》
外掛け式フィルター
カートリッジ式のフィルターを交換する事でメンテナンスも非常に簡単で、水槽内に入る部分も最小限なので、外掛け式フィルターなら小型水槽でもスペースを無駄にすることがありません。
大抵の外掛け式フィルターは半透明の本体を採用しているので、ろ材の交換時期もわかりやすいです。
手軽に使えてメンテナンスも簡単な熱帯魚フィルターを探している人におすすめです。
【性能・特徴】
●濾過能力:★★★☆☆
●濾過槽容量:★★★☆☆
●メンテナンス性:★★★★★
●ランニングコスト:★★★☆☆
●作動音:★★★★☆
●価格:★★★★★
【メリット ・デメリット】
メリット
●使い方が簡単
●水槽内がスッキリする
●ろ材の交換時期が把握しやすい
●流量の調整ができる
デメリット
●水槽の後ろに使いにくい
●水槽の周りにスペースを取る
●設置場所によっては目立つ
外掛け式フィルターの主なメリットは使い方が簡単で、小型水槽でも水槽内が広く使えること。
大抵の機種でツマミを回して流量の調節も可能です。
デメリットは濾過カートリッジを交換するとバクテリアも一気に減少してしまうことです。
カートリッジの交換後はバクテリアを添加することをおすすめします。
製品毎に作られた専用のカートリッジを購入しなければならないので、多少ランニングコストもかかります。
上部式フィルター
上部式フィルターとは水槽の上に設置して使用するフィルターで、とても容量大きな濾過層を持ち、非常に高い濾過能力を誇るフィルターです。
高い濾過能力が必要となる水を汚しやすい魚の飼育や大型魚飼育で使用されており、濾過能力が高い割に価格がリーズナブルなのも魅力ですね。
主に45cm以上の水槽で使用され、1mを超える大型水槽では殆どが上部式フィルターを採用しています。
濾過方式では「オーバーフロー式」に容量で負けますが、市販のフィルターとしては上部式フィルターが最強と言えるでしょう。
汎用性も高く専用のろ材意外にもリング濾材など好きな濾材を使えるのも特徴で、ウールマット以外を半永久的に使えるろ材にすればランニングコストは非常に安く済みます。
【性能・特徴】
●濾過能力:★★★★★
●濾過槽容量:★★★★★
●メンテナンス性:★★★★☆
●ランニングコスト:★★★★☆
●作動音:★★★☆☆
●価格:★★★☆☆
【メリット・デメリット】
メリット
●とにかく濾過能力が高い
●メンテナンスも簡単
●ろ材へ酸素を供給できる
●色々なろ材が使用できる
デメリット
●オールガラス水槽では使えないかも
●水槽の上部を3〜4割ほど塞いでしまう
●Co2を逃しやすい
上部式フィルターのメリットは非常に高い濾過能力です。少し多めに熱帯魚を飼育したい場合や、水を汚しやすい中・大型熱帯魚の飼育では上部式フィルターが定番です。
上部式フィルターのろ材はメーカーが販売している専用の物を使用しても良いですが、粒状やリング状をしたろ材のを使用した方が水質が安定しやすくなります。
使えるろ材の種類が豊富なのも上部式フィルターの大きなメリットですね。
デメリットは水槽の上部を広く覆ってしまうことで、照明を複数設置する水草水槽やサンゴ水槽での使用には向きません。
更に上部式フィルターは水と空気が接触する割合が多く、ろ材への酸素供給が豊富な反面、水草に必要なCo2を発散してしまいます。
上記の理由から上部式フィルターは水草水槽に全く向かないフィルターと言えます。
上部式フィルターの多くはオールガラス水槽には基本的に使用が出来ないと記載されてます。
これはオールガラス水槽の幅がフレーム付き水槽と若干異なるためで、ちゃんと上に乗せられれば使えないことはないのですが、中にはフィルターに付いている引っ掛かりとなる部分と、水槽の横幅が合わない事があるようです。
投げ込み式フィルター
