能登半島地震の現地取材へ行ってきましたのでレポートさせていただきます。
取材にあたって、現地での移動は自転車としました。
以下の日程で取材をしました。
1月1日(月)16時10分 能登半島地震発生
1月8日(月)夜 新幹線で金沢入り
1月9日(火)〜11日(木) 現地取材(3日間)
1月12日(金)帰京
この3日間の取材の顛末をお伝えします! |
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金沢駅でレンタルした電動自転車。
荷台がなかったのでフレームに無理やり荷物をくくりつけた。
この仕様により内腿に荷物がひっかかってしまうため、ガニ股での自転車漕ぎを余儀なくされ、走行スピードならびに距離が落ちた要因のひとつとなった。 次回へ向けた反省点のひとつ。 |
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目次
- はじめに
- なぜ自転車なのか?
- 取材ルート
- 金沢市内の様子
- 内灘町の様子
- 気になる志賀原発の様子は!?
- 稼働中の原発は地震時におけるオペレーション失敗による日本滅亡のリスクが桁違いに大きい
- 政府の初動は万全だったのか
- 実際の現地の道路状況は?
- 最大の防災対策とは!?
- 今後の防災に向けての提案
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🔸なぜ自転車なのか?
1月5日から、石川県知事である馳知事より、渋滞緩和のため、能登への移動を控えるようアナウンスが出ていました。 |
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Twitterより
石川県馳知事および石川県からの能登への移動を控えるようにというアナウンス |
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そこで、自転車なら渋滞の要因とはならないだろうということで、自転車での移動としました。
また、極力現地のリソースを消費しないよう、水、食料、寝袋、カイロなどを持参し、自己完結型の取材を試みることとしました。 |
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持参したもの
水(2ℓ×4本)
カロリーメイト(3食×3日分)
ウィダーインゼリー(ビタミン補給用 3日分)
カイロ
アルミシート他
結局ほぼ使わずに残ったので最終日に寄った避難所で寄付させていただきました。 |
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バックパックに寝袋と機材をくくりつけて背負った上のでの自転車走行。
水だけで8kgあり、食料や簡易トイレ、撮影用機材やバッテリーも含めると総重量20kg近く。
重すぎてスピードがあがらず、自転車走行中に肩も痛くなり度々の休息を余儀なくされた。
荷物過剰が、初日に志賀原発にたどり着くことができなかった主な要因である。次回へ向けた反省点。 |
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🔸取材ルート
能登半島の全域の地図がこちら。
地図上のピンクの線が取材ルートです。 |
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金沢駅から日本海側を北上し、初日は志賀原発を目指しました。
初日で志賀原発到着を予定していましたが、内灘町での取材や荷物重量過多により距離が稼げず、ライトも整備不良により点かなかったため、初日での到着を断念することとなりました。
結果的に2日目に志賀原発到着となり、結果的にその後の奥能登入りは断念せざるを得ませんでした。
初日は宇野気駅近くのホテルに宿泊しました。
このあたりは水道、電気も問題なく、ホテル、飲食店ともに普通に営業しており、お風呂も入ることができました。
なお、当時高松駅以北は電車も通行止めとなっていました。(現在は羽咋駅まで電車は復旧)。 |
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🔸金沢市内の様子
1月8日(月)(連休最終日)の夜に新幹線で金沢駅に到着しました。
金沢市内はほとんど地震の影響はなかったと言ってもよく、各種公共交通機関や飲食店も普通に営業していました。 |
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金沢駅到着時の様子 2024/1/8 |
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コンビニに普通に水も食料も売っていたので、わざわざ都内で買ってくる必要はなかった訳ですが、こればっかりは実際に行ってみないとわかりませんでした😅 |
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金沢駅近くの旅館にチェックイン後、晩飯を取りに駅前の居酒屋チェーンへ。
お刺身の盛り合わせとご飯セットをいただきました😋
これだけ分厚いお刺身がなんと888円とっても新鮮で美味しかったです🤤
能登ではお刺身ばかり食べてしまいますね😂 |
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🔸内灘町の様子
取材1日目の1月9日(火)、志賀原発に向けて自転車🚴♂️で出発、道中で内灘町を取材しました。
内灘町は金沢駅からは7~8kmと近いのですが、地震被害が大きく、断水も続いています。
以下の動画では、被害の様子、地盤が大きく盛り上がり、階段が縦になってしまった様子などを撮影しています。 |
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内灘町の様子 2024/1/9 |
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金沢駅からすぐ北にある内灘町。
干拓地で地盤が軟弱だったということもあり、被害が拡大している。 |
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内灘町西新谷小学校前の道路
電柱と看板が倒れかけ電線にひっかかっている。 |
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🔸気になる志賀原発の様子は!?
