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「ブラックぺアン2」"考察少なめ"でも面白いワケ【東洋経済】

ってコラムがお堅いところから出てました。キラキラ

ニノちゃんを絶賛してくれてるよ照れ

 

王道のエンタメが帰ってきた! 日曜劇場 『ブラックペアン シーズン2』(TBS、日曜21時〜)のことである。

命(健康)とお金、人間の2大欲求にシンプルに迫る、間口の広いドラマで、言ってみれば『ドクターX ~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日)の男性版かつ医療部分多めみたいなものである。当たらないわけがない。視聴率も安定している。

金に目のない悪魔のような主人公という触れ込みではじまった『ブラックペアン シーズン2』だが、実のところ、圧倒的にヒューマンドラマで、やっぱりそれがいいのだと思う。とくにこんな猛暑が続く時期には。


天才外科医・天城雪彦(二宮和也)は「神に愛された悪魔」と呼ばれている。

心臓冠動脈バイパス術の世界的大家で、「ダイレクト・アナストモーシス」という高難度の技のできる世界で唯一の存在だ。が、その一方で「患者から大金を巻き上げる、悪魔のような医者」として悪名も高い。

芸術的なまでの手術の才能を、高額な金額でのみ開陳する天城(手術中、主人公の超絶テクを、芸術として表現するように荘厳なクラシックが流れる)。彼はオペを引き受けるにあたって患者と賭けをする。掛け金は患者の全財産の半分で、患者が賭けに勝ったらオペを引き受けるという非道なものだ。

お金はお金でも賭け事なので、『カイジ』みたいという声もSNSではあがっていた。ちなみに、他局で放送している『新宿野戦病院』(フジテレビ)の主人公(小池栄子)は、お金持ちでも貧しい人でも誰でも平等に助ける医者であり、とかく金ありきの天城とは対極を成している。

 

「神に愛された悪魔」が主人公の『ブラックペアン シーズン2』。またしてもダークヒーローものか、とか、最近の主人公はひねった人物が多いなあとか思わせながら、天城は第3話にして早くも、弱き者の味方な部分を見せている。

街のケーキ店の人気アップルパイのレシピの権利や(第2話)、生活保護を受けている人物の人生を賭けることで(第3話)、結果的に患者とその身内の可能性を拓いているのだ。生きるにはお金が大事。そのお金をただただ誰かに巻き上げられるのではなく、自分で守り、あるいは作り出し、そうやって苦境に諦めることなく生き抜け、というように。

いまや、複雑な世界に勧善懲悪は単純すぎて、逆に作り事に感じてしまい退屈に見えるとはいえ、主人公が悪魔すぎても見ていて心が荒んでしまう。やっぱり悪魔よりも、悪魔の顔をした神であるほうがホッとするではないか。

また、第9話くらいまで主人公の謎を引っ張りに引っ張って、最後の最後でドンデン返し的な意外な展開を見るドラマもおもしろいが、こんなに猛暑で疲れているときに、もやもやと主人公の真意が見えないまま、はぐらかされ続けるような内容を辛抱強く追いかける気力はいまの日本人にはないだろう。

たぶん前期の『アンチヒーロー』を今夏にやっていたらしんどかったと思う。その点『ブラックペアン シーズン2』は実に見やすい親切設計だ。最後に流れる主題歌は小田和正のやわらかな高音で、天に昇るような心地を毎回得ることができる。

第3話のラストで天城は、若手医師・世良雅志(竹内涼真)を新病院の建設予定地につれていく。海を見下ろすすてきな場所で、そこに桜並木を植えたいと天城は夢を語る。

ソメイヨシノの寿命は約70年、人の一生と同じくらいの桜とともに、この街の人々を見守り続ける病院を作りたいと思っている、と実にヒューマンなことを語る天城は、全然悪魔じゃないではないか。

まだ第3話にもかかわらず、こんなに早く、主人公の仮面を剥いでしまっていいのか。いや、いい。たとえ、主人公の意外な善良な面が明かされたとしても、彼をとりまく病院の人々の陰謀や、前作の主人公との関係の謎ががっつり残っている。

 

考察は少なめでいい。

2018年に放送された前作『ブラックペアン』の主人公であった天才的な縫合技術を持つ外科医・渡海征司郎(二宮)と天城の姿形が似ている理由はなぜなのか。

たびたび謎の回想シーンが出てきて、第3話のラストでは、ふたりの子どもが手をつないでいた。この子どもたちが天城と海渡ではないか、とSNS向けのフックはそれで十分である。