投げ込み式フィルターは通称「ブクブク」とも呼ばれるフィルターで、熱帯魚から金魚、両生類など水生生物の飼育に幅広く利用されています。
投げ込み式フィルターは小型水槽用の製品が殆どですが、「水作ジャンボ」など大水量に対応した大きな製品も存在する。
内部のフィルターはカートリッジ式で、他のフィルターのように汚れたら交換します。とはいえ、投げ込み式フィルターも粒状・リング状のろ材が使えます。
底にはウエイトがわりの砂利が入っており、この砂利にもバクテリアが繁殖して濾過に貢献してくれます。
安価な投げ込み式フィルターも、使用するためには別途エアーポンプとエアーチューブが必要で、本体以外に初期費用がかかります。
しかし、エアーを分岐すれば1台のエアーポンプで複数のフィルターを稼働できるので、小型水槽を複数設置する人には大きなメリットとなります。
エアーポンプは熱帯魚の飼育機材の中で群を抜いてうるさいため、使用場所には注意しましょう。
【性能・特徴】
●濾過能力:★★★☆☆
●濾過槽容量:★★☆☆☆
●メンテナンス性:★★★☆☆
●ランニングコスト:★★★★☆
●作動音:★☆☆☆☆
●価格:★★★★★
【メリット・デメリット】
メリット
●エアーポンプ1台で複数台稼働できる
●価格が安い
●エアレーション効果もある
デメリット
●エアーポンプの音が発生する
●フィルター以外にエアーポンプとエアーチューブが必要
●水槽内でスペースをとる
●インテリア性が低くなる
スポンジフィルター
他のフィルターを使った事がある人だと濾過に効果があるのかと思われますが、スポンジにはバクテリアが定着して濾過能力を発揮します。
スポンジフィルターはごく少数の熱帯魚や熱帯魚の稚魚など、少ない濾過能力でも問題ない生体を飼育する場合に利用されます。
発生する水利も緩いのでグッピーや稚魚にも優しく、稚魚を吸い込む心配もないため安心。
【性能・特徴】
●濾過能力:★★☆☆☆
●濾過槽容量:スポンジサイズによる
●メンテナンス性:★★★☆☆
●ランニングコスト:★★★★★
●作動音:★★☆☆☆
●価格:★★★★☆
【メリット ・デメリット】
メリット
●複数の水槽を設置する場合におすすめ
●ランニングコストが安い
●エアレーションの効果もある
デメリット
●濾過能力は必要最低限
●エアーポンプの音が発生する
スポンジフィルターは複数の水槽を設置する場合や、一時的に稚魚用の水槽、隔離水槽を設置する場合に有効な熱帯魚フィルターです。
フィルターの掃除もスポンジを飼育水を汲んだ容器の水中で揉めばゴミが吐き出されるので、長い期間同じスポンジを使用可能です。
デメリットはエアーポンプの作動音がうるさいこと、濾過能力が最低限で水の黄ばみも取ることができない点です。
水中フィルター
水中フィルターは水槽の壁面にキスゴムなどで設置し、電動ポンプで駆動するフィルターです。
投げ込み式フィルターも水中フィルターの一種ですが、今回はエアーで作動するか電動ポンプで作動するかの違いで分けて紹介します。
水中フィルターはポンプで駆動するため「投げ込み式フィルター」よりも濾過能力が高く、程よい水流もつくれるし、動力にエアーを使わないので水草水槽でも使う事ができるのは大きなメリットだ。
さらに水槽の壁面やコーナーに設置できるため、占有するスペースを最小限で済む。
【性能・特徴】
●濾過能力:★★★☆☆
●濾過槽容量:★★☆☆
●メンテナンス性:★★☆☆☆
●ランニングコスト:★★★☆☆
●作動音:★★★★☆
●価格:★★★★☆
【メリット・デメリット】
メリット
●スマートに設置できる
●水草の育成にも使える
●比較的浅い水深でも使える
デメリット
●取り外しに少し手間がかかる
●水中にモーターが入るので水温を上げやすい
●小型水槽でしかメインで使えない
外部式フィルター
外部式フィルターは「密閉式フィルター」とも呼ばれる熱帯魚フィルターで、フィルター本体と水槽をホースで繋いで水を循環させる構造をしています。
