第1章‐3【ラグビーとの出会い】 | サラリーマン金太野のブログ

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初めて読まれる方はこちらからご覧下さい。→第1章-1【ラグビーとの出会い】

第1章【ラグビーとの出会い】
PART-3 ラグビー部に激震が走る。一人の男の登場で反抗する生徒。そこで辿り着いた場所とは?

グラウンドに日差しが照りつけ出して、気温も上がってきた7月頃、ラグビー部は学校が休日の土曜日の日に校内のグラウンドで練習を行なっていた。
学校が休日の日は、基本的に朝の8時頃から練習が始まり、昼の11時までには練習が終わっていた。

その日は、学校が休日という事もあり、監督の梅田先生もグラウンドに来ており、普段楽な練習をしているラグビー部にとっては、いつもよりハードな練習を梅田先生の指導のもと行なっていた。

練習も終盤にかかりだした、10時半頃。

「おはようございます!!」

大きな声で挨拶をし、一人の男がグラウンドに入ってきた。

梅田先生「おう!!来たか!!まぁちょっと見ていけや。」

男「はい、分かりました!!じっくり見させてもらいます!」

その男は、淳二達から見て20代前半の男で、身長は170cmぐらい、髪は肩まで長く、身体はかなり鍛え上げられており、ボディビルダーみたいな身体をしていた。

その男が来てから、約1時間で練習が終わり、ラグビー部員が梅田先生の所に集合した。

梅田先生「はい、今日も一日お疲れさん。まぁ暑さも増してきてるから、これからも体調に気をつけて練習していくように」

部員「うっす!」

梅田先生「後、今日はもう一人紹介したい男がいて、こいつなんやけど、先生と同じ久世山高校ラグビー部の卒業で、先生のだいぶ下にはなるんやけど、後輩に当たる子や」

男「こんにちわ!!」

梅田先生「名前は大島。えー先生もあんまり最近はグラウンドで出れていないから、これからはこの大島が専属のコーチとしてお前らを鍛えていくから、分かったな。すまんけど大島、ちょっと挨拶してくれるか?」

大島コーチ「只今紹介に上がりました。大島です。年齢は19歳で只今大学にて勉強中です。君達と一緒にラグビーができることを嬉しく思いますので、これから宜しくお願い致します。」

部員「宜しくお願い致します」

梅田先生「ほな今日はこれで終わって、明日の日曜日から練習を教えてもらうようにするから分かったか?」

部員「うっす!!」

梅田先生「ほな今日はこれで解散。気をつけて帰るように」

部員「うっす!!」

集合が終わり、そのまま梅田先生はグラウンドから職員室へ戻っていった。

大島コーチは初めて会う部員に興味深々。
さまざまな部員に対して話かけていた。

大島コーチ「お前でかいなー!ええ身体しとるわ!!」

部員「はい!」

大島コーチ「お前、走り早そうやな~。50mなんぼや?」

部員「はい、6.7秒です」

さまざまな部員に話しかけていく中、大島コーチは淳二にも話かけてきた。

大島コーチ「お前、名前なんや?」

淳二「矢野です。」

大島コーチ「矢野?!大山町の矢野か?!」

淳二「そうです。」

大島コーチ「お姉ちゃんの名前なんて言うねん?」

淳二「早紀です!」(淳二には7つ離れた早紀という姉がいた)

大島コーチ「お前は、矢野早紀さん所の弟か!!」

淳二「はい。」

大島コーチ「お~そうか俺は早紀さんと同じクラスやったんや!!元気したはるんか?」

話によると、大島コーチは大宮中学校の卒業生らしく、淳二の姉とは同じクラスで、お互いに認識がある様子。
それから、大島コーチは淳二に色々なことを質問して、約10分間ぐらい大島コーチは淳二と話をした。

達也「淳二はあの人知ってるん?」

淳二「いや知らんで…」

龍二「でもだいぶ好かれたみたいやん(笑)」

淳二「う~んなんかちょっと姉さんにどんな人か聞いてみるわ」

健也「それより、なんかコーチが来たって事は、明日から本格的な練習が始まりそうやな」

あきら「しんどかったら嫌やな」

達也「まぁそん時はやめたらええねん。」

そんな話をしながら淳二は帰宅した。

淳二「ただいま~!!」

姉「おかえり。」

淳二「姉ちゃん、ちょっと聞きたいんやけど、同じ中学校で同い年の大島くんって人知ってる?」

姉「うん、知ってるけど何かあったんか?」

淳二「いや、なんか明日からラグビー部のコーチに来るみたいで、大島くんも姉ちゃんのこと知ってたみたいやから。どんな人なん?」

姉「あっそうなんや。大島くんかー。懐かしいな~!!当時はかなりヤンチャで生徒から恐れられてた子やで。かなりの負けず嫌いで、負けん気だけは強かったな~。お姉ちゃんは大嫌いなタイプやけど」

