俺が小学校の高学年になった夏休み。

家族ぐるみで仲良くしてるから合同で泊まりがけのキャンプにも行った。

キャンプといってもグランピングみたいな宿泊は専用の建物で、BBQの道具が付いてるから食事を賑やかに出来る感じ。

近くには川があって泳いだり、林に虫を捕りに行ったりして、俺達は夏を楽しんだ。

俺と雅紀と潤は三人同じ部屋。布団を三つ並べて寝てた。

くったくたになるまで遊んでるから夜は三人とも爆睡するのに、その日は隣で寝てる雅紀がうなされてて。

普段でも一度寝たら朝まで起きない俺。たまたまその日はトイレに行きたくて目が覚めたから気付いたんだ。



「雅紀?大丈夫?」
「うぅ……な…んで?やぁだえーん



雅紀がしかめっ面でぐずぐず泣いてて、焦った俺が雅紀の肩を揺すって起こそうとしたら雅紀が俺にギュッとしがみついてきた。



「ま、まさきっ?!」
「なんでしょーちゃんがいないのえーんオレやだよぉ~あせる
「ちょ、雅紀!俺ココいるってば !! 」
「やぁ……だ?え"?(*’◇’)?」



ぎゅうぎゅうと俺にしがみつく雅紀が寝言なのか何なのかしゃべってたと思ったら、閉じてた目をようやく開いてキョトンと俺を見た。



「あれ?あれぇ~???」
「それはこっちのセリフだよ汗どうしたの?変な夢見た?」
「ん……あのね?しょーちゃんがいないの。でもオレ、それなのにしょーちゃんがいないの平気だった………オレしょーちゃんいないの絶対イヤなのにえーん
「なにそれ?」
「オレ、しょーちゃんとずっと一緒にいるんだもん!絶対しょーちゃんから離れないもん!しょーちゃんいないのヤダぁ~えーんあせる
「うん。俺は雅紀とずっと居るから大丈夫。そんなのただの夢だから気にすんなよ雅紀」



ぐずぐず鼻をすすってる雅紀をなだめて、抱きついてる雅紀の背中をさすって。

多分この時だったのかも知れない。俺は雅紀の事が好きなんだって自覚したのは。

泣いてる雅紀を放っておけなくて。

ずっと一緒に居たい、雅紀の隣で雅紀の笑顔が見たいんだって。

自分の中で雅紀の存在は特別なんだって。

でもそんなこと言えないから……その時の俺はそんな気持ちを誤魔化した。



「雅紀…俺トイレ行きたいんだけど」
「い"っ"し"ょ"に"い"く"えーん



自分も一緒に行くって言う雅紀が俺の手をしっかり握って離さなくて俺から離れなくて、手を繋いで一緒にトイレに行ったのも想い出のひとつ。