これぞ、インド! | 学生団体S.A.L. Official blog

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本屋で「地球の歩き方」を買って読んだ。
『「豊かな国の旅行者」として狙われる立場にあることを自覚しなくてはならない。いろいろな企みをもった人が接近してくる。その筋のプロには警戒を。モノや金を失うだけならまだしも、最悪の場合は命にも関わることだ』
私は完璧に身構えてインドに行った。


9月6日午前2時、コルカタの街はシーンとしていた。空港からホテルまでの暗くて静まり返った道で私が目にしたのは、タクシーの屋根の上で寝るドライバー、路上で寝る人とのら犬、15メートルほどの木材を何十本も小さな台車に乗せて運ぶ人、それくらいだった。

その光景は、怖くて不気味だった。


9月6日午後12時、街はとっくに動き始めていた。恐る恐る外に出てみる。タクシーとオートリクシャーのクラクションが鳴り響き、ヨーグルトがくさったような匂いがツーンと鼻を刺激した。道は人とリクシャーとタクシーと犬でごった返し、秩序立っていない。

「人」といっても様々である。屋台でナンの生地をこねる男性、リクシャー(人力車のような乗り物)に乗らないか?と声をかけてくるやせこけた老人、moneyと言って手を差し伸べてくるボロボロの服を着た少年、、、彼らの目は怖かった。そのすべてが私のかばんを狙っているように見えた。


午後6時30分、街は薄暗くなった。なにやら音楽が聞こえる方へ、帽子からズボンまで白い服を着た人たちが肩に力を入れて一方向へ進んでいく。イスラム教の礼拝が始まったようだ。彼らの後をついて行くと礼拝堂にたどり着いた。遠目から見ていると、青年が話しかけてきた。
「何してるの?」
これはひっかけられると警戒し、
「ただ見てるだけ、ありがとう」
と軽くあしらった。
「見てるだけ?まあ何かあったら説明するよ」
彼のまっすぐな目を見て信用してみようと思った。毎日5回礼拝があり、早朝の礼拝は4時50分からであること、それは義務であり辛く感じたことはないこと、いろいろ教えてくれた。そばにいたインド人も面白がってニヤニヤしながら近づいてくる。しばらくすると彼はじゃあねと手を振って姿を消した。

彼の背中を追う私の目はいつしかやわらいでいた。


彼らの目が怖いわけではなかった。私が彼らを警戒し過ぎたあまり、怖い目をしていたようだ。目があってニコッとすれば、彼らも真っ白い歯を出してニカッと笑い返してくれる。

残りの時間、もっとインド人を信じてみようと思った。


翌日、ヴァラナシの火葬場に行った。ガイドのお兄さんの巧みな話術で250ルピーぼったくられた。

これぞ、インド!


文責:イベント局1年 松村恵理