「……ん…ここ…?」


みじろいで目を開くと、そこに見えたのは見知らぬ真っ白な天井。そして白いカーテン。俺はベッドに寝かされてる?

一瞬どうしてこんな所に居るのか理解出来なくて固まる俺だったけど、すぐに事故った事を思い出して飛び起きた。



「痛えぇーむかっ



起き上がると同時に全身に痛みが走って思わず大声を上げたら、カーテン越しに微かに笑い声が聞こえた。



「ふふっ(*´◇`*)しょーちゃん起きた?」
「雅紀っ?!」



それは雅紀の声。

痛みなんか吹っ飛んでベッドから飛び下りると声の聞こえてきた側のカーテンを開けた。



「雅紀!大丈夫か?」
「ん~、安静にしてろって言われたけど大丈夫そ……かな?」



ふんわりと笑顔を見せてそう話す雅紀は、頭に包帯を巻いて腕にも包帯を巻いてベッドに横たわってた。

雅紀の姿を確認してほっとした俺は、雅紀のベッドに近付くとそっと雅紀の手を握った。



「しょーちゃんなかなか目を覚まさないから心配したよぉ~」
「ゴメン。でも雅紀……雅紀の方が重傷…」
「しょーちゃんが無事ならいい。ここ三人部屋だけど、今いるのはしょーちゃんと俺だけなんだって」



雅紀は俺より先に目を覚ましてたらしくて、病院に運ばれてからの話を教えてくれた。

ここは潤のお母さんが働いてる病院らしくて緊急で俺達が運ばれて来たから驚いてたとか、後で潤が面会に来るらしいとか。

とにかく怪我はあっても雅紀がここに居るって安心した俺は泣きそうなのを隠して雅紀の手を握ったまま離そうとしなかった。

しばらくすると人の気配がして、そっと潤が顔をのぞかせた。



「二人とも大丈…夫?」
「潤くん、心配かけてごめんネ?」
「早速いちゃついてるくらいなら心配なさそうだね」
「いちゃついてねぇし…」



こんな姿を見られるのはハズイって思いながらも、雅紀のそばから離れたくないから手を握ったままにして潤から視線をそらした。



「面会時間は過ぎてるけど、母さんに頼んでこっそり入れてもらったんだ。だから長くは居られないし、後でゆっくりイチャイチャしてよ翔さんw」
「うるせぇグーむかっ



そんな俺と潤のやり取りを、雅紀はクスクス笑って見守ってた。

でも、不意に雅紀が俺の手を握る力が強さを増したから俺は雅紀に視線を向けた。



「あー、しょーちゃんが元気に起きたから安心しちゃった。オレ……なんだか眠くなってきたかも……」
「雅紀?」
「ゴメンしょーちゃん……オレ…ちょっと……寝るね……」
「雅紀っ?!」



眠いって、ごく普通に寝ようとするのとは何か違うって、何かおかしいって感じた俺が焦るように強く雅紀の手を握ったのに……雅紀の手が俺の手をすり抜けて外れた。

ただ事じゃないと察した潤が病室から駆け出して行くのも、俺には見えてなかった。






「雅紀 ───────── !」





俺の悲痛な叫び声が病室に響いた……