深い哀しみから | 神戸 三宮 鯛とお酒の店 咲咲 の女将の美味し〜いお話

深い哀しみから

開店前の慌ただしい店内に
突然のお客様。

まだ開店まで一時間!
「本日のおすすめ」メニューをコピーしに行こうかな?
なんて思っていたところです。
もちろん着替えも済んでいません。

よく見たら先日OB会でン十年ぶりに再開した部活の先輩。
もうひと方はよくお店にも来ていただいている先輩。

どちらも私が入部した時にはもう卒業されていたOBだったのですが
よく可愛がっていただきました。

そんな大先輩とあっては座っていただかない訳にはいきません。
煌々と灯りのついた、ラジオなんかが掛かっている
開店前の殺風景なお店に入っていただきました。

お久しぶりの先輩は少し前に十幾つも年下の若い奥様を
突然の病気で亡くされたところ。
まだまだ深い悲しみの淵に沈まれていて
奥様の思い出、人生について語らずにはいられないご様子でした。

開店前のお店で
開店準備をしながら、そんな話もお聞きしました。

生きていくということは、いろんな事に向きあうこと、なのですね。

何も知らず、何も怖くなかった懐かしい日々!

歳を重ねていくという事は、
楽しみや苦しみ、喜びや哀しみ、期待やあきらめ…など、
いろんな経験が心の襞になって、積み重なっていくのですね。

それが、優しさや思いやりになっていけたら
いろんな思いをした意味もあるのかな…。

先輩の心の傷も尖ったヒリヒリしたものから、
少しでも、鈍く和らいでいってくれる事を願います。