(雅紀)



クリスマスパーティーをする日。

ドキドキする気持ちを隠しつつ、俺は和くんに引っ張られるようにおーちゃんの住んでるトコへお邪魔した。



でも……しょーちゃんは留守だった。

少しだけホッとして少しだけ残念。

でも、そんな俺の気持ちは置いといて。



チッ。逃げましたね



……今なにか和くんが物騒な事をボソッと言ったような???



気のせいかなって思いつつ、それよりも俺と和くんを迎えたおーちゃんが何か凹んでて。どうしたんだろって思ってたら、うなだれて理由を話してくれた。



「やっと最近は翔くんがオイラに警戒心緩めてきたのに、ちょっと距離の詰め方間違えちまってさ……」
「それで?」
「前以上にオイラのこと避けてメシも食わなくなった」
「聞きしに勝る野生動物ですね」



………おーちゃんと和くんは何言ってんの?



「今日も気が付いたらいつの間にか居なかったんだぞ?」
「参加させるつもりだったんですか?」
「翔くんは他人を寄せ付けようとしないけどなぁ……もう少し関わったほうが翔くんのためになると思った。カズとまーくんならオイラが間に入ってればなんとかなるって」



おーちゃんは……しょーちゃんのこと心配してくれてるのかな?今しょーちゃんの近くに居るのは おーちゃんだから、しょーちゃんの今を一番知ってるのかもしれない。

おーちゃんがしょーちゃんを心配してくれてる
って思えて、俺が感謝の気持ちを言うのはおかしいけど何か言おうとしたら、俺の隣の和くんの様子が少しおかしくなった。




「………やけにオジサンは、その翔くんとやらに御執心デスネむかっ
「違っ!違うぞカズ!オイラはそういうつもりはねぇぞ!」
「……ワタシというものがありながら浮気相手見つけてんですか?」
「違うわっ!」



和くんは、いつもはおーちゃんへの気持ちを表に出さないけど本当は滅茶苦茶おーちゃんが大好き。いわゆるツンデレさん。

おーちゃんがしょーちゃんのことをスゴく気にかけてるからヤキモチ妬いちゃったのかもしれない。

これはクリパどころじゃなさそうだぞって思いつつ、でも俺が口を挟むわけにもいかないしで困ってた。

焦ってるおーちゃんの服の首元を両手で掴んで詰め寄ってる和くん。

これは修羅場だ……汗

うん。一回落ち着こう。



「おーちゃんは和くんが大好きだって俺が見ても分かるくらいだから大丈夫だよぉ!和くん落ち着こ?」
「まーくんは少し黙ってて下さい」
「うぅ~あせるおーちゃんも しょーちゃんが心配なだけだってちゃんと言いなよぉ」
「「……しょーちゃん?」」
「あっ……」



和くんの冷え冷えオーラに怯えた俺が、つい口をすべらせて呼んじゃった名前に、おーちゃんと和くんの動きが止まった。

ヤバいって思ったけど口から出た言葉は消せないから、俺はゆっくり後ずさりして2人から距離を取るとその場から外へ飛び出した。