取材2日目の1月10日(水)の夕方、ようやく志賀原発のある志賀町に到着しました。
金沢駅から志賀町までは距離にして65kmほどあります。
今回の地震で、志賀町では最大震度である震度7が計測されました。
志賀町は断水に見舞われ、復旧の目処は立っておらず、長期の断水が見込まれる見通し。
はたして原発は大丈夫だったのでしょうか。 |
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志賀町に入って早速目についた、
原発の安全性と未来性をアピールする看板。
福島の事故を経験したあとでは、「安全を基本に原子力は未来をささえます」と言う言葉自体が空虚だ。
この町だけは時が止まっているかのような気がした。 |
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今回放射能測定用に持ち込んだ、世界初の放射能測定機能を搭載したSHARP製のスマホ PANTONE5。
原発事故の後に買って、その後iPhoneに機種変更したのですが捨てずに保管しておいたものです。
まさか役立つ日が来るとは😳
https://www.softbank.jp/corp/group/sbm/news/press/2012/20120529_04-page_02/
- 世界初※3、放射線測定機能搭載、ボタンひとつで簡単に測定可能
- PANTONE® 5は、簡単な操作で放射線のひとつである空間中のガンマ(γ)線を0.05μSv/h~9.99μSv/hの範囲で測定できる放射線測定機能を搭載(μSv/h=毎時マイクロシーベルト)。専用キーを長押しするだけで測定できるので、誰でも簡単に使えます。常時測定をすることや、履歴を地図上に自動的に表示させることもできます。小型化、省電力化を実現した放射線センサーを搭載し、測定方式には、シリコン半導体方式を採用しています。
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志賀原発 外観
放射線を計測してみましたが、他の箇所と大差はありませんでした。
職員さんが普通に歩いて駐車場から出入りしており、そのことからも、放射能漏れはないであろうと判断しました。 |
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原発からたったの1kmの地点にあった道路の亀裂。
地震の後、志賀原発から油漏れの報道がありました。
近くでこれだけ亀裂が入ってるのに、原発の各種配管は破損しなかったのかと考えることは極めて当然な流れではないかと思います。
今回はたまたま油漏れだけで済んだかもしれませんが、再稼働していた場合には、何回かに一回はオペレーションの失敗により福島原発のようになる可能性はゼロではないと思います。 |
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原発のある志賀町で見られたマンホールの隆起。
市内各地の水道管が破損していることが見受けられます。
原発の敷地内も同様に断水しているとのことでした。 |
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志賀原発も断水していた!?志賀原発へ直撃電話取材!2024/1/11 |
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🔸稼働中の原発は地震時におけるオペレーション失敗による日本滅亡のリスクが桁違いに大きい
今回地震が起きた志賀原発では、幸いにも原子炉自体は2基とも休止しており、事なきを得ました。
もし稼働していれば、稼働中の原子炉に、核反応を止めるための制御棒を挿入するという、原子炉を停止させる作業及び、すでに高温状態の燃料棒を冷却する作業が別途必要となってきます。
今回の地震では、志賀原発2号機で外部電源を受けるために必要な変圧器の配管が破損し、2万リットルもの油が漏れ、外部電源5回線のうち2回線が使用不能となりました。
志賀原発、外部電源の復旧に半年 富山新聞DIGITAL
https://www.hokkoku.co.jp/articles/tym/1288033
さらに、内部電源である非常用ディーゼル発電機を試運転したところ、5台のうち1台が自動停止で使えなかったことが判明しています。
志賀原子力発電所1号機 非常用ディーゼル発電機の試運転中における自動停止について
https://www.rikuden.co.jp/press/attach/24011799.pdf
