中東スタツア最終日。
ヨルダンの大学生たちの力を借りてアンマンの町の人々にインタビューをしてみた。
とある洋服屋の主人に「生きていて一番幸せに感じることは何ですか?」と訪ねると彼はモスクで1日5回の礼拝をしている時だと答えた。
ムスリムである彼にとって宗教とは辛いことがあっても唯一心に安らぎを与えることのできるものだと説明してくれた。
様々な質問を彼にしいるうちに彼がパレスチナ系のヨルダン人だということが分かった。
パレスチナの地を追われてヨルダンへ避難してきたヨルダンでは珍しくないいわゆるパレスチナ難民の子孫だったのだ。
彼がパレスチナ系のヨルダン人だということが分かった途端、どうしても聞いてみたいことをぶつけてみた。
イスラエルとの共存は可能か?
答えはズバリ、「NO」
自分たちの土地を不法に占領し続けるような人たちと妥協しながら生きていくことは到底できない。ユダヤ人はパレスチナの地から出て行くべきでその実現のためなら自爆テロを用いてもかまわないと店の主人は熱弁した。
この主人のあまりの迫力に僕らは無言になってしまった。
すると横にいたヨルダン大学の学生も「パレスチナ人はみんな被害者なのだからイスラエルを悪く思う人がいるのは当然だ」と答えてくれた。
確かにその通りなのかもしれない。日本とヨルダンとでは住む世界が違いすぎるのかもしれない。
しかし、コーランの中に人殺しと自殺は大罪だと書かれているにも関わらずムスリムである彼の口から「自爆テロ」という言葉が出てきたのが気になった。
そこで思い切った質問をぶつけてみた。
「あなたは自爆テロができますか?」
思い詰めた表情で彼はこう答えた。
「じゃあ、もし自分の家族に危害を加えるような人たちが現れたら君ならどうする?」
あまりに非現実的な質問に言葉が出なかった・・・。
すると彼は家族に危害を加えるような連中がいたら自分が犠牲になってでも必ず守ると語った。
これを聞いて祖父がかつて自分に聞かせてくれた話を突然思い出した。
「ミツバチの哲学」
これはミツバチが巣を守るために自分が死ぬと分かっていて敵を刺すのと同じように戦時中の日本人は自らが死んでも祖国を守るという軍国式の考えを持っていたというものだ。
時代も国も違うヨルダンで戦時中の日本人と同じようなメンタリティーを持っている人と出会えたのは衝撃だった。
映画や本で耳にするこの言葉が初めてしっくりきた。
「歴史は繰り返す」
国籍や時代は違っても戦争は繰り返されているのだと実感させられ、
平和な日本も例外ではないと思った。
【文責:2年PM局 岩田 賢】