外部式フィルターは水槽より下なら設置場所の自由度が高いので、キャビネットに収納したり少し離れた場所にも設置ができます。
密閉式フィルターはCo2を逃がさないため水草の育成に最適で、ほとんどの水草水槽で外部式フィルターが使用されています。
【性能・特徴的】
●濾過能力:★★★★☆
●濾過槽容量:★★★★☆
●メンテナンス性:★★★☆☆
●ランニングコスト:★★★★☆
●価格:★★☆☆☆
【メリット ・デメリット】
メリット
●Co2を逃がさないので水草の育成に最適
●作動音が非常に静か
●豊富なアクセサリーで色々な用途に対応できる
●サブフィルターと連結して容量を増やせる
デメリット
●生体の酸欠に注意が必要
●やや高価
●水槽より下など設置場所に制限がある場合もある
外部式フィルターは本格的な水草レイアウト水槽でのシェア99%と言って良いほど水草の育成に仕様されています。
酸素を供給したいならシャワーパイプや排水口を水面に出して水面を波立たせるか、エアレーションを施しましょう。
底面フィルター
底面フィルターとは、水槽の1番底に敷いて使う熱帯魚フィルターで、他のフィルターと違い水槽に敷いた砂を利用するのが特徴。
底面フィルターを使う場合は大磯砂やソイル、セラミックサンドなど粒のサイズが3〜5mmほどの敷砂が使われます。
濾過能力は砂の質や厚みにも左右されるので、底面フィルターを使うなら水槽に敷く砂は良く検討する必要がありますね。
底面フィルターはスポンジフィルターや投げ込み式フィルターと同じくエアーポンプで作動するため、小型水槽を複数設置する場合に良く利用されており、ビーシュリンプやグッピーの繁殖などで複数の水槽を設置するブリーダーに重宝されています。
底面フィルターにはモーター式のタイプもあり、モーター式の方が濾過能力が高くなっています。
【性能・特徴】
●濾過能力:★★★★☆(敷砂の種類にもよる)
●濾過槽容量:敷砂の厚み次第
●メンテナンス性:★☆☆☆☆
●ランニングコスト:★★★★★
●価格:★★★★☆
【メリット ・デメリット】
メリット
●沢山水槽を設置する場合に有効
●ランニングコストが安い
●小型水槽では高い濾過能力を発揮する
デメリット
●砂を一定の厚み敷かないといけない
●砂の掃除が必要
●細かい砂は使えない
●活性炭が使えない
底面フィルターの使い方は、フィルターを水槽の底に設置したら上にウールマットや細目のネットを敷き、上に粒状の砂を4〜5cm以上の厚みになるように敷き詰めます。
底面フィルターで最大限の濾過能力を発揮させたいなら、敷き詰める砂は吸着系のソイルやセラミックサンドがおすすめ。
メンテナンスはフィルターを交換する代わりに、水換え時にホースで砂の中に溜まった汚れを吸い出します。
デメリットとして底面フィルターは使い方が限られており、他のフィルターとは違い底面フィルター自体に活性炭などを投入できないため、水に黄ばみが出たら水換えするか、水中に活性炭の入った袋を入れておくしかできません。
《フィルター以外の濾過方式》
オーバーフロー濾過
非常に容量の大きな濾過槽を設置できるので高い濾過能力を有しています。
背面濾過・側面濾過
背面濾過は水槽の背面や側面を板で仕切り濾過槽として使う濾過方式で、オールインワン水槽とも呼ばれており、初心者向けの飼育設備として一部のメーカーから販売されています。
業務用の水槽ではよく見られるタイプの濾過方式で、お寿司屋さんや飲食店にある活魚水槽なんかに多いですね。
水槽外にフィルターを設置する必要もなく、設備の移動がまとめて行えるのがメリットです。
デメリットは水槽内が狭くなる点と濾過槽の容量に限界があること、拡張性に欠けることが挙げられます。
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