なお、福島原発では、地震と津波で電源喪失し炉心の冷却ができなくなり、地震後4時間余りですでに1号機の燃料棒がメルトダウンし始めていたことが判明しています。
参考:原発事故88時間のタイムライン
https://www3.nhk.or.jp/news/special/timeline2011/
つまり、もしこれが稼働中の原子炉であれば、地震後4時間余りで原子炉を停止させ高温度の核燃料の安定冷却を実現させねばならず、地震で一部の電源が使えなくなり、さらに地震後の余震も続く大きな混乱とプレッシャーの下で、大変な綱渡り作業を強いられます。
そもそも地震や津波、あるいは操作ミスなどで、原子炉に制御棒が入らなければそれで一巻の終わりですし、電源は確保できても、冷却用海水の取水施設やポンプに損傷があれば、福島原発と同様に、冷却用海水の確保もままならない事態が発生することも考えられます。
ちなみに、志賀原発1号機は99年に制御棒3本が想定外に脱落し、炉心の一部で核分裂反応が連続する臨界状態となる事故が発生しましたが、北陸電力はこれを隠蔽しています。
北陸電力、11年に発生した志賀原発1号機の臨界事故を隠ぺい
https://www.eic.or.jp/news/?act=view&serial=15540
地震が起きていない平常時でも、このような事故が起こり得るということを考慮すると、さらに地震という非常に過酷な状況下で原子炉停止と冷却作業を遂行しなければならないリスクをどう考えるかという問題に向き合う必要があると思います。
稼働する原発が増えれば増えるほど、地震時における原子炉停止冷却作業のリスクも増大し、過酷事故が発生する確率もあがります。
このように、原発を再稼働させるということは、地震時のオペレーション上、大変なリスクを伴うということを知っておく必要があると思います。 |
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🔸実際の現地の道路状況は?
室崎教授は、県のトップが、自衛隊、警察、消防の邪魔になることを理由に、民間の支援者やボランティアが駆けつけることを制限したことを批判しています。
それでは、実際のところ、能登半島の道路はボランティアが殺到して渋滞していたのでしょうか。
実際現地で見てきましたが、自転車で通った方の日本海側の道路は渋滞どころか、ガラガラでした。
以下はスムーズに流れる高松サービスエリアの様子です。 |
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「道の駅」 高松の様子 2024/1/10 |
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一方で、国土交通省北陸地方整備局は、国道249号が七尾市から穴水町にかけて交通混雑が見られるとして、一般車両の能登地域への移動は控えるようアナウンスしています。 |
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国道249号と並走する高速道路の徳田大津IC〜穴水IC間は災害により通行止めとなっていました。 |
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上記に図示した通り、国交相がアナウンスした交通渋滞は、徳田大津インターチェンジ〜穴水インターチェンジ間が通行止のため、下道へ車両が殺到したことによる道路混雑だったというのが真相だったのではないかと思われます。
現に日本海側の国道249号はガラガラに空いていました。
ボランティアが来ているから道路渋滞しているというのは事実ではありません。
室崎教授は、地理的な要因や交通渋滞があるので、「ボランティアはまだ行かないで」と最初から国も県も自治体も伝え、そのことで室崎教授のような研究者や、多くのボランティアでさえ被災地に入ることをためらうこととなり、結果、初動で一部のボランティアしか入らなかったために、水や食事が手に入らず、暖もとれず、命のぎりぎりのところに被災者が直面したことを指摘しています。
室崎教授はさらに、「控える」の一色になったことで、被災者にとても厳しい結果を招いたということを指摘、交通渋滞の問題ならば、例えば緊急援助の迷惑にならない道をボランティアラインとして示す方法もあったのではないかと疑問を呈しています。
今回実際に現地に行ってみて、室崎教授の指摘は正しかったように思いました。
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なお、1月7日に自衛隊の訓練が行われています。
