10/27月曜日に放送された、サロンド武蔵野理髪店 第81回目のポッドキャスト放送です。

今回の放送は御嶽山噴火による国の災害対応について。

この度、松本さんが内閣政務官の防災担当官の職務として現地対策本部長となり、実際現場で見てきたことについてお話頂きました。

大臣や政務官は万一の時に備え、すぐ政府が動けるよう東京に残る「在京当番」というものがある。9/27の噴火当日は特に松本さんは当番では無かったものの、たまたま地元にいたので、すぐ国会に戻り、そのまま政府の会議に出席、翌日には政府の非常災害対策本部の設置と、それに加えて出先に現地対策本部を作ることが決まり、9/28には大臣から現地に向かうよう指示が降り、あり合わせの着替えを持ち、背広から防災服に着替え、新幹線で長野まで向かい、現地の対策本部が10/17に解散するまで都合20日間、噴火に対する現地対応をしていたとのこと。

通常であれば自衛隊の派遣や緊急消防援助隊の投入などの災害対策は自治体(県)が行うのが基本のため、御嶽山でいえば岐阜県や長野県が対応することになるため、今回は長野の被害が大きかったこともあり長野県が主体となってやっていた。

しかしあれだけの災害になると、県だけでは手に負えず、国の支援も必要になる。電話でのやり取りだと時間がかかる場合もあり、大きな災害だと県では対応するノウハウが無かったりするので、国の方で様々な事柄の調整・指導・助言などの面で積極的に関与・支援する意味で現地対策本部が開設され、そのために内閣府だけでなく防衛省・警察庁・総務省消防庁・気象庁・国土交通省など、色んな役所の代表が集まり、対応に当たっていくというのが対策本部が開設された趣旨だったとお話頂きました。

現地の対策本部長として様々な決断をしなければいけない場面もあり大変だった事として、各省庁から来ているみなさんにも意識を共有してもらうため、今回掲げた基本方針は二つあったとのこと。一点目は「人命を第一に考えて早期救助・捜索活動をしっかりと行うこと」、二点目は「二次災害を防ぐこと」この二点を大きな方針としてかかげ、現地対策本部でしっかりと結果を出していくことを目標にしていた。

一点目について大変だったことは行方不明者の確定方法。登山届を出さずに登っている方も沢山いたため、どれくらい被害者が出ているのか全くわからなかった。県や消防・警察の情報だけでなく、家族から寄せられる「この人は間違いなくこの時間に山を登っているはずだ」という情報、「一緒に登ったが降りてきていない仲間がいる」という同伴者の情報、他には登山口の駐車場にいつまでも残っている車の持ち主を調べたり、降りてきた登山客が途中で撮影した写真にたまたま写っている人まで下山しているか確認するなどし、大体の行方不明者が確定できたところで、今まで得た情報や写真から噴火の時点で行方不明者がどこにいてどの方向に逃げた可能性が高いか、などの情報を積み上げ、出来るだけ効率的に、なるべく早く行方不明者を見つけれるような取り組みをしていた。

二点目の二次災害の防止について。3000mを越える噴火中の山の山頂付近に救助を待っている方たちがいるという世界的にも珍しい状況の現場であるため、どのように二次災害を防いで効率的に救助活動を展開するかについて非常に悩み苦しんだ。

二次災害について気を付けたことは大きく3つ。

一つは再噴火の被害にどうやって備えるかという点。少しでも火山性の微動が起れば再噴火の可能性を考え、気象庁の専門家を自衛隊のヘリに乗せ、火口の様子を見てもらっていた。今回の御嶽山噴火の予知が難しかったと同様に、なかなか難しい判断を迫られたが、何も無いんじゃないかという推測ではなく、「何もない無いことを確認すること」が二次災害防止につながるということで一つ一つ危険性を潰して隊員の安全をはかっていたこと。

二つ目は火山ガスが発生した場合の避難手順の策定。自衛隊は火口の付近で作業しているので、いざという時は30秒以内にどこどこに避難しろと決めて作業していた。また火山ガス(硫化水素・二酸化硫黄)を検知する機械を渡したり、ガスマスクをするのは勿論のこと、現場の自衛隊員がいざと言うときに指示をまっていては遅いので、この状況なら登山してよい、こういう場合は安全になるまで待機といった運用の基準も県と一緒に作成した。難しかった点としては麓の災害なら直ぐに自動車等で退避可能な距離でも山頂ということで最悪徒歩で行き来する可能性を考え、3時間以上の安全を確保することを前提に基準を決める必要があったため、ガスを検出してから3時間何も被害が無く降りて来られなければいけないということで色々と悩み、専門家に問い合わせ基準作りをサポートしてもらいながら県と協議して決めたりもした。

