去年に続いて「原爆投下後の機銃掃射」 | junとさらくのブログ

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 去年8月14日、このタイトルでブログを書いた。

 同じ頃さきの大戦で沖縄の基地から出撃して九州を中心に激しい爆撃をくりかえした米軍極東航空軍の戦闘報告書の一部を、戦史を調査している人から送ってもらえたので調べてみた。

 

 アメリカ陸軍に属していた極東航空軍は数百機の爆撃機や戦闘機などを擁した巨大な部隊だった。長崎への原爆投下前後の戦闘報告書だけでも膨大な量があり、そればかりしていたわけではないが目を通すのに7月下旬から始めて今年2月初旬までかかった。

 

 その結果、原爆投下当日のそうした戦闘報告書は見つけられなかった。しかし、新たな目撃証言や研究者による事実発見もあったので、ここに書くことにした。

 

 

 まず、去年書いた「下がり窓」からの機銃掃射について。

これはB17の胴体左側だが大きな開口部がある。突き出ているのが機関銃の銃身。

 

 機関銃で撃たれたと証言した女性は当時17歳、分別のある年齢であり場所についても地名をはっきり証言している。

 

 B17はドイツ爆撃で多用された機種で1945年にはすでに旧式となり、前線にはB24やB25が投入されていた。極東航空軍の主力爆撃機もこれらの機種で、原爆投下直前の8月1日の長崎の三菱造船所や製鋼所をねらった爆撃もこれらの機体が行ったことは戦闘報告書に書かれている。

 

 

 

 B17とB24の外見上の大きな違いは垂直尾翼が1枚か2枚かというくらいで、エンジンは両方とも4発だったし、この胴体側面に設けられた機銃座の開口部は共通していた。

 B25はエンジンが2発だったものの、やはり胴体側面に同様な開口部があり機関銃の銃口が外に向けられていた。

 

 「下がり窓」と聞いて思い出したのは、子供の頃自宅にはなかったが、立派なお宅へ行くと庭に面した壁だったか縦長の窓があり、開け閉めは窓を縦に動かして行うものだった。珍しかったので、記憶のどこかに残っていた。

 

 昭和の初めに生まれた人の表現だから若い人にはわかりづらいだろうが、ぼくの世代なら何となくわかる。そんなイメージと以前見た映画で爆撃機の胴体に窓のようなものがあったっけ、それが結びついたのだった。

 

 米軍が Waist Gunner と呼んでいたポジション。側面から攻撃してくる戦闘機に対処する。

 

 ベルト状のものは給弾システムの一部で、1秒間に約8発もの弾丸を発射する機関銃に、スムーズに弾丸を送り続けるためのものだ。

 

 日本海軍の一式陸攻の胴体側部にも同様の銃座はあったが、7.7ミリ機銃だった。

 おそらく艦爆などが後部座席に後ろ向きに取り付けていた機関銃と同じものだったと思うが、円形の弾倉が上部にあるだけで米軍のこうしたシステムから見ればおもちゃのように見える。

 

 この弾丸から推測するとこの銃座では12.7ミリ機銃を米軍は使っていたようだ。

 

 20ミリ機銃の弾丸一発で人間の体がバラバラになったというから、

12.7ミリなら大穴が開いたか?胴体直撃なら即死しただろう。

 

 低空を飛ぶ爆撃機からこんなので撃たれたら、怖ろしさで動けなくなるに違いない。

 

 

 ドイツに大きな損害を与えたB17、対空砲火や戦闘機の攻撃で自らも小さくない犠牲を出した。

 

 これは誰でしょう?

といっても、わかる人は少ないだろうな。グレゴリー ペック、アメリカの俳優でした。

 

 今回掲載の写真は1949年制作アメリカ映画「頭上の敵機」をNHKBS放送で録画して接写したもの。

 

 この映画、冒頭で本物のB17が胴体着陸するシーンを見せつける。

それも低空から急旋回してきてカメラの真ん前にドドド―と降りるのだから、度肝を抜かれる。CGだとこの迫力はないな。

 

 操縦したのはペックではなく、ハリウッドのスタントパイロットだったとか。

 

 この映画、1950年、昭和25年に日本でも封切り上映。ドイツ戦線が舞台の映画とはいえ敗戦後まだ5年、皆どんな気持ちで観たのだろうか。映画撮影で爆撃機1機を壊してしまう、戦争負けるはず。

 

 戦場のストレスでおかしくなってしまう将校をペックが演じた。人間も描いてはいるが、結局は陸軍爆撃隊よくやったという軍隊バンザイ映画。

 

 日本を焼け野原にしたあのカーティス ルメイが絶賛したそうだ。ルメイは日本政府から軍備再建に貢献してくれたと勲章をもらった人物でもある。時の首相は佐藤栄作。岸、安倍の一族だ、ノーベル委員会には唖然。

 

 

 最近フェイスブックにアップされた写真。

B17のWaist Gunner 

射手は クラーク ゲーブル、 ハリウッドスター

 

 実際に搭乗してドイツ上空で戦闘したと書かれていたが本当か。戦争の時には40歳にはなっていたと思うが。

 

 こんな調子で撃たれたら‥ それも原爆のあとに

 

 「頭上の敵機」に従軍牧師や運転手だったか、正規の搭乗員ではない連中が機関銃の射手として乗って行くシーンがある。規則違反ではあるが、見逃されていたような描かれ方だった。

 

 沖縄の基地でヒマしていた連中が爆撃機に乗って来て、ジャップだ殺せと撃っていたのか。日本の戦闘機は本土決戦用に温存するからと、ほとんど迎撃に出なかったというから対空戦闘はほとんどなし。それなら地上にいるジャップを撃てばいい。女子供も容赦はしない、もうしたい放題。

 

 あるいは、熊本や岩国などへの爆撃に行った爆撃機、降伏勧告のビラをまきに来た爆撃機がついでにジャップがいるぞと撃っていった?

 

 真珠湾をだまし討ちした卑怯なジャップ、ジャップは男も女も殺す。

 

 鹿児島方面で実際にあった米軍航空機による攻撃が、戦闘報告書には残されていない例があったという研究者の報告を、この5月ごろに新聞紙面で見た。この人はアメリカ国立公文書館の戦闘報告書やガンカメラの映像に詳しい人だから、間違いのない話しだろう。

 

 民間人の話しだから誇張されている、間違いが多い、などと言っていたら本当の戦争はわからない。公刊戦史、元士官たちが書いた記録など、疑わなければならないのはむしろこうしたものだ。