平成25年度総予算3案に対する修正案 | 桜内文城オフィシャルブログ「みんなきさいや」Powered by Ameba

平成25年度総予算3案に対する修正案

本日の衆議院本会議で実に60年振りの予算修正案を提出しました。官僚にもできなかった(というよりも本当に恐れていた)予算ベースでの財務諸表の作成も実現しました。以下は、その際の本会議での趣旨弁明です。


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日本維新の会の桜内文城です。私は、提案者を代表して、ただいま議題となりました、日本維新の会及びみんなの党の共同提案に係る平成25年度一般会計予算、平成25年度特別会計予算及び平成25年度政府関係機関予算に対する修正案について、提案の趣旨及び概要を説明いたします。

まず、提案の趣旨について申し述べます。

この修正案は、私自身、この十有余年にわたり心血を注いで開発した国家財政ナビゲーションシステム、「国ナビ」を用いて作成しました。

私が政治家を志した原点は、公会計制度改革、すなわち国家財政の複式簿記化を通じて、政府の意思決定、とりわけ財政政策の責任を数字で明らかにしたい、そしてそのことによって日本の財政を持続可能なものとし、世代間の公平を実現したいと考えたことにあります。「国ナビ」を用いて作成した、様々なシミュレーション結果を含む財務情報は、国家を経営すべき立場にある政治家にとって、極めて重要です。

国家経営とは、ビジョンを実現する力です。すなわちビジョンを示す数値目標の設定、その実現のための政策手段の選択、政策実施の進捗管理、経済効果のフィードバック、そして政策手段の補正。これら一連の国家経営のプロセスにおいて、バランスシートをはじめとする、複式簿記による財務諸表の数値は、国家の経営者たる政治家が政策判断を行う上で、なくてはならないものです。

では、平成25年度政府予算案の内容はどうでしょうか。今、我が国が置かれている厳しい経済環境の中、日本経済の復活を実現する予算案といえるでしょうか。

安倍内閣は、本年1月の緊急経済対策に基づく大型補正予算と一体として、いわゆる「15か月予算」を編成し、経済再生に向けた「機動的な財政政策」であると自画自賛しています。しかし、その実態は、単なる公共事業の大盤振る舞いによる景気のカンフル剤に過ぎず、1,000兆円を超える国の債務残高を更に積み上げる結果となっているではありませんか。

確かに、国民の生命、財産を守る防災、減災のために必要な公共事業は実施すべきです。しかし、かつての自民党長期政権時代と同様、官僚主導の予算編成に逆戻りし、従来型公共事業に偏重しているようでは、日本が世界の成長センターとして復活することは不可能です。政府提案の予算には、一番重要であるはずの目指すべき国のかたち、理念が欠如していると言わざるを得ません。

官僚主導で編成される予算案には、どうしても逃れられない欠陥があります。憲法83条にいう国の財政処理権限の国会中心原則によれば、単なる法の執行機関に過ぎない官僚の意思決定には、国民の代表として選挙で選ばれたという正当性の根拠が欠けています。従って、最強の権力を誇る財務官僚といえども、予算編成にあたり、直近で国会での議決を経た前年度当初予算をベースとするほかはなく、対前年度比でいくら増額するか、削減するか、という限られた範囲内でのみ、査定権限を行使できるのです。また、立法府である国会の議決を経ることなく、既存の法制度に基づく義務的経費を一方的に削減することもできません。要するに、立法府である国会に属する我々国会議員自身が意思決定しない限り、全面的な予算修正やゼロベースでの予算の見直しなど、所詮不可能なのです。

今や、このグローバルな競争環境の中で我が国が生き残っていくためには、競争力を強化する他はありません。そして、競争力を強化する最善の方法は、競争することです。つまり、科学技術を強化し、企業が活動しやすい環境を整え、世界の中で競争を恐れず競争していくことこそが一番重要であると考えます。我々は、多様な価値観を認め合う社会を前提に、自立する個人、自立する地域、自立する国家を実現することを目指します。

予算とは、国の進むべき方向性を財務面で表現したものです。我々は、それぞれの党是である「維新八策」、そして「アジェンダ」の実現に向けて、この国のあるべき姿を予算としてお示しするため、ここに共同して修正案を提示するものです。

以下、我々の修正案、すなわち維新八策アジェンダ実現予算の概要について申し上げます。

まず、第一に統治機構改革です。

道州制への移行を前提とし、消費税を全額地方へ移管するとともに、地方共有税基金を創設し、地方交付税に代わる新たな財政調整制度を実現します。地域間に偏在が少なく、景気動向に税収が左右されない安定的な消費税を地方税化することにより、自治体に独自の財源を与えて地方の自立や工夫を促し、国に頼らない独自の自治体経営を可能にします。また、自公政権となって廃止された地域自主戦略交付金を地方にとって自由度の高いいわば第二交付税として復活し、これに対応する各省の補助金等を減額しております。このような改革により、これまでの官僚主導・中央集権型国家から、民間主導・地域分権型国家への転換を目指します。

第二に行財政改革です。

我々は、「小さな政府」かつ「強く賢い中央政府」を作り上げることを目標としています。現在の我が国の財政状況に鑑みれば、財政規律を重視すべきことは論を待たず、徹底した行財政改革が不可欠です。修正案においては、大幅に増加した公共事業費の伸びを抑制することとするとともに、不要不急の交付金、補助金、委託費等の移転的支出を2割または1割削減、国家公務員の人件費についても1割削減としています。

