「人は形にして見せてもらうまで、自分は何が欲しいのかわからない」 | 桜内文城オフィシャルブログ「みんなきさいや」Powered by Ameba

「人は形にして見せてもらうまで、自分は何が欲しいのかわからない」

タイトルの言葉を述べたのは、先週亡くなったアップル元CEOのスティーブ・ジョブズ氏です。これは、商品開発のためのマーケティング手法として、フォーカスグループ(ターゲットとする購買層)にどのような商品なら買いたいと思うか・・と尋ねる市場調査をやっても、本当に売れる商品は作れないという意味です。

この10年間、僕自身、全精力を費やしてきた公会計制度改革も似たような側面があります。いくら概念的なことや精緻な会計理論を説明したとしても、新たな公会計システムを導入しようという地方公共団体はなかなか増えませんでした。行政改革推進法62条で法的根拠を明記し、さらに総務事務次官通知ですべての地方公共団体に2010年度以降の財務諸表の作成と開示を求めたにも関わらず、です。

とはいえ、全国に1,800ある地方公共団体のうち本格的な公会計基準(基準モデル)に準拠して財務諸表を作成・開示する地方公共団体は200を超えました。実際に財務情報としての「数字」を提示し、インフラ資産の更新や負債管理といった「自治体経営」に必要不可欠な制度的インフラであることが、徐々に理解されてきたように感じています。

カエサルはガリア戦記の中で「人は自分の見たいと思うものしか見えない」と述べています。僭越ながらこれに一言付け加えるとすれば、「人は自分の見えるものしか実現できない」と考えます。塩野七生氏は、政治家には想像力が最も重要な資質だと喝破されました。単なる思いつきではなく、精緻なロジックを積み上げてこそ、これまで人が見たことのない未来がリアルに見えてきます。そして、その未来のビジョンを実現する専門性と説得力が政治家には求められます。

日本をどのような方向に変えていくのか。将来のビジョンをまるで見てきたかのように語り、その実現のために今、我々がやらなければならないことを国民の皆様にわかりやすくお伝えしていきたいと思います。