いつもと変わらない朝を迎え、いつもと変わらない日常を過ごしてた……はずなのに。



その日は、帰りがけに雅紀の自転車のブレーキの調子が悪くなったから自転車屋に寄ることになった。でも修理するにも部品がたまたま無くて仕方なく自転車を預ける事になった。だから俺の自転車に2人乗りして家に帰る事にしたんだ。



「くふふ(*´◇`*) しょーちゃんと2人乗り嬉しいなぁ~♪」
「おいwおとなしく捕まってろよ?」
「はぁ~い♪」



2人乗りなんて滅多にしないから背中に感じる雅紀の体温に幸せすら感じて。はしゃぎつつも安全に自転車を走らせてた。

もうすぐ家に到着するって頃の信号待ち。

ここの信号は大きな道路が交差するから注意しないといけない場所なのは誰でも知ってた。もちろん俺も雅紀も。

自転車に乗ったまま信号待ちをしてた俺達のすぐ隣に停まって左折待ちをしてたトラックの荷台から、ギシギシと嫌な音がしてた。

気にはなったけどもうすぐ信号も変わるから取り立てて気にしないでいたその時。



ギシッ……ブチッ!



信号が変わって左折しようとトラックが動き出したと同時に鈍い音がして、荷台の荷物を止めていたであろうワイヤーが切れた。



「しょーちゃん危ないっ!」



トラックの荷台には木材が積まれてて、左折の勢いとワイヤーが切れた事でその木材が俺達の方へ崩れ落ちてきて。

それに気付いた雅紀が咄嗟にそう叫んで俺を守るように覆い被さった。



「雅紀っ!雅紀 雅紀 ──」



自転車ごと倒れ込んだ俺と雅紀の上に大量の木材が降り注いで身動きが取れなくなって。

必死に踠いても大量の木材は重くて雅紀の名前を叫ぶしか出来なくて。






………遠くで救急車のサイレンの音がするのを薄れてく意識の中で聞いてた。