ぼくの大切なともだち | Eisai i nyxta me ta ainigmata

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つぶあんこは電気ショックで死ぬ夢を見るのか。


「ぼくの大切なともだち」をル・シネマで観てきました。
http://www.wisepolicy.com/mon_meilleur_ami/
(音が出ますよ)
パトリス・ルコントの新作です。
ルコントの映画と言われたら
「ダメな主人公の男が転落していく」映画か
「パッとしない男同士の友情が展開される」
映画を期待してしまうし、こっちもそれを求めて観に行くのですが
これは後者。男の友情が描かれていきます。

美術商のフランソワはその場の気分で
オークションでギリシャ文化の壺を20万ユーロで落札します。
しかしこの壺を手に入れるための条件が
「本当の親友を10日以内に連れて来る」という事。
お金だけを信じ人を信じる事ができなかったフランソワは
その賭けに乗ってしまうのですが
親友だと思っていた人達全員に袖にされ、途方に暮れてしまいます。
一方人を信じ過ぎて損をしてきた(と予告編では謳っているがちょい違う)
タクシー運転手のブリュノ。
誰とでも親しくなれるブリュノにフランソワは教えを請うのですが
そのブリュノも実は知識と情報だけを武器とし
テレビのクイズ番組に登場する事を小さい頃から望んでいるのですが
極端な上がり症だったりします。
実はブリュノも精神的に不器用だったりするのです。
そんな二人が他愛ない事をしていく事によって
少しずつ精神的に打ち解け合っていくのですが・・・

でもフランソワには「親友」の本当の意味がわかってないんですね。
フランソワはブリュノを結果として信頼を裏切る行為をしてしまいます。
親友というものを「存在」としての扱いをしてしまいます。
親友だと思っていたブリュノは精神的にずたずたにされてしまいます。
そんな中、ブリュノにクイズ番組の参加の話が舞い込んできます。
(これが「クイズ・ミリオネア」だったりする。万国共通なんだね)
ミリオネアのライフラインで「テレフォン」を最後に使うブリュノ。
掛ける相手はフランソワ。
親友ではないけれど、フランソワが投げ掛けてきた
「本当の親友を探す」という気持ちを今度はブリュノが投げ掛けるんですよ。

この不器用な男同士が見せる「微妙な友情」が
すごくぞくぞくする、疼くのです。精神的に。
すごくイイのよ。わかりあえない「現在」であり
「わかり合いたい」とも思っている二人の距離感が。
すごくステキに表現されている。

観た後少しココロがやさしい気持ちになれる映画でした。
自分に親友と呼べる存在がいるかどうかは別として
(ブリュノは「人は基本的に孤独なものだ」と言ってる)
親友という存在の意味が自分にとってどういうものなのか
大切な友達というのはいったい自分にとってどういう位置づけなのか
ちょっと考えたくなる、でも重たくなく軽く感じたくなる
映画でした。

最近映画を観ていて精神的に重たくなるばかりだったけれど
久しぶりに気分良く劇場を出る事ができました。
うん、観て良かったよ。
不器用な自分でもやさしい気持ちにさせてくれる映画だったよ。
そして、やっぱり「ルコントらしい映画」を観た気がするよ。
ルコント映画を観た後に感じる「なんかイイ感じ」を感じられたよ。