淳二「あっそうなんや。なんかしんどい練習させられそうやわ…。。」

次の日の日曜日。気温は約28度。
当時は、現在のように30度を超えることはあまりなく、28度でもかなり高い気温であった。

午前8時、練習開始。

大島コーチ「ヨッシャ!!ほなまずは本格的な夏に向けての走り込みから入ろか!!」

トラック1周ずつのポジション別の競争が始まる。

淳二達、1年生にとっては初めて経験するツラく、しんどい練習であった。
約40分ぐらいたった段階で、部員の1/3はインターバル中にグラウンドの隅で嘔吐を繰り返していた。
淳二は嘔吐まではしなかったが、達也を含めた1年生も半分以上が嘔吐していた。

それから休憩を挟んで、10時半頃から再度練習がスタート。

大島コーチ「ラグビーは首が大事や!!首が弱かったら首の骨折って死んでまうから、次は首を徹底的に鍛えるぞ」

部員「はい!!」

この時点で、部員の6名程はリタイヤし、グラウンドの隅で休んでいる状態だった。
首を鍛える方法はというと単純なものであった。
グラウンドで、手をついた状態で、四つん這いになり、地面に頭を付けて、まずは膝を浮かし、そして、そこから手を放して、首だけで身体を支えるという練習であった。

大島コーチ「はい!この状態で30分行くぞ!よーいスタート」

これが思っている以上にしんどく、たぶん一般の方であれば、5分持てば上出来であろう。
それとプラスして、グラウンドの土は砂利がかなり多く、頭に多くの針が刺さっているような痛さが頭に伝わるのだ。

体重の重い淳二や達也にとっては、地獄のような練習であった。

開始後、3分で一人の部員が崩れ落ちた。
その瞬間、大島コーチが大声で叫んだ。

大島コーチ「はい、アゲイン!!もう一回最初から!!よーいスタート!!」

アゲイン…この言葉は本当に一生忘れない言葉であろう。
アゲインとは、そのままの意味である。この声一つで最初からの、やり直しとなる。

体力が限界にきている部員達にとっては、これはほぼ拷問に近かった。
30分も持つはずもなく、数分で誰かが崩れる。
その度に、大島コーチの「アゲイン!!」という声がグラウンドで響き渡る。

それから、30分もそんな事ができるはずもなく、首を鍛える練習は約2時間続いた。

長い長い練習が終わり、その日の帰り道。

達也「できるはずないやん!!」

龍二「アカン…。限界」

先輩「もうアカンな」

淳二「うん、もう限界。明日も来るんかな?」

健也「いや?大学生やから学校やろ?基本的には土日とか休みの日だけちゃうん?」

先輩「ほな明日は、完全にオフにせなアカンな…」

部員達の考えは、甘かった。
その日から大島コーチは毎日来て、同じような基礎練習を永遠に部員達に続けさせた。
例えば、ラグビーは倒れるスポーツという事で、身体に染み付かせるという理由から、10mでトップスピードになり、その状態から手を一切地面につけずに、肩から1回転し、すぐ立ち上がり、また10m走り一回転し、200mを走りきるなど。
基本的なことが永遠に続いた。

そんな事もあり、部員達の肩や腰骨は全ての皮が破けて、ズル剥け状態で、ガーゼを4枚ほど重ねて、貼っておかないと、カッターシャツに血がにじんでいた。
頭の頭頂部も首を鍛える練習で、皮が破けて、手で触ると手に血が付く。そんな状態であった。

大島コーチが来てから、部員達はいつも目に涙を浮かべていた。
それはただしんどいからである。
大島コーチはいつも限界に達した部員にある言葉を投げかけていた。
「悔しくないんか?」

部員達は意味も分からず、「悔しいです」と言い、また練習が続く。
そんなことが毎日続いた。

それに踏まえて、大島コーチは上下関係にも厳しかった。
3年生が優しかったこともあり、1年生は大島コーチが来るまで、タメ口を聞いていた。
そのタメ口を聞いた大島コーチは「どういう事や?」と3年生を呼び出し、一人の先輩を何度も殴った。

それからというもの、1年生が間違ってタメ口を聞いた場合、1年生ではなく、3年生に対して、大島コーチはひたすら殴った。
そんな事もあり、大島コーチが就任してから、約2週間後には、1年生が3年生にタメ口を聞くことは一切なくなっていた。

しかし、ラグビー部をやめるものはいなかった。
それはただ単にやめるという一言を、梅田先生に言えなかっただけである。
それだけ梅田先生は学校の中でもラグビー部の中でも一番恐ろしい先生であった。

そういう日々が続く中、部員の口癖ができた。

「明日にはやめよ」
「次こんな練習させられたらやめよ」
「もうやめるわ」

そんな言葉を毎日のように部員達は発するようになっていた。

そんな時期が約3ヶ月間続き、3年生は10月の最後の京都大会に臨んだ。
身体の大きさを有効的に使い、ベスト4まで勝ち進んだが、最終的には、3年間必死で鍛えていたチームには、通用する訳もなく、あっけなく負けてしまい引退。
ラグビー部は1年生18名だけとなった。

