最近いろいろな場面で強い言葉を目にする。
恥を知れ
何様だ
この言葉の先にあるのは
非国民
そう思うのは私だけだろうか?
多様性の時代と言いつつ、他者の些細なミスも
見逃さずあげつらう。
不寛容な社会。
水に落ちた犬には徹底的に石を投げ
正義と言う名の太刀を振り下ろす。
いつだったか「徹子の部屋」でタモリは
これからの時代は新しい戦前だ
と言っていたけど、今その言葉を聞くと
胸の奥の奥がザワザワする。
私の父は16歳で志願兵として入隊した。
彼は外地に出る事なく、立川で終戦を
迎えたそうだ。
「なぜ自分から志願したの?」と聞いたら
俺はこの戦争は負けると思った。
だからおふくろにそう言ったんだ。
そしたらおふくろが非国民と言ったから
なにくそ!と思い志願したんだ。
短絡的な少年だったんだな、父は。
彼は軍隊や軍人に憧れがあった様に見えた。
怒るとすぐに「キサマ」と「そこになおれ」とか
軍隊言葉が飛び出す人だった。
義理の父は義母と結婚して1か月で徴兵され
南方の戦場に送り込まれたらしい。
インパール作戦とやらの後へ後へと進軍し
熱帯雨林の中を泥水を啜り、野生のピーマンを
かじり(そのせいか義父はピーマンが嫌いだった)イギリス軍の捕虜になったと聞いた。
義父は戦争の話をほとんどしなかった。
亡き夫も聞いたことは無いと話していた。
今書いた話は私の子供達に、義父が断片的に
話しているのを聞くともなしに聞いて、覚えていた事や義母から語られた事の寄せ集めである。
もうその父たちも遥か昔に鬼籍に入り
こんな話を知っているのも私だけかもしれない。
戦後生まれの戦争を知らない子供たちも
もはや高齢者と呼ばれる今。
あやまちは くりかえしません