いよいよバリ島から帰国します。そこで、病院へ行き、左腕のギブス(正しくはギプスだそうですが、今後も通称で書くことにします)の締め付けを一時的に緩和する処置をしてもらいました。骨折の診断と処置をしてくれたときと同じ先生なので、安心でした。
緩和の処置はシンプルで、ギブスを縦に割る感じで切断し、上から伸縮性のある幅広の包帯を巻きます。この包帯は自分で巻きなおすことができるので、気圧が低い飛行機の中で締め付けがきつくなったら、自分で調整すればよいのです。
さて、ギブスの切断ですが、事前にネットで調べて電動の“ギブスカッター”なるものを使用することを知ってしまい、ちょっと怖そうだなと思いました。万が一刃が皮膚に当たっても切れないメカニズムになっているとのことではありますが。
先生が来て、いよいよ処置をすることになりました。
小ぶりのジュラルミンケースが運ばれてきて、先生が中から取り出したのは、電動のこぎりのマルノコのような刃が先端についている“ギブスカッター”。電源を入れるとウィーーンという威勢のよい音がして、通りかかった看護士さんも思わず見入っていました。
わたしが思わず「ワォー」というと、先生はニコニコしながら「すごいでしょう。でも、皮膚に当たっても切れないから大丈夫」と、動いている(実際には回転ではなく振動しているらしい)刃を自分の腕に当てて切れないことを見せてくれました。私にも腕を出せとう仕草をするので、しかたなく右腕を差し出し、自分でも切れないことを身をもって体験。
ちょっと安心したところで、いよいよ切断が始まりました。
まずは、石膏で固まった包帯の部分を、ギブスカッターで端から切断していきます。最初は少しづつ刃を当てる感じでだんだん深くまで当て、石膏部分が完全に切断されると位置をずらしていきます(日曜大工で板を切るのと同じ要領?)。石膏の粉が飛び散るので、先生も私もマスクをつけています。
石膏部分のカットは案外早く終わりました。
石膏部分の下に肌に直接巻いてある綿の部分が残っているので、今度はハサミで切っていきます。このとき、ハサミを使いやすくするために石膏部分の裂け目を押し広げながらやったので、締め付けは少し緩和されました。
ギブスが完全にパカッと割れた状態になったので、その後は上から伸縮性の包帯を巻いて終了。
全部の処置が終わるまで、15分もかからなかったと思います。
包帯はけっこうきつく巻かれているのですが、自分でいくらでも調整できると思うとうれしくなりました。