【登壇】「正論」8月号で『交付国債』の提言をしています! | 桜内文城オフィシャルブログ「みんなきさいや」Powered by Ameba

【登壇】「正論」8月号で『交付国債』の提言をしています!

本日(7/1)発売の「正論」8月号に登壇しています。

 

 

鼎談のタイトルは『国難からの教訓』『国内でカネ回して経済再生を』という身も蓋もない(何の変哲もない)ものですが、内容としては『交付国債』という、政府債務を増やすことなく数十兆円規模の真水の財政支出を可能とする政策の提言となっています。

 

 

普通国債(赤字国債や建設国債等)は、将来、政府が税収で返済しなければならない借金です。例えば、経済対策で支給された一律十万円の定額給付金の財源12.6兆円は赤字国債の発行によるものだったので、「将来世代への負担の先送り」であり、東日本大震災後の「復興増税」のように近い将来の増税が懸念されています。

 

しかし、『交付国債』は、「国債」との名称は付いていますが、実は政府債務ではなく、私達が日常使っている政府貨幣(100円玉とか500円玉)と同じく政府の資本、言い換えれば政府が返済する義務を負わないお金なのです。次の図をご覧ください。これが交付国債の発行・流通経路です。

 

 

端的にいえば、「政府が発行した『交付国債』は、国債市場を経由せずに必ずその全量を日銀が買い上げる」仕組みとなっています。政府と日銀は親子会社の関係にあるので、その内部での債権・債務は相殺されて、政府は日銀保有の交付国債を償還する義務を負いません。だからこそ、政府は、交付国債を発行することで、政府債務を1円たりとも増やすことなく、従って将来世代に負担を先送りすることなく、数十兆円規模の真水の財政支出を行うことができるのです。

 

交付国債のもう一つの重要な機能は、「政府による金融政策」の手段となり得るということです。上記のように、政府は交付国債を発行することにより、世の中に流通するお金の総額、すなわち「マネーストック」を直接増加させることができます。この場合、マネーストックが大幅に増加すると、ハイパーインフレになるのではないか、と懸念する声があるのも事実です。

 

しかし、政府は、税収という形で政府に流入するお金を使って、日銀保有の交付国債を償還、そして文字通り「消却」することで「マネーストック」を直接減少させることもできるのです。この場合の税収も、無理に増税する必要はなく、毎年政府に流入する既存の税収(所得税、法人税、消費税等の税目も問いません)の一部で十分なのです。要は、政府は、税収という形で世の中に流通するマネーストックを吸収し、そのマネーストックで日銀保有の交付国債を償還・消却することにより、世の中に流通するお金の総額である「マネーストック」そのものを直接減少させることもできるのです。

 

いわばアクセルとブレーキを自在に使い分けるように、政府は、交付国債の発行と償還・消却により、日本円の通貨の信認を維持し、インフレを抑制・コントロールすることが可能となります。従来、財政政策は、その年の歳入、すなわち税収と(国債発行残高の累積で制約される)国債発行収入と、歳出(財政支出)との帳尻合わせに終始してきました。しかし、交付国債を活用する新しい財政・金融一体の政策では、政府は、税収や国債発行残高といった財源の制約から解き放たれて、交付国債の発行により政府債務を増やすことなく数十兆円規模の財政支出を行うことが可能となる一方、必要に応じて税収で日銀保有の交付国債を償還・消却することにより、マネーストックを直接減少させることも可能となるのです。

 

今回、世界恐慌にも匹敵するとされるコロナ危機への対応策として、『交付国債』についてわかりやすく語っています。全国の書店で本日(7/1)から発売されていますので、ぜひお買い求めください!!!