三つ目は滑落の危険対策。再噴火・火山ガス・滑落という二次災害をださないよう対応を徹底した。

徹底した理由としては、二次災害が起きると自衛隊も大変だが、救助・捜索自体が縮小またはストップという判断も起ることになるかもしれないため、かえって助けを待っている要救助者のためにならないということもあり慎重に二次災害を起こしてはいけないとやらせてもらった。

テレビの中継等をみるとヘリも当たり前のように運用できたてたように見えたかもしれないが、高地等の空気の薄いところではヘリの運用もギリギリの状態だった。また火山灰がエンジンに入ったら出力が落ち墜落する危険がある中、徒歩で上がった自衛隊員さん達が火山灰を一生懸命掃いて離発着できる場所を作ったり、火山灰の上にヘリが着陸した際に地面が沈まないよう、スキッドというスキー板のようなものをヘリにつけるなど知恵を出し合って頑張ってやらせて頂いた。

UHというヘリでは要救助者を釣り上げてもらったり、またCH-47という大型ヘリが運用出来たのがとても大きかった。本当はもっと人が載せられるものだが、空気が薄く出力が出ない中で30人の人員が輸送できたのは大きかった。

他に大変だったことは噴火した後に台風18号、19号が来たこと。火山灰の上に台風がきて土石流にならないかということも考え、国交省にどういう状況になるかシミュレーションをだしてもらい、地元の町や村と連携して避難手順を確認・作成したり、出来るだけ土石流が起きないように砂防堰堤という土砂を堰き止める設備を作成。一つの堰堤に林野庁のショベルカーを9台位動員して台風が来る前に必死に土石を退かす作業をし、なんとか台風被害を出さずに済んだ。

しかし残念ながら未だ7名の方を発見することができず、56名がお亡くなりになり、今回雪が降ってきたことにより地面が凍り、シャベルもスコップも入らず、雪が凍ると滑落の可能性も上がるということで長野県知事の阿部さんが一旦撤収、雪が解けたら再度捜索活動を再会するという形で現地対策本部も撤収をすることになった。

本当にぎりぎりの状況のなかで対策本部長として色々と仕事をした。警察にしても消防・自衛隊など危険と隣り合わせの状況で延べ15000人が捜索活動に従事したなかで、二次災害を出さず活動をしてくれたこと、あれだけ大勢の方を救助・収容してくださったということ、本当は助けたくても助けに行けない家族に成り代わり頑張れなければという思いで従事してくれている自衛隊・警察・消防の姿を見ていると日本の底力の凄さを感じた。

今回、現地対策本部長という役目を頂いて、現場で仕事をさせてもらって自衛隊・警察・消防の皆さんの思いや苦悩を現場で肌で感じ取ることができたし、気象庁や国土交通省など本当に皆が一体となって二次災害を防ぐため、自分たちがどういう手助けが出来るのか考えてくれ、土石流も起こさないよういろんな取り組みをしてきた中で得たものを政府にしっかり持ち帰ってこれからの一つの教訓にしていくことが大事だと思うし、長野県・岐阜県というだけで観光客が減るなど風評被害も出ているので元気な地元を取り戻すため、現地対策本部長として携わった人間としてそっちの方も頑張っていかなければいけないと感じている。今後の行方不明の捜索も含め地元をバックアップできるように頑張っていきたいとお話頂きました。


二つ目は三菱のMRJがロールアウトしたというお目出度いお話から。

当初の計画から遅れたものの、初の国産ジェット機として期待されているMRJ。昨今の世界の航空事情をみると大型より中型の方が重要がある状況のため、そこをしっかり狙っていくために国も支援しているとのこと。こういうものが日本の産業を引っ張ってくれると日本の国が元気が出ると思うし、航空機はその時代の最先端の技術を使っているので産業の裾野も広がる部分もあるので是非しっかりと進めて欲しいとお話頂きました。


サロンド武蔵野理髪店 第81回目ポッドキャスト放送

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