最近の日曜劇場は、複雑に作り込んだ考察ものも増えてきた。緻密に構成したドラマを何度も何度も見返して、細かいところまでチェックしないと全貌がわからないドラマがエンタメの主流になっているが、ながら見してもだいたい流れがわかるドラマも必要である。真の平等とはそういうものだと思うのだ(大げさ)。

先述したように『ブラックペアン シーズン2』は、2018年に放送され好評だった医療ミステリー『ブラックペアン』の続編で、そのとき主演した二宮和也が今回は別の役で主演を続投している。人気ドラマだった『ブラックペアン』のパート2がはじまるにあたり、主演は二宮和也の続投で、でも役が違うという趣向は興味を引いた。

前作を見ていれば当然楽しめるが、主人公が違うため、見ていなくても楽しめる。このようにあまりない趣向が可能であったのは、原作がしっかりしてることと、二宮和也の絶対的な安心感があるからであろう。

原作は医師であり作家である海堂尊。デビュー作『チーム・バチスタの崩壊』(のちに『チーム・バチスタの栄光』と改題)で「このミステリーがすごい!」大賞を受賞以降、医療エンタメ小説を書き続け人気を博し、ドラマ化される作品も多い。

『ブラックペアン』シリーズは『ブラックペアン1988』『ブレイズメス1990』『スリジエセンター1991』と“バブル3部作”と呼ばれる人気作が原作になっている。

金融エンタメなら銀行員であった、『半沢直樹』の池井戸潤であり、医療ものなら、医者である海堂尊である。餅は餅屋の、ディテールに信頼感のある原作はドラマの土台を盤石にする。たとえ長い原作を短くまとめたものだとしても、緻密に積み重ねてきた描写は消えることなく、うっすらとドラマの根底に流れ息づいている。

急づくりのセットとホンモノのロケでは感じるものが圧倒的に違うようなものである。オリジナルのドラマにもがんばってほしいが、原作ものの強さにはかなわないのだ。


そして、二宮和也。前作で演じた主人公・天才外科医・渡海征司郎も、今回の天城も、どちらも天才で、すこし斜に構えたところのある悪魔的な役だ。にもかかわらず別人という演じ分けを行えるのはなかなか至難の業。神と悪魔と両極のほうが演じ分けしやすいだろう。

二宮和也は表現の引き出し豊富で、悪魔的な二役の微妙な演じ分けを飄々とやっているように見える。

もちろん、違いはそれぞれある。

渡海は病院に住み着いているような変わり者で、タバコをニヒルに吸っていて(最近はタバコシーンはコンプライアンスが厳しくなって描かれなくなった)、ちょっと昭和のヒーローのような雰囲気もあった。

論文を書かないので出世ができず、ほかの医師が手術に失敗したときフォローして、退職金を巻き上げることから、「オペ室の悪魔」の異名を持つ海渡は、いかにも現場派である。

対して、天城は、芸術家肌で、髪の毛は銀髪、フランス語を用い、自信満々で、自分の才能を大金に代えようとするドライなところがある。それぞれの役に付与されたディテールを二宮は適切に演じている。

身長はそれほど高くはないのだが、背のしゅっと高い竹内涼真と並んで歩く場面でも、引けを取らない不思議な貫禄、スター性が二宮和也にはある。こういうとき、

二宮にはセンターを張ることを宿命付けられた者なのだと感じる。

「神に愛された悪魔」ではないが、神に選ばれし者――。だからこそ、多くの人が見守る中での公開手術をアーティストのようにやってのけるという役割もハマる。

『VIVANT』(2023年、TBS)で脇に配置されていると逆に収まりが悪く見えたが、『ブラックペアン シーズン2』で堂々とセンターにいると安心する。

センターにいるにもかかわらず、どこか斜に構えている感じが個性であり、斜に構えているのに視聴者の視線を集中させてしまう不思議な魅力

街の片隅にいそうな親しみやすさも失わない、なんとも魅力的な俳優・二宮和也を得て、日曜劇場は久々の王道として輝く。

 

 

 

 

 

TVerでがんばって全部みたけど、

プライムで余裕でみるのね~ありがたいラブ

ニノちゃん、アマプラのオリジナルドラマとか出るのかな?

特別待遇じゃない??