これについて、災害時に救援物資輸送ができるヘリや輸送機を使って訓練をするのはいかがなものかという記事を赤旗が書いています。
はたして、災害時に活躍する自衛隊物資輸送ができる機材を使って訓練をする必要性や緊急性はあったのでしょうか。
訓練は平時に行えばいいことです。
政治主導で訓練を中止あるいは縮小し、その分のリソースを被災地救援に充てるといったことが行われなかったことと、復興や被災者救援を最優先させる気概が見えない現政権の姿勢とは無関係ではないと思います。
災害時に自衛隊ヘリ動員
習志野で降下訓練 住民「物資輸送すべきだ」しんぶん赤旗より
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik23/2024-01-06/2024010601_03_0.html |
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国会でも今回の能登半島地震のヘリコプターの投入が少ないのではないかという議論が為されている。
災害時に自衛隊の訓練を強行したためにヘリコプターの投入が少なかったのではないかという可能性は気になるところ。 |
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今回の地震が激甚災害指定されたのは1月11日。
地震から10日も経っています。
東日本大震災では、地震の翌日に激甚災害指定されているので、やろうと思えば翌日にでも激甚災害指定を行い、災害に対する姿勢を見せることはできるのです。
この一件を見ても岸田政権の災害対応は遅いのではないかと言わざるを得ないと思います。
極寒の地で凍える被災者がいる中、新年会をハシゴするトップでは、震災の全ての対応が後手後手に回らざるを得ません。
話は変わりますが、取材の最終日、避難所で避難者の方へご挨拶させていただく機会をいただくことができました。
ご年配の方から、よく来たね、と労っていただきましたが、その一方で、今の心境をお伺いすると「お金がないよ😢」と嘆いておられました。
避難されている方は、今後の生活や住宅の再建でも大きな不安を抱えておられることが伝わってきました。
こんなときに、自公が決定した「軍拡」のための43兆円、軍拡という名目で、アメリカの軍事産業に献上するだけの43兆円を、このような被災者の方の復興に回すことができれば、どんなによいかと思いました。
最大の防災対策とは、裏金作りに邁進する議員だらけの自民党が運営する政権を交代させ、人命救助と復興に全力をあげる政権をあらたに擁立することではないかと思います。 |
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🔸今後の防災に向けての提案
今回現地取材してみての統括です。
今後に向けて下記を提案させていただきます。
・自転車取材の可能性
災害直後の道路状況がわからない中、自転車は小回りが利くので、ひとまず被災地入りして現地報道する手段としては大変に有効であると思いました。今回は震災後一週間後の現地入りでしたが、次回このような事態が発生しましたら、もっと早く現地入りし、情報をお伝えしたいと思います。
車で現地入りする場合の態勢を整える場合は以下の態勢で臨むとよいと思いました。
・自己完結+現地支援+取材
ガソリン携行缶 灯油 ストーブ 水 寝袋 食料 炊き出し キッチンカー 携帯トイレ etc..
・政治主導による大規模な技術者(水道、電気技師など)派遣の提案
例)各市町村の大規模な断水や停電の復旧に役立てる
ボランティアだけでは賄えない、専門的な技術を持った技術職の大規模派遣を国が主導して行う。そのためには何がなんでも迅速に復興を進めるというリーダーシップが必要です。
・裏金の追及や不透明に既得権益層に流れている資金を解明し、その予算を地方活性化、インフラ整備・運用 復興支援・被害者救済にあてる
これは当メディアTTBジャーナルの設立趣旨と重なるところです。
歴代の自民党政権が海外に補助金をばら撒きまくるのもキックバックによる裏金作りが目的であると考えます。
国内より海外のほうがよりお金の追及が難しくなる、ということもあると思います。
このような不正を徹底追及して参ります。
以上の提案をさせていただきます。
事件は現場で起きている。
今後も現場主義を貫き、出来る限り現地取材を心がけ、現地の生の情報をお伝えして参りたいと思います。
引き続き市民メディアTTBジャーナルをご支援賜りますよう、よろしくお願いいたします。
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