(雅紀)



腕時計を見て何か確認してから教授が俺をダイニングへ連れていってくれた。



「相葉は座ってろ」
「でも…」
「客に手伝わせたら俺が怒られる(笑)」



手伝おうとする俺を制して椅子に座らせて、教授はキッチンの方へ歩いていった。

……キッチンとダイニングが離れてるって、やっぱりここ でかくない?

なんとなく居心地が悪い気がしてそわそわしてたら、トレーを持った教授と女の人が姿を見せた。



「ほれ、うちの奥さん特製スープ。絶対旨いから冷めないうちに食え」
「遠慮しないでね?遠慮してるとリョウが全部食べちゃうから(笑)」
「は、はい……ありがとうございます」



目の前に美味しそう湯気をたてるスープの器とパンの入ったカゴ。それとスクランブルエッグとカリカリベーコン。

シンプルだけど凄く美味しそう……

おずおずと手をつけたら激ウマだった。



「うまっ…」
「たくさん作ってあるから、遠慮せずどんどん食べてね?」



教授の奥さん(……だよね?)が進めてくれるからありがたく食べてたら、人の気配がしてダイニングに翔さんが姿を見せた。そういえば翔さんもここに住んでるんだっけ。



「遅かったな翔」
「……」



からかうみたいな教授の声に、翔さんはムッとして無言で席に着いた。でも俺の視線に気付いたら少し雰囲気が柔らかくなってぺこっと俺にお辞儀した。

慌てて俺も翔さんに頭を下げてハッとした。



「あ、ごめんなさい。先に俺食べてて」
「いい。俺が遅くなっただけだから」



ボソッとだけど翔さんはそう言った。