それからというもの練習内容は更に激しさを増していった。

土日の練習では、8時開始で、12時に一旦終了し、梅田監督が帰ってから、大島コーチと1年生は昼飯も食べずに再度練習開始し、14時に終了という、居残り練習もプラスされるようになった。
練習中に顔を殴られる事なんて日常だった。他の部活動の生徒達は、そんなラグビー部をいつも異様な目で見ていた。
練習が終わってからの帰り道は長く、玄関のドアを開けた時には、完全に気が抜けてバタッと倒れ、靴を履いたまま、ドロドロの服も脱がずに、玄関の靴の上で寝ていることが土日の定番になっていた。

そして、厳しい練習を繰り返す中、部員達には、徐々に大島コーチに対する不満が湧き始めた。
帰り道では必ず大島コーチの文句を言いながら帰り、たまに練習後、帰り道の団地の下に集まり、ゆっくり喋る時も、いつも大島コーチの話題で持ちっきりだった。

そんな不満を溜め込んでいく中で、今思えば練習でストレスを発散しておけば良かったのだろうが、それが違う方向でストレスを発散するようになっていく。

はじめは小さなきっかけから始まった。

達也「このチャリンコ邪魔やな~!!おい!!この隣のチャリ、パンクさせとこか?」

淳二「それええやん!どんな奴が来るか、遠くから見といたええねん」

そんな事から、部員達は何かに目覚めたかのように練習帰り、そして練習後の夜に再度集まり、悪さを始めていくようになっていった。
誤解を招いては恐いので、言っておくが、1年生の中でも真面目なものはいた。
悪さをする人間というのは18名の中で、9名程度。後の半分は毎日を真面目に過ごしていた。

悪さを始めていくといっても、最初は悪気がある中で、やっていた。
それが日がたつに連れて、全く悪気を感じないようになってしまっていたのだ。

帰り道には、コンビニで、食べ物を万引きした。
又、ラグビーで使用する練習着は全て万引きしたもの。私服だって同様。
また、他校の属にいうヤンキーとも、大宮中学校ラグビー部が主体に付き合うようになり、その関係は深まっていき、原付(原動付自転車)を窃盗しての無免許運転にまで発展していた。

誰も止めようとするものはいなかった。
逆に、その感覚が当たり前のようになっていき、厳しい練習の後は、その疲れた身体で悪さを繰り返し、他校の生徒と毎晩のように公園に集まり、喧嘩するようになっていた。
ラグビー部で鍛えていたこともあり、ラグビー部員は負けることが少なく、あたかも自分達が一番になっているような気分だった。

そんな状態だと知らない親も、少しずつ気付いていたのだろう。
淳二の母親の陽子は新しい練習着を見るたびに、淳二に疑いをかけ始めるようになっていた。

陽子「あんた、これなんや?」

淳二「それ先輩からもらった!!」

陽子「こんな新品くれる先輩いるはずないやろ?あんたええか。万引きだけは窃盗という犯罪なんやから絶対したらアカンで。」

淳二「そんな悪いことするはずないやん。練習で疲れてるのにする元気もないわ」

陽子「なら良いけど、あんたがタバコ吸ってるん見たっていう人がいるんやけど、タバコ吸ってるんか?」

淳二「タバコなんて吸うはずないやん。そんなんで練習できひんわ」

全てが嘘だった。しかし、陽子はそんな淳二の言うことを全て信じるようにしていたのだ。
次第に親子の会話で淳二の発言は全て嘘の内容になっていた。
淳二はその度に少し申し訳ない気持ちになっていたが、他校の生徒から恐がられている事に対して、変な達成感があり、止めることができなかった。

その時には既にラグビーへの憧れと、ラグビーをしたいという気持ちは1ミリたりともなくなっていた。

陽子同様に、大島コーチも同じく部員達を信じていた。
大学生で授業もある中、コーチとして就任した7月からこの現状になるまでの、11月まで一日も休まずにコーチとして練習に来て必死になって部員達を教えていた。

しかし、部員にとって大島コーチのその行動は、ただの迷惑にしか思えなかった。

そんな日々が続く、ある日の練習中、ラグビー部の中では身体は小さめであったが、悪い事は率先して行うタイプの一番のお調子者の、大海(たいかい)と、唯一のラグビー経験者の林が生徒部の先生に呼び出された。
林も最初はラグビーを真面目にしていたが、達也や淳二に流されて、率先して悪さを繰り返すタイプに変わっていたのだ。

部員達は、2人が同じクラスだという事もあり、またクラスの中で問題を起こしたのであろうと、一瞬思っただけで、特に気にすることもなく、練習をしていた。

しかし、この30分後、思わぬ事態に発展することを、まだ部員も大島コーチも知らなかった。

【次回】PART-4 「大人の冷たさと優しさ。そして最終的に残るものとは一体?!」
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