高校生の時、クラスメイトで歌舞伎研究会の
部長をしている子と仲良くなった。
ちょうど玉三郎さんの全盛期で、御園座
中日劇場などに何度かその部長さんと
観劇し熱い説明を聞いた。
おかげで門前の小僧よろしく、すんなりと
歌舞伎を楽しめる素養が残っている。
高三の時、歌舞伎研究会の東京遠征に
くっついて国立劇場で三番叟を観た。
内容はさっぱりわからなかったけど
先先代の尾上松緑さんの楽屋に入れてもらい
すぐそばで歌舞伎の顔を作るところを
見学させていただいた。
鮮やかな隈取は今も目に焼き付いている。
あれから半世紀、漸く歌舞伎デビューしました。
夜の部
婦系図と源氏物語
玉孝コンビも70代と80代になられて胸熱です。
泉鏡花の婦系図は新派の演目で、歌舞伎座で
上演されるのは珍しい。
それも玉三郎さんのお蔦、仁左衛門さんの主税
もう国宝クラスの眼福でした。
湯島通れば思い出す、お蔦主税の心意気
なんて歌もあった よね?
80代の仁左衛門さんが20代の主税を演じるのは
いくらなんでもと思っていたけど
仁左衛門さん若い❗️いや若く見える。
主税の恩師酒井を演じた坂東弥十郎さんが
実年齢68歳、貫禄たっぷり素敵でした。
仁左衛門さんはそのひと回り上の80歳。
役者って凄いなぁ。
玉三郎さんは鏑木清方の絵から抜け出たような
江戸まえで粋な可愛いお蔦でした。
時代とはいえ、家柄、学歴、氏素性、男女差で
理不尽が罷り通る婦系図の世界観は
若い人達には理解し難い、出来ないでしょうね。
「芸者風情が」とか
「馬鹿な女は可愛いが薄情な女はいただけない」
なんて台詞、私でも理解不能ですもの。
源氏物語はNHKの「光る君へ」で今年ブーム。
六条御息所の玉三郎さんは美しい。
光源氏は歌舞伎界期待の星、市川染五郎さん。
70代の玉三郎さんと10代の染五郎さんが
今回どうしても観たくて上京しました。
染五郎さんはやはり色々な意味でお若くて
次回以降に期待します。
でもビジュアルはほんに光る君でした。
六条御息所と言えば生霊。
源氏の君と別れて、生霊となり葵の上に
襲いかかる六条御息所。
玉三郎さんは声も変え立ち姿も変え
息を飲むほどに恐ろしい六条御息所でした。
婦系図も源氏物語も、女性の内面の葛藤や
相手への溢れる想い、諦め、情け無さが
名優坂東玉三郎丈により昇華されていく
そんな舞台でした。
また冥土の土産が増えました。
この分で行くと持ちきれない程の土産なんで
宅急便で少し送らなくちゃ。
着払いでいい?
冥土の旦那「はぁ〜あ、いい加減にしろよ。」



