参議院・外交防衛委員会 議事録(2011年5月24日) | 桜内文城オフィシャルブログ「みんなきさいや」Powered by Ameba

参議院・外交防衛委員会 議事録(2011年5月24日)

○桜内文城 みんなの党の桜内文城です。まず、今回の日韓図書協定でありますけれども、私自身は大変に問題の多いものだと考えております。
 一つ目に大臣にお伺いいたします。まず、タイミングの問題ですけれども、先ほども岸理事からも御指摘ありましたが、韓国の3人の国会議員が国後島に訪問するというタイミングでございます。竹島領土保護特別委員会、この存在自体いかがなものかと考えますけれども、こういったタイミング、そして4月中には総合海洋科学基地建設事業、これは竹島の周辺ですけれども、我が国が今、戦後最大の危機にある、東日本大震災の危機にあるこのさなかに、このようなとても未来志向の日韓関係とは言えないような事態が進展している中で、このような日韓図書協定、それも片務的な義務を一方的に負うものをこのように推進しようとすることについて大臣の所見をお伺いいたします。

○松本剛明外務大臣 私どもとしては、是非御理解を賜って御賛同を賜りたいと、このように願うところでありますが、他方で、今お話がありました竹島の問題について我が国の立場は一貫をしておりまして、これまでも私自身も韓国側に対して強く申入れをしてまいりました。5月20日の日韓外相会談については先ほど申し上げたとおりでありますけれども、これについて申し上げなければいけないことはしっかり申し上げてまいりたいと、このように思っております。
 他方で、日韓の関係というのは重層的な関係でありまして、昨年、100年という節目に当たって総理談話を発表し、先ほどお話を申し上げたような朝鮮半島由来の図書の引渡しを行うということを昨年、談話において表明をいたしました。自発的措置を皆様の、国会の御承認をいただいて進めていくということは重層的な日韓関係の深化のために進めるべきものとして今御審議をお願いをしているところだと、このように私は位置付けております。

○桜内文城 大臣が重層的な日韓関係とおっしゃいますけれども、今回の朝鮮儀軌等を引き渡す、こういった話になってきたそもそもの発端は竹島問題だと考えております。竹島問題が大きくなっていって、その後に韓国の国会でも決議等がなされ、その根幹である竹島問題について何の進展もないまま、むしろこのように事態が悪化している中で、このタイミングでこのような一方的に日本国政府が義務を負うような協定を取り結ぶということについては、私は疑問を呈せざるを得ません。
 二つ目に、この手続についてお尋ねいたします。手続というのは、特に私自身は、昨年8月10日の内閣総理大臣談話、閣議決定でありますけれども、これ自体そもそも今回の問題を大きくした要因だと考えております。先ほど、この内閣総理大臣談話ですけれども、福山副長官も先ほどの御答弁の中で、菅内閣が成立した後に岡田外相との間で何度も何度も議論がなされてきたというふうにおっしゃいました。また松本外務大臣も、衆議院の方ですけれども、談話の作成の作業を開始したのは閣議決定から遡ること1、2か月ぐらいではないかという御発言もされているところであります。しかし残念ながら、昨年の談話の一週間前、8月4日にこの参議院で予算委員会が開かれておりますが、そこで自民党の山本一太議員からこの総理大臣談話について出すのか出さないのかというふうに尋ねられたところ、菅総理そして仙谷当時の官房長官は、出すかどうかを含めて慎重に検討しているというふうにお答えになっております。一切国会での議論を経ずにこのような閣議決定、総理大臣談話を出す、しかし実際には1、2か月も前から談話を準備していた。これは国会軽視と言える態度だと思うんですけれども、大臣、どうお考えになりますでしょうか。

○松本剛明外務大臣 談話を出すか出さないかを決定をしたのは8月10日でございます。慎重に検討をし、また、談話であれば当然内容についても、でありますから検討をし、作成をして決定をいたしたというふうに理解をしておりまして、8月4日の日、まさに国会において御議論をいただいているわけでありますが、総理も仙谷官房長官も大切な問題であることも踏まえてだろうと、このように理解をしますが、慎重に検討をいたしていると、このように誠意を持って御答弁申し上げていると、こう理解しております。

