古い資料を探すためにしばらく使っていなかったUSBメモリーを開いて中を探していたら、ソウル市のサイトに記事を書いていたころの記事が4本出てきました。

 1本が京東市場についてで、残りの3つが東大門市場についてです。東大門市場の記事は、三部作で書いた記憶があるので、京東市場もだいたい同じころに書いたものだと思います。

 情景も習慣も今と違うなと思うところが多いし、文章自体も今の私なら書かない雰囲気。ちょっと懐かしくなったのと、記録として残しておきたいので、こちらに載せることにしました。

 

 

大都会の中に昔の面影を求めて

 

 山のように積み上げられた果物や野菜。マーケットの魅力に取りつかれる人も少なくないはず。特にそこが活気あるアジアの台所なら…。ところ狭しと並べられる新鮮でいろとりどりの野菜や果物。 おばちゃんたちの明るく朗らかな売り込み。 売る人も買う人も真剣な中にもどこかそれを楽しむような雰囲気。
   ソウルといえば「南大門・東大門」両市場が有名だけど、イメージするアジアの台所とは随分違って…という人もいます。そんな人にお勧めしたいのが、東大門市場からそう遠くないところにある「これぞアジア」な市場、「京東市場」です。

 

  「京東」とは、その昔ソウルの東北に位置した京畿道・江原道の農家の人達がソウルの人達に野菜などを供給する為、やって来て物を商ったことからついた名前だとか。農家の人達が自家製の野菜や果物を持ちよってできた市場なので、今でもどこか素朴な古き良き市場の雰囲気をとどめています。シートや茣蓙を敷いた上に、籠いっぱいの果物や野菜を思い思いに広げて。その売り方もシンプルだけど、売っているおじちゃんおばちゃんたちもどこか素朴な雰囲気を漂わせています。ファッションビルが連立したり、日本語表記が氾濫したりして「観光地」化してしまった東大門市場や南大門市場とは違い、昔のままの姿の市場をみることができます。


 

  地下鉄一号線【清涼里】(チョンニャンリ)の一番出口を出るとそこは市場のど真ん中。
 出た方向に真っ直ぐ行くとじきにパラソルが連立しているちょっと広めの道にぶつかります。ビーチパラソルのような傘の下には、かぼちゃやきゅうり、りんごや梨、白菜やじゃが芋などの果物や野菜がバスケットにきれいに積み上げられて売られています。思わず「どうやって積み上げたの?」と聞きたくなるような芸術的に積み上げられているものも珍しくありません。
 いくつかの横道に入ると更に活気ある呼び込みの声が聞こえます。気の向いた横道に入ってソウルの活気を感じてみるのも面白いですよ。

 

 


 京東市場は野菜果物などの農産物市場。表通りも裏通りも新鮮な果物や野菜を商う人でおおにぎわい。そのままずっと歩いていくと、少しずつ乾物屋が増えて来て、コチュカル(唐辛子の粉)やタンミョン(春雨)などの韓国料理には欠かせないものも山のように積み上げて売られています。果物屋の隣に餅を売る店が並び、その隣はキムチの材料。そして、韓国茶のもとにもなる韓国漢方薬(韓薬)の姿もちらほら見え始めます。バス通りを挟むとそこは「京等薬令市場」です。韓国で韓薬といわれる韓国漢方薬の材料はほとんどここで取り引きされているとか。朝鮮人参や漢方茶、健康食品なども市価よりずっと安い値段で取り引きされています。もちろん小売りもしているので、生の野菜や果物はできないけど、お茶や健康食品などはお土産にしても喜ばれそう。「京東市場」と「京東薬令市場」の境目のあたりには季節になると、松茸を扱う店も数多く出ます。価格は日本の3分の一くらい。頼めば日本に持ち帰れるようにパックしてくれます。さらに、このあたりでは、漢方薬に混ざってアンズや海草・その他の自然の材料で作ったパックなどの美容用品などもさりげなくおかれています。

 

 

 景色が変わるに連れ強くなっていく漢方薬の香りを楽しみながら、そのままぶらぶら歩いて「ミドパデパート」が見えたら、地下鉄一号線「祭基」駅です。

 アクセス
   
 タクシーで     「清涼里(チョンニャンニ)ロッテ百貨店(ペッカジョム)」前下車
                     ロッテデパートの向かい側より徒歩1分。
     
地下鉄で        地下鉄一号線「清涼里」駅下車。一番出口側。
                     国鉄一号線「清涼里」駅下車、徒歩3分。
                     地下鉄一号線「祭基」駅下車、ミドパデパート出口。