それは……俺の産まれる前。
俺の親父は、デカイ会社の跡取り息子だった。でも、敷かれたレールに乗って生きる事に疑問を感じて、それでも自分の父親に逆らえず、悶々とした日々を送っていた。
そんな時に、偶然出会ったのが兄ちゃんの姉である、俺の母親。
真っ直ぐで、自分に素直な……兄ちゃんいわく俺がお袋そっくりの性格らしいから、かなりイノシシ系って事かな?
そんなお袋に惹かれた親父は、初めて自分の父親、俺からすれば爺さん、に逆らって自分の意思を貫いて、おまけにお袋のお腹に俺が居るからって事で……駆け落ちして家を出た。
俺が産まれてからも爺さんからの追手を逃れる為にって各地を転々としてたけど、割と楽しく暮らしてた。概ねお袋の前向きな性格が幸いしてたと思う。
そんな中で雅紀に出逢って、でもまだまだ子供だった俺には雅紀に告白して再会を約束出来なくて。想い出の場所にも引っ越しを繰り返す日々では自力で行けなくて。
心の中に雅紀をしっかりと刻んだまま俺は高校生になって………その日が来たんだ。
……………俺は、きっとその日を忘れる事を許されないから。
だから……雅紀と引き離されたの?