○桜内文城 慎重にもっと検討していただきたかったと思います。というのは、この内閣総理大臣談話の内容ですけれども、いろいろ御指摘ありますとおり、日韓請求権・経済協力協定にない新たな義務を日本国政府が負うものであります。更に言えば、今回こうやって国会にかかっている理由でありますけれども、財政法九条一項をオーバーライドする内容を含む閣議決定であります。このように、そもそも国会での議決を必要とするような内容を含む内閣総理大臣談話、これを閣議決定する。そもそも内閣というのは、法律に基づいて行政権、その法の執行を行うのが元々の与えられた機能であると思います。その法律を乗り越えてそれを閣議決定する、そして、その検討もしているといいながら国会での議論に全く応じようともしない、そのような態度についてお伺いしております。大臣。

○松本剛明外務大臣 桜内先生はよく御案内だろうと思います。私どもも法に基づいて政府として活動しなければいけないのは御承知のとおりであり、新たな立法が必要であれば内閣で法を策定をして国会にお諮りをする、また条約が必要であれば条約を交渉を行って締結をして国会にお諮りをすると、まさに法に従ってお諮りをさせていただいていると、このように理解をいたしております。

○桜内文城 私が言いたいのは、法に基づいてというのであれば、この内閣総理大臣談話、内閣総理大臣と書いてあるわけですよ。その予算委員会、総理がそれに対して何も答えずに、今回のこの委員会にも総理は来ない、それが国会軽視だというふうに指摘しているところであります。通告にはないんですが、この内閣総理大臣談話に関しまして一つ大臣にお答えいただきたいんですけれども、日韓併合条約から100年というふうなことが述べられております。条約の効力が有効となる有効条件ですけれども、両国政府の意思の合致というものが当然あろうかと思うんですけれども、この内閣総理大臣談話の中では、その意に反して行われた植民地支配によって云々かんぬんという言い方があります。これはどう解釈すればよろしいんでしょうか。内閣総理大臣自身が日韓併合条約自体が有効なものではないということをこの閣議決定でお示しになったということでしょうか。

○松本剛明外務大臣 談話の言葉であります、まさに意に反して行われた植民地支配という言葉を申し上げているわけでありまして、いわゆる日韓併合条約については、1965年の日韓基本条約、先ほどからもお取り上げもいただいておる基本条約で確認をされているとおり、もはや無効でありというのが私ども政府の見解でございます。

○桜内文城 もはや無効でありというのがいつから無効だったかということを問題にしているわけです。通告もしていませんので、これ以上言いませんけれども、私がここで指摘したいのは、いかにこの菅内閣というものが法律というものを遵守しないそのような傾向があるのかということを指摘しておきます。
 時間がないので、最後にもう一つお尋ねいたしますけれども、今回の協定ですけれども、先ほどから幾つか指摘もあるように、片務的な義務であります。また、韓国内にある日本の関連書籍が数十万冊もあるというふうに指摘されておるところですけれども、このように、そもそも片務的な協定というものがこの日本国政府の目的である国民の生命、財産、自由、こういったものを守るということから見て一体どういうものなのか。あえてこの片務的な条約を結んだとしても、一方的に義務を負うとしても、いかに国益を推進することになるのか。先ほど冒頭に指摘しましたような韓国国会議員の暴挙等を見ますと、全くそのような効果はないようにも思われますけれども、大臣の所見をお伺いいたします。

○松本剛明外務大臣 日韓図書協定においては、図書を引き渡すということについては、我が国が韓国に対して引き渡すわけでありますから、その点については言わば一方通行であるということは御指摘のとおりでありますが、この日韓関係の中で、今回の談話の発出、そして引渡しによって双方がこれまでの100年から次の100年に向けて未来志向になることそのものが両国にとって大きなウイン・ウインになると思います。また、隣国である韓国との関係を進展をさせるということは我が国の国益にとって極めて重要なものであるとも考えますし、重層的な日韓関係を深めていくということも必要なことだと考えるところから、談話を発出し、また今回国会にお諮りを申し上げていると、このように位置付けております。

○桜内文城 終わります。