お客様を理解するには傾聴が重要だと述べました。
しかし自分ばかりが喋って傾聴ができない人を多く見かけます。
どのようにしたら傾聴し、お客様を理解することができるのでしょうか。
まず第一は、心がけでもありますが、「誠実な関心をよせる」ということです。
私がよく営業の皆さんにお勧めする本にデール・カーネギーの超ロングセラーの「人を動かす」というのがあります。その第二部第一章のタイトルがずばり「誠実な関心をよせる」です。
傾聴できずに自分ばかりがよく喋る人というのは、結局のところ自分が話したいことに関心があって相手への関心が乏しいのです。ですから心構えとして相手に対して関心を持つことが重要になります。
前回述べた話で、私の部下がお客様の専務さんに社内餅つき大会の話を持ち出して会話が盛り上がったことを書きました。ご訪問後その部下に社内餅つき大会の話題を持ち出した理由を訊ねると、彼いわく「お客様の社内で餅つき大会の話題をよく聞くので、単純に興味を持っただけです。自分は餅つきなんてしたことがないので。」
専務さんが餅つきの話を始めると、「突き手よりも返し手の方が大変だ。下手をすると手が血まみれになって白い餅が赤くなる。」などと仰り、思わず「どうしてですか?」と訊ねると延々と餅つきの話が続きます。仕事の話から見ると他愛もない話です。
一旦会話が盛り上がると、慣性というか、人間は饒舌になります。饒舌になった専務さんはその後仕事の話になっても饒舌が続き、大事な話、機密に近い話も語られたのです。
ここを間違えている営業が多く、最初に滔々と製品説明などを行ってお客様自身の口を重くしてしまいがちです。
まずはお客様にお話ししていただく、それが大事です。話題は何でもいいのです。お客様が話したいことをお話されればいいのです。そのためには営業自身がお客様に対して誠実な関心を強く持たなくてはいけません。
私のお勧めのテレビ番組は、「新婚さん! いらっしゃい」です。司会の桂三枝 (現 文枝)の会話術が参考になると昔教えられました。ここでも彼の出演者に対しての関心が話題を引き出しています。決して彼は喋りすぎていません。
あとはやはりデール・カーネギーの「人を動かす」は是非読んでおきたい一冊ですね。