(翔)



そのままリョウの部屋へ移動したけど、俺は姿が戻る気配も無いしずっとリョウの陰に隠れて雅紀から逃げてた。

あんな言葉を貰っても、やっぱり俺の心は素直に受け入れられなくて。

出来るなら今すぐここから消えてしまいたいくらいだったから。


リョウと雅紀が椅子に座った瞬間、部屋の中は俺が隠れられる場所がたくさんあるからそこに逃げ込んで息を潜めた。



「さて、と。これから話す内容はこれからの翔や相葉に大きな意味を持つかもしれない。だから隠れてても良いからちゃんと俺の話を聞いてろよ?翔」
「……」



リョウは俺が隠れてるのもお構いなしで、でもそれはそのままでも構わないって事だと俺は勝手に解釈して黙ってた。

すると雅紀の声がして、雅紀がリョウに質問をした。



「あの、教授?なんで俺も大きな意味を持つんですか?」
「それは……。その前に『短命種』の話をさせてくれ」
「ガウッ!」



何でいきなりそんな話を始めるんだよ!

それは雅紀には関係無い事だし、雅紀には知られたくない事だ!

俺はこれ以上リョウが何かを言う前に黙らせようと、その場から飛び出して座ってるリョウに突進した。

でも、リョウが『ホワイトライオン』の姿をしてなくても『狼』の俺が太刀打ち出来る相手じゃないから、リョウはあっさり俺を捕まえて身動き出来ないように抱え込んだ。



「前に講義で話した『短命種』の内容は覚えてるか?」
「え?あ、えっと……『短命種』は寿命の短い種だっ…て……」



俺が踠いてもリョウは何事もなかった様に話を再開させて雅紀と会話をしてたけど、雅紀はリョウの言葉に困惑して口ごもってた。



「『短命種』がどういった状況で起きるのかは判明してない……というのが一般論とされているが、実際は変身によって細胞の消費するエネルギーが多いから寿命が短くなるってのが『短命種』の結論と言える
「?!」
「まだ確証されてないから断言は出来ない。論文としても提出されてないしな。だが消費エネルギーが己の持つエネルギー量をオーバーするから寿命が縮む」
「ガウッ!ヴゥー」



淡々とリョウが話す内容に俺は気が気じゃなくて、それ以上喋るなって必死に暴れてもリョウは話を止めなくて。



これ以上雅紀に『短命』の話なんかしないでくれ!

俺は………雅紀に知られたくないんだよ……