衆議院選挙は与党の勝利に終わりました。
共産党を除く野党は敗北ということになるでしょう。
色々な記者会見を見ていると、ある野党の共同代表が「敗因を分析してどのように考えているか?」との記者の質問に対して、「有権者の一人一人が何を考えてどこに入れたかなどは調べることが出来ないのだから分析など無理。だから分析はしない。」と答えていました。
いつもながら自分の失敗や欠点を認めたがらないのだなと思いつつも、もし本当にこのように考えているとしたら問題だと思います。
もし営業がこれと同じように、買っていただけなかったことを分析するのに、「相手の考えが分からない。だから分析などしない。」などと言い出したらどうでしょう。ま、この営業に成長というのはあり得ないですね。同じミスを何度も繰り返すだけです。
失敗は成功の母です。
一度も失敗しない人間などいません。ですから失敗から学べる人間がより成長していきます。
営業で買っていただけなかった時には当然分析・反省を行わなくてはいけません。
ただ良く見かけるのは、管理職がどなり散らし叱責するだけのものです。
このような反省会ならばしない方がましです。
このような場でこそ管理職の力量が問われます。
まず大事なのは、理論をもっているかどうかです。
理論がしっかりしていればそれに照らし合わせて分析ができます。しかし、理論がないと行き当たりばったりで思いつきの分析しか出来ません。
(上に述べた、さる野党の共同代表は理論を持っていないのでしょう)
理論についてはこれまでにも、阻害要因や購買性向やキーパーソンについて書きました。それを参考にしてみてください。
今回は分析の仕方というか方向性というか、そういったことについて書いてみます。
囲碁をご存じない方には囲碁の譬えが多くて申し訳ありません。
囲碁では(おそらく将棋でも)対局終了後、対局者(勝者、敗者)と立会人などが検討をおこないます。(感想戦などとも言うようです)
これは敗者にとっては非常につらいものだと思いますが、プロの先生の話を聞くと敗者の方が一所懸命に検討を行い、敗者が終わると言わなければ勝者はいつまでも付き合わなくてはいけないのが慣習だそうです。夜の10時11時にようやく勝負がついた後、午前2時3時ごろまで検討が続くのは普通のことと聞きます。
プロの凄みを感じます。
さて、その検討(反省)の仕方には2通りあります。
一つは最終図から一手ずつさかのぼって敗着を探す方法。
もう一つは一手目から並べ直して検討する方法。
さて営業の反省会についてみてみますと、ほとんどの管理職が最後からさかのぼって失敗の原因を探すようです。
「もうXXX%値引きしていればよかったのに。」とか「あの時に社長にアプローチしていれば」などの反省が生まれます。
これはこれでいいのですが・・・・・・・・
囲碁のプロの場合はほとんどの手に間違いはありません。一局の中で疑問が残る手は一手か二手です。そのような勝負では最後に悪手を打った方が負けると言われています。ですから最後からさかのぼって敗着を探すことができます。
ところが経験豊富な営業ならともかく、まだまだ実力が付いていない営業がこの方法をとっても多くの悪手の中の最後の一つだけを見つけて終わってしまいます。その悪手以前に数えきれない悪手を打ってしまっていますが、そちらに焦点があたりません。
ですからこのような営業の場合には一手目から、すなわち営業の活動の初期の段階から一つずつ分析検討をしていく必要があります。
囲碁でプロとアマがハンディなしで対局すれば数十手でつぶされてしまいます。
かたや序盤が完璧で、かたや序盤が未熟では勝負になりません。
営業でもおなじことで競争相手の優秀な営業が営業活動の最初の段階からきちっとアプローチしているのなら、なかなか勝つことはできません。
敗北直前の値引きなどは枝葉のことですが、気をつけないとそればかりが原因と思ってしまいます。これでは本当に強い競争相手には勝つことはできません。
営業の管理職の方は、その営業のレベルに応じた分析や反省をさせる必要があります。