最も感動したスポーツイベントランキング | アメリカ暮らしほぼ30年おじさん

アメリカ暮らしほぼ30年おじさん

留学でアメリカへきていつの間にやら30年近く経過。日本への永住帰国のプランはもはやなし。誠に遺憾です。

アメリカへ来て最初に観た(ちゃんと観てないけど)スーパーボールは確か第30回だった。勝ったのはダラス・カウボーイズ。今回が57回目だって。そんなに時間が経ったんだと改めて感慨深し。

 

過去27年間、自分が生きている間に観ることはないかもしれないと思ったことがいっぱい起こった。どれもこれもとんでもなく感動したものばかり。それらを自分の中で5位から1位までランキングにしてみた。

 

5位。2018年、NHLワシントン・キャピタルズ、初のスタンリーカップ制覇。


2018年、すでにレジェンドの域にあるエース、Ovechkinを中心とするキャピタルズがポストシーズン快進撃。とうとうDCのホームチームとして1992年のレッドスキンズ以来のタイトル獲得となるスタンリーカップ制覇。

 

史上最高の選手ともいわれるOvechkin は無冠の帝王のまま終わるかと思われていたが、この優勝で当然あるべきタイトルをようやく手に入れファンは嬉しいと同時にある意味安堵したのだ。

 

 

このときまでまずDCを本拠地とするチームが優勝するとは思っていなかった。長年DCのホームチームは全くと言っていいほど振るわず、唯一キャピタルズがいいところまで行くのにいつもライバルチームに惜敗。メジャーリーグに至っては1971年以降、2006年にナショナルズ誕生までホームチームすらなかった。

 

ナショナルズも育成を充実させるなどして頑張っていたが、いつもポストシーズンになると金縛りにあったかのように力を発揮できず敗退の連続。なんだかDCのプロスポーツ全体が呪われているかのように言われていた。

 

それがまさか自分が生きているうちにDCのホームチームが優勝するとは。

 

4位。2019年、MLBワシントン・ナショナルズ、初のワールドシリーズ制覇。

 

シーズン前半、ナショナルズは大量の借金を抱え地区の最下位を独走していた。この頃ワールドシリーズ優勝の可能性0.01%とかだったらしい、統計的には。

 

それが徐々にチーム状態が上向きだし、最終的にワイルドカードでポストシーズン進出。これだけでも奇跡みたいだった。

 

それまでのナショナルズは、周囲の期待値が高すぎてポストシーズンになると格下相手にコロリと負けるのを繰り返していたが、このポストシーズンはむしろ下馬評は低く、失うものはないみたいな雰囲気でイケイケだった。最初のワイルドカードゲームに勝って調子づき、パワーハウスのドジャースに地区シリーズで逆転勝ちしてすっかり勢いに乗った。ファンも驚くワールドシリーズ進出。

 

ワールドシリーズもサイン盗み疑惑で世界中を敵に回したようなアストロズに4勝3敗で勝利。内容が劇的過ぎてDCの街中が大騒ぎになった。7戦すべてアウェイのチームが勝つという不思議なシリーズだった。

 

 

ナショナルズの快進撃もシーズン初めを振り返った時、奇跡としか思えないことを成し遂げたということもあって本当に感激した。DCをホームにするMLBチームがワールドシリーズを制覇するのは1933年のセネターズ以来だったらしい。ちなみにこの時のセネターズとは現在のミネソタ・ツインズで、その後1971年まで10年ぐらい存在したセネターズはリーグ拡大で生まれた全く別のチームで、現在のテキサス・レンジャーズ。

 

今のナショナルズは元モントリオール・エクスポズである。

 

3位。2017年、NFLニューイングランド・ペイトリオッツ、28−3から奇跡の大逆転でスーパーボール制覇。

 

我が家族がボストンに3年間住んでいる間にNFLの常勝チームへと生まれ変わったペイトリオッツ。2002年、ルーキーだったトム・ブレイディ率いるチームは下馬評を覆してスーパーボール初制覇。それ以来強すぎてアンチが増殖し続けたという印象。それほどペイトリオッツは毎年勝ちまくった。

 

2016 - 2017シーズンのNFLでは、前年のホームゲームで攻撃の際ボールの空気圧を意図的に低くして有利にしようとしたという疑惑がチームとブレイディに対して向けられ、ブレイディは結局リーグからシーズン初めの出場を停止されていた。

 

試合に復帰したブレイディはいつものごとくチームをけん引、ポストシーズンに進出。その後も順調に勝ち続け、スーパーボール進出。このシーズンはブレイディのリベンジツアーなどとのちに言われた。

 

スーパーボールではまさかの一方的展開で対戦相手、アトランタ・ファルコンズにやられ放題。後半に入ってからも引き離され、一時28-3という絶望的な点差に。ファルコンズのファンとアンチ・ペイトリオッツたちは歓喜していたに違いない。

 

ここからブレイディとペイトリオッツが猛反撃、第4クオーター終了間近になりついにタッチダウンで26-28。さらにコンバージョンで2点獲得、ついに土壇場で追いついた。

 

もうこの時点で勝負あり。延長でペイトリオッツがタッチダウンを決めてブレイディのリベンジ完了。誰もがブレイディを史上最高のQBとして認めた瞬間だったかも。自分史上一番興奮したNFLの試合。

 

この時のファンのリアクションを集めた動画が秀逸。

 

 

