青色申告に対して税務署長が更正通知をする場合、更正の理由をどの程度記載しなければならないかが争われた事件の最高裁判決
「一般に、法が行政処分に理由を付記すべきものとしているのは、
処分庁の判断の慎重・合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、
処分の理由を相手方に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものであるから、
その記載を欠くにおいては処分自体の取消を免れないものといわなければならない。
ところで、どの程度の記載をなすべきかは、処分の性質と理由付記を命じた各法律の規定の趣旨・目的に照らしてこれを決定すべきであるが、
所得税法45条1項の規定は、
申告にかかる所得の計算が法定の帳簿組織による正当な記載に基づくものである以上、
その帳簿の記載を無視して更正されることがない旨を納税者に保証したものであるから、
同条2項が付記すべきものとしている理由には、
特に帳簿書類の記載以上に信憑力のある資料を適示して処分の具体的根拠を明らかにすることを要すると解するのが相当である。
しかるに、本件の更正処分通知書に付記されていた前示理由は、
・・・・いかなる勘定科目に幾何の脱漏あり、
その金額はいかなる根拠に基づくものか、
また調査差益率なるものがいかにして算定され、
それによるものがどうして正当なのか、
右の記載自体から納税者がこれを知るに由ないのであるから、
それもって所得税45条2項にいう理由付記の要件を満たしているものとは認め得ない。」