韓国に限らず、たぶん、海外に住んでいると、旅行で会いに来ようとしてくれる友人とかなどから必ず聞かれるのが「治安」の話ではないでしょうか。

 確かに、私も、ほかの国に行くときは治安を気にしますしね。

 

まあ、韓国(ソウル)の場合、全体的に治安はよくて、日本と雰囲気的に変わらないから、そこまで慎重に調査せずに旅行する人もいそうですが…。

 

 そういえば、初めての韓国旅行の時は、海外=治安が悪いかも、ということで、お金を財布やカバンと別に隠し持ったり、リュックの口を開けられないように工夫したリしていたなぁ…。

 

 

 さて、韓国。一応、成人男性は基本的に銃を扱える国なんですよね。だから、だれでも上手に?撃てたりします…ね💦

 けど、まあ、それは軍隊の期間中に訓練するものだし、一般社会での銃の所持は日本と同じく基本的に認められないので、街中でいきなり発砲事件とかは基本的には起きないですね。

(そういっても、日本だってたまになんか起きてたりしますからね)

 

 そうなると、治安の話の場合、銃関係の事件ではなくて、別の問題が論点になりますよね。例えば…すりや置き引き、窃盗、強盗、性犯罪あたりか、または「なんとなく怖い感じ」があるかというあたりでしょうか。

 前者は、殺人以外の犯罪発生率とも言い換えられるかな?後者は街の荒廃具合というか町がきれいに保たれているかそれとも荒廃して放置されている感があるかというあたりになると思います。

 

 

 で、ソウルの場合(地方も多分ほとんど変わらない)、町のいたるところに防犯カメラが設置されていて、普通に生活していると一日に一人当たり50台くらいのカメラに映っていると言われているくらいなんですよね。そうなると、事件が起きたときの犯人特定も早いし(実際捜査に活用されています)ということで、むしろ日本よりそのあたりは厳しいんじゃないかなという気がします。

 まあ、カメラがあろうがなかろうがやらかす人はどこにでもいますけれどもね。

 後者のほうは…ですけど、う~ん。これはね。。。

 

 日本の道路って、でこぼこも少ないし、ゴミも少ないし、日本のマンションとかも外装のメインテナンスが比較的頻繁に行われているという感じがあって、これは韓国人も認めていますが「キレイ」 なんですよね。 それでも、私なんかは、東京の繁華街に行くと、ゴミが落ちてたり古い雑居ビルがひしめいていたりして、そういうところはこういう意味で「なんとなく怖い街」イメージを持ちますが…。

 

 

  そういう意味で言うと、韓国ソウルも治安が悪いというか薄気味悪い町ってありますね。。。 頭の中に浮かぶのは、ソウル一のドヤ町のあそことか…。あと、廃墟っぽい家が手入れが行き届かないまま住み続けられている(いわゆるタルトンネと呼ばれているような町)とか、再開発のために立ち退き作業が始まっていて、無人で荒廃した住宅が点在している再開発エリアとか。

 

 

 じつは、ソウル。一昔前は、〇〇洞と聞くだけで、そこに住む人の生活水準が分かるくらい明確に住所と貧富の差が連動していました。でも、当時「잘 못사는동네(生活水準が低い町)」と言われていた町から再開発が進み、バラックのような家がブランド物の新しい高層マンション団地に生まれ変わることにより、そういう格差が見えにくくなりました。

 

 

 なので、私個人としては、ソウルにスラム街はない、と認識しています。

 

 

「スラム街」を定義すると(Wikipediaから引用)

都市部で極貧層が居住する過密化した地区のことであり、都市の他の地区が受けられる公共サービスが受けられないなど、居住者やコミュニティの健康や安全、道徳が脅かされている荒廃した状況を指す[1]

スラムの特徴として、高い失業率と貧困があり、このため犯罪麻薬アルコール依存症自殺などが多発する傾向にある。特に悪事や犯罪などがしばしば行われる無法地帯と化した地域に対しては暗黒街と称されることが通例となっている。発展途上国の多くでは、非衛生的な環境のため伝染病が流行していることが多い。

となっています。

 

 ちなみに、高度成長期には極貧層が居住する過密化した地区は存在していました。で、先ほど書いたドヤ街は炊き出しや定期健康診断、職業あっせんなどむしろ他より充実していますしね。。。居住者の健康や安全、道徳が脅かされているかについては…住んでいないからわからないけど、コロナ期間中はこの地区の希望者に毎日マスクとか配られていましたしね。

 高い失業率と貧困という意味では、いくつか、生活水準が低くて日雇いや超低賃金の人が多く住む町というのはあります。が、それが犯罪や麻薬、アルコール依存症や自殺が頻発して無法地帯になっているかどうか…については何とも言えません。

