"バングラデシュに来た" | 学生団体S.A.L. Official blog

学生団体S.A.L. Official blog

慶應義塾大学公認の国際協力団体S.A.L.の公式ブログです。

日本を飛び立って1日が経った。
中国での空港泊を経て、バングラデシュは首都ダッカに到着した。同じアジアに位置し、そんなに距離もないけど、なんだかすごく遠かった。空港に降りたときは、ただひたすらに疲れていていつまでも眠れるような気がした。
でも、空港から街へ出ると、朝が来たように、わたしの眠気はふっとんだ。浅黒く、瞳の大きな人々とクラクションを鳴らし続けるトヨタの中古車で溢れかえる道。どの車が鳴らしているのかも、どの車に鳴らしているのかもまるでわからない。
"バングラデシュに来た"、まさにその瞬間だった。
繁華街へ夕食を食べに行ったとき、まだほんとに幼い子供達に物乞いされた。物乞いされたら心が痛んで泣いたりするのかな、出発前の日本ではそんなことを考えていた。でも、物乞いの子供達を目の前にして、さらには服をひっぱられたりしても、心が痛むことはなかった。いま目の前に物乞いがいるのに、まして触れられてさえいるのに、わたしのなかではそれがどっか遠くの世界で起こっていることのようにしか思えなかったのかもしれない。自分にがっかりした。
翌日は早朝から車とフェリーで片道6時間かけて田舎のリゾート地へ向かった。
バングラデシュのリゾート地。
それはダッカの喧騒からは想像できないほどきれいなところだった。
人ごみで溢れかえるダッカと同じ国のなかにこんなにも自然が多く残り、旅行客を魅了する場所があるなんて思ってもみなかった。田舎だからといって不便なところはなかった。トイレもシャワーもあった。村には小さな子供達がたくさんいて、わたしたちが歩くと、物珍しそうに後をついてきた。物乞いではない。彼らは笑顔だった。見ず知らずの外国人に子供達が笑ってついてくる。日本でもこんなことはあるのだろうか?
日本にいるとき、たまに、東京でないどこか、田舎に産まれていたらきっと全然違う人生だったろうなと思うときがある。そっちのほうが幸せだったかな、と思ったりもする。
それと同じことをバングラデシュでも考えた。首都ダッカに産まれるのとリゾート地の田舎に産まれるのでは、どっちがいいかな。答えなんて人によって違うし、考えてもどうしようもないことなんだけど、その日はふと気づくと何度もそんなことを考えていた。
リゾートには1泊しただけだったけど、帰国したいまバングラデシュを思い出して1番最初に浮かぶのがあのきれいな、田舎の風景だ。ダッカと比べて優劣をつけたいんじゃない。でも、首都と田舎を両方みることで発見できることがたくさんあった。
また必ず行きたい場所が、ひとつ増えた1日だった。

文責:1年 榊 汐里