お父さんとお母さんには手紙の詳しい内容は言わなかった。

ただその手紙には母親が本当の父親には連絡が出来なくて、俺をひとりにする事を許して欲しいって書いてあったんだと言っておいた。



………俺は双子だった。



もしかするとそれが、俺があの夢を見ていた事と繋がってるのかも知れないって、少し府に落ちた。

同じ『雅紀』という名前、それは本当の父親が名付けたなら頷ける。まさか本当に母親がつけてたとは思ってないだろうし、もしかするとそんな話をしたことさえ忘れて向こうにもつけたのかもしれない。

俺が見ていた夢は、もうひとりの『雅紀』が生活していた姿。

双子だから何かがシンクロしていたのかもしれないって。

実在しないと思ってた、どこにいるかも分からない『しょーちゃん』は存在してて、もうひとりの『雅紀』の恋人だった。

ニュースである程度の住所情報は知れた。でもそれは俺の本当の両親の居場所でもある。



………無理。



しょーちゃんには会いたいけど、本当の両親には会いたくない。

母親を傷付けて、自分だけ幸せになろうとした本当の父親なんか親じゃない。

それに……入れ換えたられた方の、母親が産んだ死 んじゃった方の赤ん坊はどうなったの?何で?入れ替わりに気が付いてないの?それとも気付いてるの?



「もう……わっかんねぇ!」



俺はベッドにダイブして、枕に顔を押しつけるようにして叫んだ。