見たがっていた美術品を鑑賞出来て興奮さめやらぬ雅紀を、翔は優しい表情で見守りつつエスコートして昼食の予約を入れていたレストランへ移動した。

美術館から程近いそこは、男同士で食事しても違和感の無い、けれど落ち着いた雰囲気の良い店だった。



「スゴい……翔さんはいつもこんな素敵なお店で食事してるの?」

「ここは仕事の関係で会食をセッティングするのにリサーチして、それで何度か来た事があるんだ。その時に取引先にも評判良くてさ。俺は……普段は酒かコンビニ飯しか食ってない」

「………」



店の様子に少し浮かれ気味の雅紀だったが、翔の言葉に一瞬言葉をなくして翔に視線を向けた。

そして、ふわっと柔らかい表情になって翔にそっと寄り添った。



「これからは…僕が翔さんの体の事を考えた食事を考えないと、だね?」

「……あぁ………頼む」



互いの顔を見つめあい、微笑みあう空気の中で2人は店内へ入ると、すぐさま店員に案内されてテーブルにつき、何を食べるかメニューを選らんで昼食にした。



「ホントだ!美味しいね?翔さん」

「雅紀の作る料理の方が旨いよ?」

「もう///」



笑顔で会話を交わし、穏やかな時間が2人の間に流れていた。