良いものは必ず売れるのか   「紀香のドレス」 | 営業は科学だ!  Welcome to the Science of Sales

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良いものは売れる、良いものこそ売れる、と思っている人は多いと思います。でも本当にそうでしょうか。私がよくするたとえ話に「紀香のドレス」というのがあります。
「紀香」とは、そうパーフェクトなナイスバディの女優の藤原紀香です。

このたとえ話は、映画祭か何かのパーティにドレス姿の藤原紀香をテレビで見たときに頭にうかびました。藤原紀香が一流のデザイナーの手になるドレスを身につけている姿を見てほとんどの女性が「綺麗!! 私もなれるものなら紀香になってあんなすばらしいドレスを着てレッドカーペットを歩いてみたい」と思うのではないでしょうか。
ではその「紀香のドレス」を一般の女性にあなたは買っていただく自信はありますか?私にはありません。あのドレスは紀香だから似合うのであって、一般女性に着てもらうには丈を短くし、ウェストを広げ、バストを狭めたりして、似ても似つかないシルエットにしてしまうことになります。最高のドレスを最高の形で見てもお客様がそれを買うとは限らないのです。

このたとえ話は極端かもしれませんが、実際の営業活動では皆さんはこれとよく似たことを行っていることが多いようです。

ある大企業が素晴らしい社長用の意思決定支援システムを作りました。世界各国の売上予測が瞬時にグラフ化され、また世界中にある工場の生産計画も同様に瞬時にグラフ表示されるものです。それが社長室の壁いっぱいにひろがっているそうです。この大企業はこの素晴らしいシステムを開発費用の一部でも回収できればと、開発したITベンダーとともに多くの企業に売り込みを行いました。積極的にお客様をお呼びして社長室の中まで招き入れその素晴らしいシステムのデモンストレーションを行いました。ご覧になったお客さま方は皆一様にそのシステムの素晴らしさに感動し、絶賛しました。そのITベンダーはお客さま方の反応に手ごたえを感じ積極的な販売目標を立て営業活動に励みました。
では、結果としてどの程度買っていただけたのでしょうか
私が聞いた範囲では一件も売れなかったそうです。
デモンストレーションを見たお客様に実際の商談に入ると、「うちにはあんな立派なものは要らない。」とか「その前にデータを集める仕組みを作らなければ・・・・・」などのお話が出て結局話は進まなかったそうです。

素晴らしい商品の素晴らしい性能をお客様に納得いただいても買っていただけなかったという経験をお持ちの営業の方は多いのではないでしょうか。また営業の管理職の方で部下から「絶対大丈夫です。すごく気に入っていただいていますから。」といった報告を受けて受注を見込んでいたので駄目だったという経験をお持ちの方も多いでしょう。

そうです。「良い商品だから売れる」というのは幻想にすぎません。
必要なのは「お客様に適しているか」ということなのです。