「あなたに薬は必要ありません」」の記事でも書いた通り、服薬は終了している

薬に頼らない治療というのは、数年前から井原裕氏や田島治氏や亀廣聡氏の書籍や論文を読んで存在は知っていた

しかし、まさかその時は私が再び精神科に舞い戻ってしまうことも、運よく薬に頼らない医師に遭遇することも、夢にも思わなかった

 

この薬に頼らない治療、覚悟はしていたが想像以上にキツい

 

主治医もブログで書いていたが、「薬を飲んでただ休息していてください」と言う方が医師にとっては楽だ

本当に薬が必要な病気や状態の場合は、確かにそうするしかない

 

しかし、SSRI登場以後、精神科の門を叩く人というのは「悩める健康人」がほとんどであり、生活習慣の乱れや葛藤などが精神症状、身体症状として出てしまっている

その症状の治療はSSRIにもNaSSAにもトリンテックスにも、もちろんメジャーにも睡眠導入剤にも不可能だ、なぜなら「悩める健康人」に薬の意味はずっと低く、むしろ徹底的な生活指導や精神療法が必要不可欠となる

これは医師にとっても、漫然と薬を処方するよりずっと大変である

なにせ生活習慣がぐちゃぐちゃで何が正解か分かってない人間が患者としてやってくるのだから

精神科医の伝家の宝刀である薬も入院も使えないのだから

 

薬が必要ないタイプというのは、治療が楽、という意味ではない

その患者本人の工夫や取り組みが、治癒には必要不可欠なのだ

 

言葉で書くと「生活習慣の改善」というのは七文字に過ぎないが、実際にやると本当に、本当にしんどい

 

体力はないし、食欲はちょくちょく無くなって砂の味(もう薬は無いから)、水を飲むのさえしんどいこともしばしば

定期的に繰り返し押し寄せる虚無感と無快楽症(アンヘドニア)と自己憐憫、休業前は何の苦労もなく使えたPCのキーボードが、先ほど打つ時に指が全く動かなくなったのにはさすがに参った

 

薬に頼らない治療というのは、亀仙人こと亀廣聡氏の著書にもある通り、スパルタでハードボイルドである

いうなれば今までずっと横になっていた精神疾患者を、禅僧の修行にぶち込むようなものであるから

森田療法やACT(アクセプタンス・コミットメント・セラピー)に通じるものがある

 

ただ、自分としてはもう精神科薬は飲みたくないし、それに自分は苦痛の中にいても、「本当の人生」を生きているという実感がある

それまでの人生がインターネットの情報を鵜呑みにして、ネットの評価や意見に一喜一憂して心を痛めたり関係のない他者に怒ったりしている人生だとしたら、たとえ孤独で目まいと不安と恐怖と無快楽症と虚無感と自己憐憫に満ちているとしても、この「本当の人生」を生きていきたい