だからね、ソウルのど真ん中に住みながら通勤に片道二時間かかる学校に通勤するのも別に苦ではなかったんです。ただ、ソウルを出て回りは山しかないようなところだと、気が滅入るので、授業だけしてさっさと帰る、を繰り返していましたけど…。いくら学校の校門前にパリバケあるよと言われても、パリバケなら自宅周りに数件あるわな、わざわざ物珍し気にここで帰りのバスを逃してまで寄り道したい施設ではないわなと思ったりするわけです。

 その分、ソウル市内の路地とかタルトンネとか市場とか巡りの時間を捻出したいわけ。博物館で時間を費やしたいわけ。

 

 まあ、それができる環境だったので、給料の面とかでいろいろ問題があって、同僚たちみんながここはブラックだと言われていても、それほど気にならなかったんです。それに、あともう一回、契約を更新してもらえたら、ビザの種類を「居住」に変更できるし。学校側も更新する気満々だったし。ビザが変更できたら、小さい会社を作って、限りなくフリーランス(フリーランスにすると次のビザが出にくくなるということなので、あくまで会社の体裁で一人会社で実質フリーランスみたいな感じ)なやり方で仕事をしていこうと考えていました。そしたら、街歩きもし放題だし…。

 

 

ところがです。ご存じのとおり(ご存じない方は過去の記事をご覧ください。今年の七月末から八月の記事です) 勤務校を放逐されてしまいました。ビザがないアセアセ完全帰国か??というところを拾ってくれたのが、今の学校です。

 

 

 国土が狭いせいか、一極集中が激しい韓国。大学なんかその典型で、いい学校はすべてソウルにあるといっても過言ではありません。何しろ、一流大学は?ときくと「ソウルにある大学」と返事が返ってくるくらい。韓国の大学、トップ3はSKY と呼ばれます。ソウル大、高麗(コリョkrea大、延世(ヨンセyonsei)大。その下に、ソウルにある四年制大学がずらりと名前を並べます。だから、地方出身者でもいい大学に行くとなるとソウルに来るわけですね。もちろんソウルの人だってみんながみんな優秀なわけではありません。一流大学に入学するには学力が足りない学生はどうするかというと、ソウル市内の短大に通うとか、ソウル市内から通える範囲にある地方の大学に行くか…になります。で、今まで、いろんな学校で授業をしてきましたが、たいていは、この層の大学でした。まあ、だから私も通えるんだけどね。一方、地方では、深刻な定員割れを起こしていたり、まあ、そんなこんなで教師として赴任する人がいなくて人手不足だったりという現象も起きています。だから、ソウルから遠くて田舎にある大学だと何年も先生が見つからないということがあったりもするんですけどね。。。

 

 

 

 もちろん、昔は韓国の地方名門校ってのがあって、そうとうレベルも格式も高かったそうです。と言っても、ほら、全土で済州入れても県でいうと九つしかない国土。イメージとしては九州が一つの国になったって感じかな。福岡に名門校が集中して、昔なら、熊本、大分、佐賀、長崎、宮崎、鹿児島にも拠点となる名門校があったけど、今は、交通も便利だから、どうせならと福岡に行っちゃうって感じね。

 

 

 拾ってくれた学校は、そういう地方名門校系の学校でした。

ただ、「限りなくフリーターに近い招聘教授」という立ち位置から「限りなく社員に近い招聘教授」になったので、それに伴い、引っ越しの必要が出てしまったのです。

 

 

 

 

 

…困った。

 

 確かに、毎日、ソウルから通うには無理がある。高速鉄道に乗って二時間程度。でも、毎日では無理がある。授業時間以外にも自分のオフィスがあるので、そこにいる時間を作らなければならないし…。無理がある。

 学校が宿舎を提供してくれるということなので、学校の近くに家を借りました。ソウルは…。

 

 

 

 

 

 ここで、問題が発生。

 

1 契約は一年で、そののち更新ありという条件。 ~前の学校もその前の学校も、契約更新する気満々ですと言われて夏休みに入ったものの、夏休みの途中でいきなり「やっぱりなかったことに」と言われて切られた。

 

2 龍山の家は非常に気に入っている上、この立地この広さではあり得ないレベルで格安のため、手放したら次に似た物件に出会える可能性が限りなく低い。

 

3 新しい学校は、ソウルと比べて田舎にある。

 

 

 

 

 

 まず、ずっとその街で暮らすとなったら家財道具一切合切もって引っ越しするけど、来年のことはわからないってことだったらまた来年引っ越しのためにソウルと田舎町を行き来しなければならないじゃん。(今年の引っ越し関係で毎日高速鉄道に乗ったのはかなりしんどかった)

 一度ソウル引き払ったものの、一年後にまた家探しをってなったら、今のうちのように気に入る物件には出会えない可能性が高い。

 何よりも、ソウルに拠点をなくした場合、おそらくほぼその田舎町に引きこもることになり、(そうでなくても日中ソウルに来ても早めに帰らなければならなくなる)結果的に重度の都会依存症の私は鬱になるのが目に見えている。










 

 

 えっと、横浜の住宅地で「田舎過ぎる」と発狂する人間から見るとですね。。。

 

横浜の実家周辺  = フェギ、アナム含む東大門区、中浪区、蘆原区、道峰区、城北区、江北区、江東区、衿川区、陽川区、江西区、恩平区

住んだら死んじゃうエリア = プサン広域市の一部とソウル市を除く韓国のほぼ全域

 

 

あかん・・・。心配すぎる…

 


 

住めば都だよと何度も言われていますけどね、いや、生まれ育った町で不適合を起こしているくらいですからね。住んで慣れたらどうにかなるってのも、かなり限定された地域までの話のような…。

 

 




 

 というわけで、ソウルの家はそのままに、仕事のある時は田舎町、仕事のない週末はソウルにいるということで何とかバランスを保とうという作戦になったわけです。田舎町にうまく適応できれば、そのほうがいいんですけど…。ソウルの路地歩きできなくなるしなぁ…。

 

 

 

 

 

 

 さてさて、今までで最大に「田舎な生活」が始まるのですが…どうなることでしょう。