火曜日の話。
「パークアンドラブホテル」を観に行ってきました。
http://www.pia.co.jp/pff/park/
実は渋谷に出て「靖国」を観る予定だったのですが
シネアミューズに行ってみたら次の次の回まで
チケットが完売しているという有様。
しかも映画館の前に警察車両が停まっていて
警察官が2人と劇場スタッフが3人くらい警備しているという
物騒な状態でした。
映画としての評判は「登場人物の出演意図を捏造している」だとか
あまりよろしくない様子。気になるけど観に行けるかな?
で、代わりにユーロスペースで「パークアンドラブホテル」を観たという訳。
時間的に噛み合えば本当はル・シネマで
「ラフマニノフ」を観たかったのですが
今の気分としては後悔せずにいられない選択をしたな、と。
観た後に他での評価が見たくてサーフしてみたら
mixiの評価がそこそこ高くてびっくり。
ヤフーの評価もかろうじて3点台が付いていたりします。
正直な感想を言っていいでしょうか。
久しぶりに、本当に、つまらない映画を観てしまいました。
こんなにも、話が書けていない映画を久しぶりに観てしまいました。
はっきり言って、これのどこが面白いのかさっぱりわかりません。
登場人物の抱える感情の葛藤や孤独というものに
まるで共感ができませんでした。
新宿近辺のとある場所にある
さびれたラブホテル(休憩が2500円と激安)の屋上に公園があり
そこが子供たちを含め人が集う場所となっている
そんなラブホテルが舞台の3人の女性が登場するオムニバス的構成。
おそらく「ラブホの屋上に公園がある」という設定で勝負したいのですが
如何せん、舞台となるラブホの汚さに映画としてのリアルさを
見いだす事ができませんでした。
まるで山谷の日雇い労働者が泊まるような部屋です。ホテルです。
休憩2500円なんて高過ぎるくらいの金額設定です。
ホテルとしては安いんだけどさ、もちろん。
このホテルの「ホテルとして成立してなさ」から
違和感がありありと感じてしまいます。
次に屋上に公園があるという設定。
上手く生かしきれているとはとてもじゃないけれど言いきれません。
どうして子供たちは屋上に惹かれるのかが全く描かれていないので
ホテルの屋上に人が集まるという「映画上の事実」に
まるで共感する事ができません。
あの屋上のパークは何かの象徴であると描きたかったと思うのですが
その「何か」、たぶんそれは心の「ありか」としての象徴
「孤独や心の痛みを包み込んでくれる」場所としての生命力というか
そういうものだと思うのですが
それが全く描けていません。
映画の中で音楽は一切流れない事については
それを演出としてやっているのなら、予算の都合上だったりとか
そんな理由があった方がまだよかったのに
屋上に集まるバイオリン弾きの演奏ともよべない即興らしきものが
「映画の音楽」としてエンドロールで紹介されています。
そんなどうでもいい(本当にどうでもいい)音楽だったら
音楽のクレジットなんて入れない方がまだましです。
製作者のオナニーを押し付けられても嫌気がさすばかりです。
3人の女性のエピソードもちゃんと描けているとは思えません。
主人公のホテルのおばちゃんが
人当たりが悪そうに見えて(実際素っ気無いけれど)
実は相手の気持ちをわかってあげられる人だったりするけれど
何故最初の少女はあのおばちゃんに惹かれたのか
最後に染めていた髪の毛を黒く戻す事は何を暗示しているのか
(一応映画の中でその答えは提示しているけれど)
ちはる演じる二人目の女性を突然「無給でいいから働かせてくれ」と
駆り立たせたのか
ウォーキング日記を公園で燃やす事が
どういう風に次のステップへと踏み出すきっかけとなったのか
(それも「一応」結果どうなったかは描いてはいる)
最後の3人目の女性とのやりとりは
結局何を産み出し何を失ったのか
そしてあのキスは何を象徴していたのか
主人公のおばちゃんの夫の死体とやらは結局どうなったのか
全部が全部共感できなかった。さっぱりわからなかった。
わしが読解力に劣っているのか?そんなはずはないと思う。
この映画は「まるで描けていない」と思う。
設定に共感できる要素がひとつとして存在しない。
PFFがこの映画に協賛するのは「しそうな映画」だからわかるけれど
これは、お金を取って見せる映画のレベルじゃないと思う。
製作者のオナニー映画の域を超えていない
少なくとも商業映画のレベルじゃない
映画としてサービスしろと言ってる訳じゃないけれど
せめて「映画として」観客に「映画」であるものを提供してくれ。
お前はデヴィッド・リンチに感化されたのか。
それは言い過ぎかな。
でも、この映画が「映画として」成立しているレベルじゃない事は
共感しようにも共感するためのいろんな部分での描写が
まるで作れていない映画を久しぶりに観ました。
この映画に感動して涙がでそうになったなんて言える人とは
たぶん一生わかり合えないと思う。
いわゆる「楽しめるダメ映画」じゃないし
「ダメ映画」にはダメ映画なりの楽しみ方があるけれど
それ以前に、「映画」であってくれよと。
そうじゃなければ、デレク・ジャーマンの「BLUE」クラスの
究極のオナニー映画だと主張してくれ。
本当に、観た後不快な気分になる映画らしきものを久しぶりに観たよ。
まったくだ。怒れるだけでもまだマシなのかもしれないけれど。