第三に世代間の格差是正、社会保障制度改革です。

昨年8月、民主・自民・公明の3党の賛成で成立した社会保障制度改革推進法において、「年金、医療及び介護においては、社会保険制度を基本とし、国及び地方公共団体の負担は、社会保険料に係る国民の負担の適正化に充てることを基本とする」とされているにもかかわらず、平成25年度予算においても、従来と何ら変わらず、年金、医療、介護の3分野で巨額の一般財源が社会保障給付の補填のために投入されています。働き盛り世代、若者世代の負担が過大である一方、これが高齢者世代へと所得移転されている構図を一日も早く改め、一般会計から移転される社会保障関係費を最小限度に抑制する、安定的な社会保障制度を確立しなければなりません。

我々は、世代間格差を是正するため、公的年金制度を現行の賦課方式から積立方式に移行するとともに、公的医療保険制度を一元化し、自己負担割合の一律化を目指す法案を準備しています。今回の予算修正案においても、公的年金制度の積立金方式への移行により、持続可能な公的年金制度を構築するとともに、一般会計から年金特別会計への繰入を大幅に減額します。また、医療保険についても、被用者保険の一元化に伴う歳出削減を行うほか、高齢者医療における自己負担金を本則の2割に戻すことによって歳出削減を行ないます。

第四に、科学技術立国、競争力強化です。

日本経済の復活を成し遂げるためには、機動的な財政政策よりも、民間投資を喚起する成長戦略こそが何よりも重要であると考えます。

今、日本社会には、至るところに既得権の塊がゴロゴロしています。既得権益化し、付加価値を生まなくなった分野に資金が流入し続ける一方で、新たな付加価値を生み出すイノベーションも生まれず、あらゆる分野で新規参入が阻害されています。「競争なきところに付加価値なし」。GDPとは付加価値です。商売上の言葉でいえば粗利であり、売上総利益です。売上がすべてを癒し、利益こそ経済持続の要件なのです。

政府がなすべきは、敗者復活のセーフティネットを整備した上で、あらゆる新規参入規制を撤廃し、自由で公正な金融・資本市場、そして流動性の高い労働市場を形成することにあります。その上で、新たな付加価値を生み出す可能性は高いが、その分、リスクも高く、大規模な資本を要する産業分野に政府自らが投資を行うべきです。

我々の修正案では、民間の活力を引き出すための規制緩和を推進し、世界をリードする新産業及びそれを支える未来の技術者等の人材を育成するためにも、科学・研究に関する予算及び育英奨学金関係予算の増額を行うこととしています。また、世界中から資本を呼び込み、グローバル競争に打ち勝つことのできる強い経済を作り上げるため、設備投資促進のための自由償却制度の導入などにより法人税の減税を行います。

最後に、防衛力の整備です。我々は、「法の支配」という自由主義の価値を共有する国際社会の一員として、世界の平和と繁栄に貢献する理想を追求すると同時に、バランスオブパワーという国際社会の現実から目を背けてはなりません。従って、憲法前文にあるように「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」自国と自国民を守る手段を放棄すべきではないし、また政府の責任として放棄してはならないと考えます。我が国の平和と安全を守ることは国の責務です。今日の国際状況に鑑み、対ミサイル防衛力の強化のため、防衛費を増額します。

以上が、修正案の提案の趣旨とその概要です。

現在、我々日本維新の会は、公会計制度について、現行の現金主義・単式簿記に加えて、発生主義・複式簿記を採用することを通じて、国家経営における財務管理とその責任を財務諸表上の数字で明らかにする、「財政健全化責任法案」を今国会に提出する予定としています。同法案では、政府に予算ベースでの財務諸表の作成と開示を義務付けています。同法案に倣い、平成25年度予算に関する政府案と我々の修正案に基づき、「国ナビ」の自動仕訳機能を用いた複式処理によって一般会計及び特別会計を連結した予算ベースでの財務諸表を作成したところ、以下のような顕著な財政健全化が見て取れます。

まず平成25年度末における公債発行残高については、政府案785兆円に対し、修正案では7.7兆円改善し、778兆円となります。同じく平成25年度末の純資産残高も政府案のマイナス543兆円に対し、修正案では3.9兆円改善し、マイナス539兆円となります。

次に業務費用、いわゆる年間の行政コストは政府案141兆円に対し、修正案では15.6兆円圧縮し、125兆円となります。その結果、新規国債発行額も修正案では政府案に比べて5兆円圧縮することが可能となります。

一般会計と特別会計の連結上のプライマリーバランスも大幅に改善し、政府案のマイナス19兆円に対し、修正案では6.4兆円の改善が見られ、マイナス13兆円弱にまで赤字幅が圧縮されます。

以上、国家財政の複式簿記化と、予算編成における「国ナビ」の活用を通じて、国家経営におけるイノベーションを起こすべきときであることを指摘しておきます。代議士各位には是非とも本修正案に対する御理解を賜り、本修正案に御賛同いただきますようお願い申し上げ、私の趣旨弁明といたします。

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今後ともどうかよろしくご指導のほどお願い申し上げます。