【22日上映:ワンダーランド】 | 学生団体S.A.L. Official blog

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22日限定公開の「ワンダーランド」(撮影地:カンボジア)の監督重田竣平より、本作への想いを綴らさせて頂きます。


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あなたは「地雷原」と聞いて、どのようなイメージを思い浮かべますか?

悪魔の兵器、戦争の傷跡、傷つけられる罪のない人々、苦しい生活。
多くがネガティブなイメージでしょう。僕も実際に現地に何度も足を運ぶようになるまではそのようなイメージしか持っていませんでした。その思い込みを覆したのは「俺んちの庭で地雷一個見つけたんだ。見る?あと、あのマンゴーの木下にもうイッパツあると思うんだけどな~」
…そんなことを言いながらにやにやと裏庭へ歩いて行く村民の背中でした。

もちろん、地雷は人を苦しめます。手足を奪い、時には命までをも奪います。時には炎天下で非常に過酷な撤去作業を強いられることもあります。しかしながら、裏庭に地雷が埋まっているだけで人生のすべての彩りを奪われてしまうほど、人間の生命力は弱っちいものではありません。自然流。地雷があるならあるなりに生きる。その強さに、僕は驚かされました。地雷なんて、ない方が良いに決まってる。当たり前です。まあでも、あったところでなんとかなるんじゃ…。我々日本人は、60余年に及び平和な社会に安住し、物質的にも豊かな暮らしを送ってきました。その中でも、人はささいなことで「不幸せだ」と不満を漏らします。僕はその事自体、全くもって贅沢な悩みだとは思いません。人生はなにかとツラいことばかりです。ただし、日々の生活のひとつひとつの出来事から幸せを拾い上げ、前向きに行きていくチカラが我々には備わっています。その事を、カンボジアの地雷原に生きる人々が改めて思い出させてくれます。タサエンという村で、そんな力強さを発揮しているのは村民たちだけではありません。現地での地雷処理活動においてプレイングマネージャーを務める、高山良二さん。ちょうど20年前のPKOで自衛官としてカンボジアに訪れ、退役後またすぐにカンボジアに舞い戻ってきた、「カンボジアに取り憑かれた男」。カンボジア語も、英語もろくにしゃべれず、一般的に言えばもう故郷・愛媛で「隠居生活」を送っていてもいいはずのおじさんであるのにも関わらず、第一線で活躍し続けるプロフェッショナル。幾多の苦難を乗り越えながら「やりたいことやったもん勝ちの人生」を全身全霊で表現し続けるその勇ましい姿に、多くの人が心を震わせます。僕もその中の一人です。


この『ワンダーランド』という作品は、いかなる政治的メッセージも、道徳も、価値観も発信していないつもりでいます。すじがきもありません。ですからぜひ、肩の力を存分に抜いてご覧になってください。それで、映像を見て少しでも関心が湧いたなら、格安航空券を取ってバンコクに行き、バンコクからバスで3~4時間乗り合いバスに揺られ、タサエンへ。高山さんと村民たちが、顔に押し当てたほかほかのおしぼりのようにじんわりと沁みる笑顔で出迎えてくれます。そこで見たもの感じたものがすべてだと僕は思います。僕も近いうちにまた訪れようと思っていますので、ぜひタサエンで会いましょう。


最後に、タサエンへの4度に渡る訪問、また地元愛媛県松山市への訪問を快く受け入れ、制作に多大なるご尽力をいただいた高山良二さんに、感謝を申し上げたいと思います。

慶應義塾大学3年:重田竣平
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