Go get a shrink.
ジョディ・ピコーの小説を読んで初めて出くわした表現、a shrink。一瞬この一言だけなら違法薬物を意味するスラングかなと思ってしまいそうだけど、どうやらメンタルクリニック系の医師、カウンセラーのことを示すらしい。訳すなら
カウンセリング受けなよ。
カウンセラーに診てもらえよ。
とかなるのかな。
ちょっと調べてみた。割と昔からあるスラングのようで、ネガティブな意味に使われるようだ。まあスラングって大体そうか。日本だと警察のことをマッポとかいう人たちが昭和の頃にはいたが、あんな感じかもしれない。
間違えても「あー、お仕事はshrinkをやられてるんですか!」とか言わないことだね。日本語で警察関係者に「マッポの方ですか?」と言うようなもんだ。Go get a shrink.も
カウンセラー野郎に診てもらえよ。
とか訳したらニュアンス的に近くなるかな。日本で誰か警察関係者が「私は誇りを持ってマッポやらせてもらってます。」とか言ってくれないかな。きっとバズるよな。
こんな些細なことひとつとっても、原文のニュアンスを的確に伝えるのって難しい。翻訳の過程でそれが失われたり、オリジナルにはないニュアンスが誤ってつけ加えられたりしてしまうことは頻繁にあるだろう。
原文の雰囲気を伝えるために、翻訳者が原文にはない一文を挿入しちゃってるのも見たことがある。ここは笑う場面ですよってのが日本語に訳すと分かりにくいところに「聴衆から笑いが起こった」と原文にない文章が入ってた。自分が原文の著者ならあまりいい気しないなと思ったのを覚えている。翻訳者による一種の反則技だ。
A shrink の話に戻る。問題は、日本語ではカウンセラーの皮肉をこめた呼び方が存在しないことだから、最終手段として
シュリンクに診てもらえよ。
(注:シュリンク=カウンセラーを意味するスラング)
って書いちゃうことだな。結局はこれが一番オリジナルにあるニュアンスを失わないのかもしれない。