 

 先ほど言及したドヤ街は明らかにアルコール依存症と思える住人はたくさんいますね。じつは、このドヤ街、私の家からかなり近いところにあるので日常的に通り道として使っていますが、取り合えず麻薬の売人は見たことないですね。

 

 そして、よくYouTubeなどで韓国のスラム街と題して紹介されている町なんですけど(個人的には、この扱い方がすごく嫌いなんですけど)、ここがよく出てくるのは建物が見るからにバラックだからだと思うんですよね。私が知っているソウルの町の中で一番「絵になる」貧民街なんです。ただし、これはあくまでも私たちの想像上の貧民街=粗末なバラックがたくさん建っている集落、というだけのことで、ここに住んでいる人の実際の生活水準や背景とは全く関係ないことなんですよね。なので、実は、こういう町に止まっている車は意外と高級車だったりします。

 

 で、もう一つが、高度成長期に比較的生活水準が低い人たちがひしめき合って住んでいた町のうち、今でも再開発されていなくて、そのころに建てられた建物がリフォームされずに、今現在比較的生活水準が低い人たちがそこに住んでいるというパターンです。

 こういう町に住んでいる人たちはいくつかのパターンがありますが、その一つが在外邦人と呼ばれる韓国系の外国国籍の人が韓国に移住・定住・出稼ぎのために来て住んでいる人たちの町です。コリアンドリームをつかむために来ているので、家賃や生活費をできるだけ抑えて生活している。また、韓国語がほとんどできないので、そういう人たちだけのコミュニティを作っていることもあります。そうなると、近隣に住む韓国人と交流できないので、お互いに不信感を持ちながら住んでいるので、何かがあったときに相手のコミュニティのせいにしがち、また、よからぬことを考えている人たちは、こういう町で怪しいことをすることによって、二つのコミュニティの狭間でうまく悪いことができるということで、ひきつけられやすくなります。また、いざというときに、韓国語が通じないので、助けを求めにくくなるという特徴もあります。

 韓国の人にソウルで治安が悪い町ってどこ?と聞くと出てきやすいのがこういう町ですね。

 

 また、このような町は、老朽化して住み心地がよくない代わりに家賃が安い家が多いため、経済的に余裕のない韓国の人も流れてきます。経済成長期にうまくその波に乗れなかった人や、何らかの不幸な事件で財産を失った人。その中にはアルコールなどに溺れる人もいます。あとは、犯罪歴があって、就職や家探しに苦労している人…。

 

 そういう訳ありの人も住んでいる確率が上がります。結果として、「治安が悪い」といわれるようになります。

 

 

 ただ、貧しい地域がすべてそうなるわけではなく、高度成長を支えた製造業に長年従事したものの、製造業が先細りになる中、高齢化が進んで、細々と働きながら静かに生活している地味な町というのもたくさんあります。

 

 ただ、こういう町も、廃業した町工場や、高齢化で手入れが行き届かない住宅、居住者が亡くなった後代わりに住む人がいなくて放置された廃屋などが混ざっているので一見見た目的に廃墟感がありますよね。

 

 

 ターミナル駅周辺とか、零細企業が集中している場所、低賃金の労働者を大量に必要としている工場などが近い場所、いわゆる外国人街というところが比較的そういう意味で「スラム」だの「治安が悪い」だの言われやすいです。実際、韓国の旅行に来られる方で、治安の悪いところ慣れしていない方、韓国語などが十分にできない方には近づいてもらいたくない場所はいくつかあります。私も、状況を見て、時間帯や曜日などによっては行くのをやめている場所もあります。

 

 

 長文になりましたね。なんというか…。YouTubeなどで出ているショッキングさで目を引くために使われている「スラム街」「治安が悪い町」という扱いで出されるのは非常に不満というか不快なんですよね。でも、一方で、その町を訪ねる時に他を歩く時以上に警戒心を持つ町というのは確実に存在します。

 それは、海外だからという理由もあると思うし、実際、ほかの地域に比べて犯罪発生率が高かったり、保護が甘かったりする場所もあります。

 

 

 今回、思うところがあって、まどろっこしい書き方になりましたが、具体的な地名は一切載せないで書きました。もちろん、頭の中では、これは〇〇洞の話というように具体的な町を思い浮かべながら書いています。

 こういう町を紹介するとき、地名を載せて注意喚起をするべきなのか、余計な偏見と他人の不幸をエンタメ化してしまうのを防止するために常に地名は伏せるべきなのか。正直すごく悩んでいます。