ファルコンズファンのリアクションを集めた動画もあるけど、さすがに可哀想。天国から地獄だからね。でもさすがにテレビ壊しちゃダメだわな。

 

 

 

2位。2004年、MLBボストン・レッドソックス、86年ぶりワールドシリーズ制覇。

 

レッドソックスと言えば最後には必ず負ける、というネガティブな空気に支配され続ける暗いチームだった。ワールドシリーズに進出しても必ず最終戦で負ける。レギュラーシーズンのタイブレーカーで負ける。ここで勝てば優勝というところで守備の名手がトンネルして負ける。

 

そんな空気が変わり始めたのが2003年。結局この時も最後にはヤンキースに負けたけど、内容的には互角以上。そして2004年、ポストシーズンでもリーグ決定戦で再びヤンキースと。高い期待の中、ふたを開ければ3連敗。あーまたか、と思ったところから奇跡が始まる。

 

2試合連続延長戦を制し6戦目も勝ち3勝3敗、いよいよ運命の第7戦という日。ネットでは何世代にもわたって期待と失望を繰り返してきたレッドソックスファンたちの熱い思いをつづる投稿が押し寄せた。自分のためではなく、レッドソックスの優勝を見ることなく死んでいった母のために勝ってくれ、だとか。読んでて涙が出てくるような投稿ばかり。メディアでも取り上げられ、多分選手にも伝わったのでは。

 

この時の書き込みスレッド群は "Win It For... (〇〇のために勝ってくれ)"というタイトルで有名。のちに本にもなったはず。

 

第7戦はレッドソックスの大勝。ヤンキースはゾンビのように叩いても叩いても起き上がるレッドソックスにとうとう根負けした印象だった。

 

その後ワールドシリーズはリーグ決定戦の勢いをそのまま持ち込んだレッドソックスが怒涛の4連勝。何世代ものファンたちが一度も見ることができなかったものを、まさか自分が生きているうちに観られるとは。

 

正直ワールドシリーズよりもヤンキースとのリーグ決定戦の死闘が感動を呼んだ。対ヤンキース3連敗からの4連勝は永遠に語り継がれるドラマ。第7戦は仕事中に職場のテレビで観た。ヤンキースファンの同僚もこのときだけは「こいつらは勝利に値するよ」と認めていたのが印象的だった。

 

1位。2016年、MLBシカゴ・カブス、108年ぶりワールドシリーズ制覇。

 

自分が初めて球場で観戦したメジャーリーグの試合が実はリグレーフィールドのシカゴ・カブスなのだ。1982年。夏休みの約1か月間、農家の家庭にホームステイさせてもらい、シカゴへ観光で連れて行ってもらった。この時の試合はなんと17回延長でサスペンデッドになった。個々のプレイヤーとか細かいことなんて全くわかってなかったけど、当然思い入れのあるチームとなった。

 

カブスはレッドソックスよりももっと優勝から遠ざかっていた。最後にワールドシリーズを制覇したのが1908年。だから、カブスだけは本当に自分が死ぬまで優勝しないと本気で思っていた。

 

2016年のカブスは本当に強かった。圧倒的強さ。でもそれでもどこかでコロリとやられるような気がしていた。ワールドシリーズは、相手も長年優勝から遠ざかっているクリーブランド・インディアンズ。カブスのGMがレッドソックス復活の立役者、エプスタイン。インディアンズの監督がレッドソックス2004年優勝時監督のフランコナ。レッドソックス時代のGMと監督の一騎打ちとか言われていた。

 

どちらが勝っても歴史的出来事だったのだけど、自分はカブスを応援。しかしふたを開けると劣勢、あっという間に1勝3敗で王手をかけられた。やっぱりダメか~という感じ。

 

そこから踏ん張り3勝3敗のタイに。最終戦、クリーブランドでの一戦はまさに死闘。正直、カブスのマドン監督の采配が気に食わなかった。ブルペンを信用しておらず、チャップマン頼り。さすがのチャップマンも連投で毎試合3,4イニング投げていたらそりゃ疲れるさ。7戦目でも同じ采配、そしてボールにいつもの力がないチャップマンは同点ホームランを食らう。この時点でインディアンズがイケイケ。

 

マドンのせいで負けか、やっぱりダメか。雨による中断の間、テレビを見ながらマドンに腹が立ちまくり。

 

しかし延長再開直後からカブスの猛攻が始まる。勝ち越し点、さらにもう一点。選手全員がアツいのがテレビを見ていて伝わってくる。中断の間何があったのか。

 

結局試合は10回裏1点を返されただけで最後のバッターがアウトとなり、ついにカブス優勝。この時はテレビの前で立ち上がってガッツポーズしたわ。夜中に一人リビングで。

 

 

あとで記事を読んだところによると、試合中断中、チャップマンは責任を感じてクラブハウスで泣いていたらしい。それをチームメイトたちがお前のために必ず勝つからと励ましていたそうな。それであのアツい10回表の攻撃になったわけだ。

 

雨による中断がなければあのままインディアンズが勝っていたかもしれない。あの勝利はマドン監督がもたらしたものではなく、選手たち自身で掴み取ったもの。あの時のカブスには優勝するために必要なものはすべて揃っていた。あとはとにかく激しく戦って勝つだけ。そのことを選手たち自身で再確認していたということらしい。

 

自分の中でもカブスのワールドシリーズ制覇で観たいものは全部観ることができたような気がした。アメリカのプロスポーツに関しては。あとは大谷君がワールドシリーズで無双するところが観られればいいかな。