スタッフやクライアントなど
人の話を聴いていると、「もっとこうすればいいのに」と聞き手なりの解決策が浮かんだり、
「そうなったのは、あなたにも責任があるのでは?」と批判的な気持ちが生じたり、
あるいは、「この話はこういう展開だろう」「きっとこういうことが言いたいのだろう」
とこれまでの経験を元に、話の道筋を先回りして仮定してしまったり
「話しているこの人はこんなきっとこんな性格だろう」と勝手に想像したりすることもある。
これらの思いに頭の中が占領されると、相手の話がなかなか入ってこない。
逆に話し手は、もらえる答えを待つスタンスになって自分で考えるのをやめたり、
相手からの評価や批判を恐れて言いたいことが言いづらくなったりする。
こういった事態を避けるべく、注目したいのが「共感的理解」である。
カール・ロジャーズは話し手の邪魔をすることなく、
自由に安心して話してもらうためには、聞き手の態度が重要であると考えた。
特に重要な態度として3つ挙げられ、そのうちの一つが、「共感的理解」であった。
共感的理解とは、話し手の“私的世界を、それが自分自身の世界であるかのように感じ取り”、
「あたかも〜のごとく」という性質を伴って聞く体験様式である。
加えて、それはいわゆる共感よりも一層内的な行為であり、
認知的、感情的、身体的な領域を含めた話し手の「感じ」を感じ取ろうと努力する聞き手のプロセスのことである。
共感的に理解しようと努めれば努めるほど、
話し手が伝えようとしていることを掴もうとする意識に注意が向き、
聞き手の個人的見解や考えを率先して伝えようとする意識は薄れるはずです。
話しの聞き方が上手な人は、まずは相手の世界に入って聞くが出来る人。
ただここで大事なことは、共感と同意は違うという事。
目の前の人の話を聞いて、あなたはそう思ったℚのですね。そう感じたのですね。
といって聞いてあげても、それは、「私もそう思います。」という同意
ではありません。
相手を理解して共感して聞くことと、自分の意見はまた別なこと。
人は違って当たり前ですが、相手を否定したり直そうとしたりせず、
まずは認めてあげ、うなずき、ただ聞いてあげる方が相手は心を開き、また
気付きを与えることもできるのです。
そしてもうひとつ、
相談場面において、相手が話した相談内容が、本当に相談したいことの何段階か手前の悩みであることも少なくありません。
これに気付かず表層的な相談内容にアドバイスしてしまうと、相手の真の問題は解決しません。
いづれにしても傾聴力が高くなると、相手の話を相手の立場で聴くことができるようになるので、
自分の立場から見たことと相手の立場から見えることの違いに気付けるようになります。
スタッフとの面談では
立場上、会話は一方的になりがちですので、傾聴を用いて、話しやすい雰囲気をつくることを心がけましょう。
自分の価値観や経験を押し付けず、相手の世界観に立つことで、本音の会話が可能になります。
顧客とのカウンセリングでは
顧客が本当に求めていることを引き出し、サービス提供に繋げることができます。
施術中の限られた時間であっても、傾聴を用いて丁寧に話を聴くことで、
顧客の真の課題を特定し、何を望んでいるかを把握することができるでしょう。
1月2月はサロンオーナー様向けの経営講座でたくさんの先生にオンラインですが
お会い出来ました。
傾聴力がスタッフ教育や顧客との関係性で
最も大事だと痛感しています。
つい、相手の世界より、自分の世界で耳を傾けてしまう。
共感力と傾聴力は鍛えていけばいくほど
相手との距離は縮まりますね。