ウガンダの犬 | 学生団体S.A.L. Official blog

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慶應義塾大学公認の国際協力団体S.A.L.の公式ブログです。

アフリカの内陸に位置する
通称「パール オブ アフリカ」、ウガンダ
つまり「アフリカの真珠」


それだけ緑が豊富で、そして同時に自然と動物が猛威をふるっていた地


入国する前の予防接種を僕は何回も打ちに行った。
「黄熱病」「狂犬病」「破傷風」・・・推奨される種類は多い。


現にウガンダの街へ繰り出してみると
鶏やヤギ、牛、サル、ネズミ、野良犬、野良猫・・・
なるほど確かに感染の可能性は高かった。


そんな遠い彼方の一国で、一匹の子犬に出会った。
そこらの町の野良犬が二匹、交尾をして生まれた子犬だった
日本でならまず、野良犬を見かける機会は圧倒的にウガンダより少ないし、
さらに「野良」犬なんかには触りたくないという人がほとんどを占めるだろう。


そんな野良の子犬を僕は「かわいい」の気持ちで見ていた
万国で犬は愛され、かわいいと思われる動物なのだと
僕はその一瞬まで、この20年、生きてきた


しかし違った


いきなり近所の子供たちが石を投げ、耳を引っ張った
生まれて間もない(おそらく)子犬を。


僕は圧倒的なカルチャーショックと、やり場のない悲しみを覚えて
子供たちに叫び、やめさせた。

その時に子犬を抱きかかえ、命の大切さ(と言ったらおおげさだけど)を
説く事ができたらどんなによかっただろう。

僕の頭に"狂「犬」病"が浮かんだ。


子犬に触ることすらできなかった
子供たちにやめさせた、ただそれだけだった。


病を患う自分を恐れて、別の命に触る事もできずに
一体何が「命の大切さを説く」だろうか


後々聞いた話だと、ウガンダではどうやら犬は嫌われ者らしい。
理由は聞く事はかなわなかったが、
嫌いだからという感情のワケで粗末にしていい命はない


僕は日本の実家に犬を一匹飼っている
それが僕に大きい感情の起伏を起こさせた理由だった
自分の犬にあのウガンダの子犬がかさなったらしかった


そのため犬には特別な感情が僕にはある
他の鶏や牛、ヤギは「食べる」という目的のもとで飼育や放牧がされている
それに対してウガンダの犬は違う。
あの瞬間はただの子供たちの憂さ晴らしの的でしかなかった



僕にはその現実が悲しくてたまらなくて
でもどうする事もできなくて

ただその犬の写真と動画を撮影することしかできなかった



幾分暗い文面になってしまった
僕は生涯あの、人間に脅えきった犬の顔を忘れることはないだろう
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【文責:広報局二年 斉藤裕太】